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「県民が編むかながわの半世紀」活動の様子

図書館を活用し、部活動のように同じ興味を持つ仲間と継続的に学んでいく、神奈川県立図書館の「Lib活(リブカツ)」。

そのひとつである「県民が編むかながわの半世紀」は、資料にまとめられているものが少ない高度経済成長期以降の神奈川県の動きについて知り、図書館資料などを基に調べ、その成果をまとめていこうという取り組みです。

今年度開催の第2期は、幅広い年代、地域から18人の受講者が集まり、昨年7月から約半年の間、「変貌する県の姿」をテーマに、「県土」に注目しながら活動を行ってきました。受講者は3つのチームに分かれ、調べたことを共有したり、アドバイスしあったりしながら、それぞれに興味を持った事柄について調べ、レポートにまとめてきました。

コーディネーターには、第1期に引き続きフェリス女学院大学名誉教授の大西比呂志先生を、ゲストアドバイザーには神奈川新聞社の平松晃一氏、大正大学文学部准教授の松本洋幸先生のお二人をお迎えしました。

大西先生にはレポートの書き方や調べ方についてのご指導をいただくとともに、神奈川県の現代史についてご講義いただきました。平松氏には地域資料としての新聞とその見方について、松本先生には首都圏計画と神奈川県の動きについてご講義いただき、見識を深めてきました。図書館からも、地域資料を集め、未来の住民へつないでいくことが役割の一つであることを、実例を交えてお話ししました。

今期活動の総仕上げとして1月に行われたチームでの発表会。メンバーそれぞれが調べたことについて、どんなことに注目し疑問を持ったか、調べていく中で把握できたことだけでなく、チーム内の共通点や取組から見えてきた「かながわの半世紀」とそこからつながる「現在」についても語られました。

今期の各チームの取組をご紹介しましょう。

<チームA>

共通点は「まちづくり」

住宅に関する政策や所有形態など住まい方の変化、団地の住環境の実態の変化など、住まいに注目し、その変化や地域への影響を探っていました。また、県内の芸術や文化に関する取組の変遷という視点からも、まちづくりについての考察を深めていました。

<チームB>

共通点は「地域固有の地理地形、土地利用と地域社会の連携と主体性」

河川流域など地形に注目した土地利用の変遷、工場や米軍基地の跡地の利用や、県土を基軸とした地域づくり、米軍基地のある街の市民感情、平成の大合併といった事柄に注目し、地域の動きを調べ、時代の変化に合わせた移り変わりを見い出していました。

<チームC>

共通点は「神奈川県で暮らすということ」

県内の農地の役割や県内の酒蔵といった「食」、国道16号線の高架橋や京浜急行の様子といった「移動」、相模大野駅周辺の変化や川崎市臨海部の公害対策といった「住」と、身近な暮らしにつながる事柄に注目し、県土の半世紀の動きを探っていました。

「県民が編むかながわの半世紀」発表会の様子

各自のレポートもとても充実した内容で、受講者それぞれの視点が光るものとなりました。

「変貌する県の姿」というひとつのテーマを通して、住む場所も境遇も異なるメンバーが各自の経験を重ねて調査することで、これまでにない地域の現代史が浮き彫りになったように思います。
コーディネーターの大西先生からも、「受講者皆さんの熱意を感じ、様々な立場から「県民が編む」という講座のポリシーを体現するレポートが集まった」とのお話がありました。

私も「かながわの半世紀」について知りたい!調べてみたい!と思った方、ぜひ次期以降の活動にご参加ください。

第3期は6月頃に募集開始の予定です。第2期とはまた違う角度から、地域の姿にアプローチしていきたいと考えています。

県立図書館にある様々な資料から、あなたの知らない「かながわの半世紀」を探ってみませんか?

(県立図書館:Lib活「県民が編むかながわの半世紀」担当)