夏休みの自由研究の宿題は「自由」なだけに、「何をすればよいか、何を調べればよいかわからない」とお困りの方も多いのではないでしょうか。そんな方におすすめしたい本が『美しい実験図鑑 世界でいちばん美しい34の実験たち(以下『美しい実験図鑑』)』です。
『美しい実験図鑑』は色とりどりの美しい34の実験が豊富な写真で紹介されています。小学生でも保護者の方と一緒であれば行える実験です。料理本のレシピのように、必要な材料や道具が示されているので、実際に準備をするときに役立ちます。
「化学のとびら」「物理・地学のとびら」「生物のとびら」の大きく3つの分野で構成されていて、そのどれもが美しい色や形の変化で、「やってみたい!」「確かめてみたい!」と思わせてくれる実験です。
「化学のとびら」では、警察の鑑識や科学捜査で使用されるルミノール反応の実験を行います。暗闇の中で血液が浮かび上がってくる不思議な現象を、映画やドラマなどで目にされたことがあるかもしれません。ルミノールは過酸化水素と反応し青紫色に光ります。この反応に重要な働きをするのが触媒です。実験では触媒として豚レバーの血や大根の酵素を使用しています。
「物理・地学のとびら」では、テレビ画面などで身近な存在である液晶について学びます。ヒドロキシプロピルセルロースという物質を使って液晶を作り出し、液晶の分子構造が見せる色の美しさ、変化の不思議を体感できます。
実験の中にはQRコードがついているものもあり、変化の様子などを動画で確認できるので、本を手に取り、動画を見るだけでも十分楽しむことができます。私は動画を眺めて、すっかり実験をやり終えた気持ちになってしまいましたが、やはり実際に実験を行ってみることが大切かもしれません。実験をするために材料や道具を集める準備、実験に成功したときの驚きや感動、失敗してしまったときの落胆、表などに記録する作業、結果をまとめた考察、それらを含めたすべてが貴重な経験になるのではないかと思います。
著者は小学校教諭、学習塾経営などを経て、鉱物標本やオリジナル理科グッズなどを販売するカフェを運営しています。本に出てくる実験の中で、入手困難な物質は紹介されているインターネットショップでそろえることができるようになっています。
『美しい実験図鑑』で化学、物理、地学、自然について興味がわいて、もっと詳しく調べてみたいと感じたら、ぜひ川崎図書館で所蔵する専門の資料もご利用ください。
(県立川崎図書館:ビスマス結晶)
『美しい実験図鑑 世界でいちばん美しい34の実験たち』 さとうかよこ/著 新星出版社 2023年
請求記号:407.5/34 資料コード:81804312 OPAC(所蔵検索)