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東洋英和女学院大学図書館サポーターWELL(ウェル)の皆さん

令和6年12月8日(日曜日)に、本館学び⇔交流エリアにおいて、令和6年度神奈川県子ども読書活動推進フォーラムを開催しました。

このフォーラムは、子どもの読書活動の普及・啓発を目的として、平成16年度より開催しています。

令和3年度から、主な対象を中学生~大学生とし、司書教諭、学校司書、子どもの読書活動に関心のある方などにもご参加頂いています。

第1部は、東洋英和女学院大学図書館サポーターWELL(ウェル)による事例発表を行いました。

「WELL」の名称は「WE Love Library」の略です。その名の通り、本と図書館への愛情が感じられるさまざまな活動が行われており、本の福袋、リユース市、大学1年生向けのレポート講座、選書ツアー、本のPOP作りなどについて、ご紹介いただきました。

協定校である横浜女学院、横須賀学院との交流の内容としては、大学図書館見学や、本探しゲーム、本のタイトル当てクイズの実施、貴重書である『赤毛のアン』原書初版本の紹介など、高校生ではなくても参加したくなるような内容でした。

最後に、今後の課題と展望、WELLに入ってよかったことをお話いただき終了となりました。

質疑応答の時間がなかったため、アンケートに質問をご記入いただきました。

WELLのみなさまからいただいた回答については、2025年2月末日まで、講座のホームページに掲載しています。どうぞご覧ください。

講演中の名久井直子氏

第2部は、幅広い分野で数多くのブックデザインを手掛けてきたブックデザイナー名久井直子氏を講師として、「本を装う ブックデザインの世界」と題した講演を行いました。

まず、ブックデザイナーとはどんな仕事なのか、どうやって本のデザインをしているのかについて、実際に使用している紙見本等を示しながらお話しいただき、それを踏まえて、作例を紹介しながら細部について紹介していただきました。

本をオーケストラに見立てると、ベートーベンなどの作曲家が著者、指揮者が著者の作品を形にするためのリーダー編集者といえる。そして、「どんなメンバーで演奏会をしたら素敵かな?」と考えるのが、ブックデザイナーの役割、というお話が、デザイナーの仕事の位置づけをわかりやすくしてくれました。

本のデザインについては、『黄色い家』(川上未映子著)を例として、本の「ゲラ」を受け取るところから説明していただきました。

1ページあたりの文字数、「天」と「地」のすきま、「小口」側と「のど」側のすきま、書体と文字の級数(文字の大きさを表す単位)などを決め、印刷所に依頼するという作業の流れについて、「そこまでデザイナーがやっているとは思わなかった」という感想が寄せられました。

その後、本のカバー、表紙、帯、見返し、別丁扉について、文字の級数や全体をデザインしていくこと、ハードカバー(上製本)の場合、はなぎれ、栞ひも(スピン)を最後に選ぶことなど、本が形になるまでの工程を詳細に教えていただきました。はなぎれと栞紐を選ぶ作業は最終工程であり、「大好きな作業」とおっしゃっていたのが印象的でした。

その後、自らお持ちいただいた20冊の本を、それぞれの見どころとともに細部までご紹介いただきました。取り上げた本のリストを添付いたします。

この度のイベントは、会場とオンラインで参加募集をし、大変たくさんの方にお申し込みいただきました。

オンラインでは、1登壇者の映像、2発表スライド・書画カメラの映像、3要約筆記の字幕、という3画面を配信しました。

第1部事例発表の際に、発表スライドを配信していたパソコンが動作しなくなるという事態が発生し、約15分間中断しました。原因特定に時間を要し、アナウンスが遅れ、大変申し訳ございませんでした。

今後は、オンライン開催について、慎重に検討したいと考えております。

令和6年度子ども読書活動推進フォーラム「本を装う ブックデザインの世界」講座のホームページ

「本を装う ブックデザインの世界」で紹介した本.pdf(523KB)

(県立図書館:令和6年度子ども読書活動推進フォーラム担当)