1954年11月4日に開館した神奈川県立図書館は、今年開館70周年を迎えました。
日本のモダニズム建築の旗手・前川國男により設計された前川國男館(旧本館)は、新しい機能を備えた「魅せる図書館」への再整備のため休館しています。
改修前の前川國男館の風景を記録するべく、約1年にわたり写真家・潮田登久子さんに撮影をお願いしていました。それらの写真は、開館70周年を記念して、写真集『改修前 前川國男設計 神奈川県立図書館』にまとめられ、ライブラリーショップ(猿田彦珈琲 神奈川県立図書館店)で限定販売しています。
11月3日(日曜日)、潮田さんとブックディレクター・幅允孝さんのトークイベントを開催しました。
幅さんは様々な場所でライブラリーを制作するブックディレクターです。神奈川県立図書館の再整備にも関わっていただき、「本を読む時間を過ごしてもらうこと」にこだわって討議を重ねています。
一方、長年写真家として本を撮影している潮田さん。「本は決して読まない、外側から撮る」と断言されました。ボロボロの貴重書や、調べすぎてページがカリフラワーのように広がった辞書など、「オブジェ」としての本からも伝わるもの、佇まいをエネルギーにして撮り続けてこられたそうです。
潮田さんの撮影した本からは、読み手の痕跡や時間が感じられると幅さんは言います。
潮田さんから作業室を見学した時のお話がありました。
混沌としているようで使いやすい場所に置かれた道具、引き継ぎメモなどに垣間見える司書の工夫や、仕事を楽しんでいる様子に、「この方たちがあっての図書館だ」と感じ、見ているだけで時間が過ぎてしまったそうです。資料を守り保存する司書の痕跡も多く撮影されました。

潮田さんはすべての電灯を消し、自然光のみで撮影をされています。
前川國男館の建築的な特徴と言えば、当館のロゴデザインにもなっているホローブリック(穴あきレンガ)と、その内側の白い釉薬により調整された柔らかい光です。写真集ではその光がきれいに表現されています。
幅さんから、本が集積されている場所では、時計を見ながら接する日常とは違う時間の流れがあることが語られ、「図書館の魅力を活かして、気持ちが良い場所、読みたくなる場所を目指して再整備を進めていきたい」とまとめていただきました。終始和やかな雰囲気の中で、撮影秘話と前川國男館への愛が詰まったお話を伺いました。
再開館が待ち遠しくなる記念イベントとなりました。
『改修前 前川國男設計神奈川県立図書館 Before Renovation』 潮田登久子/写真 猿田彦珈琲
2024年 請求番号:748/1323 資料コード:23589088 OPAC(所蔵検索)
(イベント担当)