大山信仰の歴史は長く、それがもっとも盛んだったのは江戸期まで遡ることができる。旅行が禁じられていた当時、大山から江ノ島を巡る「参拝」
という名の旅行は江戸庶民にとって大きな娯楽でもあった。まだ写真が存在しなかったその時代の様子は、落語「大山詣り」による語りや絵師の手に
よる数多くの浮世絵や絵図として残され、当時の生き生きとした様子を垣間見ることができる。
一方、時代が進み昭和期に入ると下社まで大山ケーブルが開通した。
それまでは険しい男坂・女坂を登るしかなかった大山への参拝の道が、下社まではケーブルカーによって気軽に行けるようになり、参拝の仕方も大きく変わり始めた。
ここでは、浮世絵や絵図として描かれた江戸期から明治期頃までの大山とその周辺の東海道(江ノ島近隣)の賑わいの様子を紹介する。
また、昭和期に於ける近代の大山の様子を映した絵葉書、さらに大山ケーブルの開通時の貴重な写真を紹介する。