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「ひげのサムエルのお話」書影

家で一人寝ようと目を閉じている時、ふとどこかから物音が...。という経験をした人は少なくないと思います。

もしやネズミ?もしくはハクビシン?それともおばけ?と考えて眠れなくなる方もいるでしょう。確かに、音の正体がこの中のどれに該当しても不安になりますよね。

今回ご紹介する本は怪談ではなく、ネズミのお話。いや、見方を変えれば怪談話なのかもしれません。

ポターと言えば「ピーターラビット」が有名ですが、本書はネズミのサムエルが主人公となります。

この絵本を読む前は「ひげのサムエル」と呼ばれるネズミが終始活躍し、素晴らしい教訓を与えてくれる絵本だと誰もが疑わないでしょう。しかし、初めはネコの親子の話で持ち切りですし、「ネズミは怖い」と言う情報しかありません。

タビタというお母さんネコがパンを焼く間に、子どもたちを押入れに閉じこめておくことにしたのですが、いたずらっ子のトムはそこから脱走します。大きな屋敷を探険するトムでしたが、屋根裏に迷い込んでしまいます。

そこでようやくサムエルが登場するのです。つまり喋り出すのは41ページからになります。タイトルになるほどの人物(動物?)であるにも関わらず41ページも喋り出さないのは驚きです。

何より当のサムエルは、英雄でも勇者でもなく、ただの大きなおじさんネズミなのです。そしてなんとトムを眺めながら、奥さんに「ねこまきだんご」が食べたいと言い出すのです。一体トムはどうなってしまうのでしょう。

ユーモアたっぷりのこの絵本には、ビアトリクス・ポター本人も登場します。また、インターネットで「ひげのサムエルのおはなし」と検索するとショッキングな画像がヒットします。大変有名なシーンの絵で、フィギュアにもなっているほどです。

当館には他の訳者の本やしかけ絵本、今は視聴が出来ませんがLD資料もありますので読み比べてみるのも面白いですよ。ポターの他の著書もありますので、他の物語にサムエルが忍び込んでいないか探してみてください。

『ひげのサムエルのおはなし』 ビアトリクス・ポター著 福音館書店 1974年

資料コード:13087663 請求記号:E3/ポ OPAC(所蔵検索)

参考資料

『ひげのサムエルのおはなし ピ-タ-ラビットとなかまたち』 ビアトリクス・ポター フジテレビ出版 1994年

請求記号: E3/ポ 資料コード: 20697702 OPAC(所蔵検索)

『どこにいるの?こねこのトム』 ビアトリクス・ポター 大日本絵画 1993年

請求記号: E3/ポ 資料コード: 20626602 貸出不可 OPAC(所蔵検索)



(県立図書館:鹿)