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「トコトンやさしい 今日からモノ知りシリーズ」は技術解説がとてもわかりやすいと好評で、当館でよく貸出されています。

1つの項目を見開き2ページでまとめているためポイントを把握しやすく、興味のある内容から読み進めることもできます。

本書はバーチャルリアリティ(以下:VR)をテーマに、「VRって何だろう」「VRと五感の科学」「VRが可能にする新しいインタラクション」「時間と時空を超える」「VRの周辺技術」「VRの可能性」「メタバースという世界」の7つの章で構成されています。2019年に刊行された初版の内容を約3割程度書き直して2022年11月に第2版として刊行されました。

監修は日本におけるVR研究の第一人者である東京大学の廣瀬通孝名誉教授です。
技術解説だけでなく、社会への実装例も多く取り上げられているので読み進めるうちにVRを活用したコンテンツのアイデアを思いつくかもしれません。

VRという言葉が初めて使われたのは35年前の1989年とその歴史は長いです。

体験者が高価で大きなゴーグルを装着する姿を思い浮かべ「特別」というイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。

一方で自治体の災害体験VRやデジタルミュージアムなどWeb上で気軽に体験できるコンテンツも増え、「使う時代」となっています。身近な存在となったVRとは何なのでしょうか。VRの応用分野として有望視されている「教育と訓練」分野の解説を含む「第6章 VRの可能性」を読んでいただくと、VRが「感覚の技術」と呼ばれ感覚の研究が盛んに行われている意味が具体的にイメージできるため理解が深まります。
人工的に作られた感覚を体験した時、p.76のコラムにある「現実とは何か?」という根源的な問いかけに直面することになるでしょう。

本書は「やさしい」とうたわれていますが、専門性の高い内容を扱うため、全体的に用語が難しいという印象を受けます。

ただ、内容の理解を助けるイラストが併記されているので、身近になったVRの概要を正しく理解するための入門書としては最適な一冊だと思います。

読了後、さらに知識を深めたくなった方は当館に関係する資料が多数所蔵されていますので、是非ご活用ください。

『トコトンやさしいVRの本』 第2版 廣瀬通孝/監修 東京大学バーチャルリアリティ教育研究センター/編 日刊工業新聞社 2022年

資料コード:81780579 請求記号:548/137/2022 OPAC(所蔵検索)


(県立川崎図書館:不思議の国のreality)