
大山は、その姿秀麗にして見る者の心に響き、相模平野はもとより武蔵、房総(安房、下総、上総)方面など広く関東一円からその山容を眺めることができる雄峰である。 その山容の美しさは陸上のみならず、相模湾沖からの海上眺望としても重要な景観となり、漁場や航路を決定する際の大切な目印になったといわれる。 大山の位置は丹沢山地の東南部にあり、丹沢山地本体部に対し前山地域を形成し、その領域は伊勢原市、秦野市、厚木市の各市に跨り、標高は1252mである。
一方で、古くから宗教的霊場として開かれた山であるため、江戸時代から現代まで多くの人々が参拝に訪れた。そして、その参拝者が通る道として、大山道が徐々に形成された。 ここでは、大山道と大山の町並みの特徴について、「大山史」(昭和59年10月 大山寺発行)をもとにまとめる。また、川戸藤吉著「相州大山案内記」(明治40年4月田村書房発行) を参考に当時の町の様子を紹介する。