演劇をテーマにした企画展示「演劇meetsかながわ ―神奈川と演劇文化―」を、2025年5月7日まで開催中です。
本展示は、展示担当者がKAAT神奈川芸術劇場の「KAATカナガワ・ツアー・プロジェクト」に刺激を受けて企画しました。
「西遊記」「美女と野獣」など、誰もが知っているお話の舞台を神奈川県域にアレンジし、その作品を県内各地で巡演するプロジェクトです。こうした取組みをはじめ、県内では今日も様々な舞台が上演されており、そのエネルギーを体感することができます。
神奈川県内に息づく演劇文化を、「神奈川の伝統芸能」、「近代演劇の波」、「アマチュア・高校演劇の盛り上がり、市民参加の流れ」、「物語の舞台としての神奈川」、「県内演劇界の動き」の5つの視点から掘り下げ、当館の資料を中心にご紹介しています。
1 「神奈川の伝統芸能」
伝統芸能とは、日本に古くから伝わる能楽、文楽、歌舞伎などの演劇や音楽のことを指します。
19世紀末頃からは、全国各地の農村で歌舞伎の地芝居や人形芝居が行われるようになり、その流行は神奈川県内にも及びました。
人形浄瑠璃の「あつぎひがし座」など、現在も活動を続けている団体の資料を中心にご紹介しています。
2 「近代演劇の波」
歌舞伎が主流だった演劇界に新たな波が訪れるのが1890年(明治23)頃のことです。
歌舞伎を「旧劇」と捉え、自らを「新演劇」とする勢力が登場し、近代演劇は両者が互いに影響し合うことで発展していきました。この時代の神奈川県内の演劇文化の動きを資料から振り返ります。本展示のポスターに使用している芝居番付の実物をご覧いただけます。
3 「アマチュア・高校演劇の盛り上がり、市民参加の流れ」
第2次世界大戦後に政治的制約がなくなると、市民による演劇活動が活発に行われだしました。
また、観客組織が誕生したのもこの時期で、演劇が人々の生活に根付いていたことが伺えます。県立青少年センターの演劇資料室から当時の貴重な資料をお借りし、当館の資料と併せて展示しています。
4 「物語の舞台としての神奈川」
海あり山あり、昔からの伝承や歴史もあり、現在も多くの人々が住むこの神奈川県は、物語の舞台としての可能性を大いに秘めています。本展示のきっかけとなった「KAATカナガワ・ツアー・プロジェクト」をはじめ、県に縁のある劇団や劇場が創作した、神奈川県域を物語の舞台とした演劇作品の戯曲やパンフレットをご紹介しています。
5 「県内演劇界の動き」
神奈川県内では現在「マグカル」の取り組みを行っており、市町村や関係団体と連携しながら、神奈川の文化プログラムを推進しています。そこで県内の動きについて、「演劇文化」という視点から20世紀後半以降の流れを辿ります。また、神奈川県内の劇場や劇団に焦点を当て、資料を紹介しています。
2021年4月に「舞台芸術科」が新たに設置された、県立神奈川総合高等学校の学校案内も展示しています。
今回の展示にてご紹介している劇団や公演以外にも、県内には様々な演劇文化が存在しています。
お隣の青少年センター2階にある「演劇資料室」にも資料が豊富にそろっていますので、ぜひ併せてご覧ください。
本展示をきっかけに、「演劇観てみようかな」と思っていただければ幸いです。
展示案内はこちら(神奈川県立図書館HPリンク)
(県立図書館:展示担当)