神奈川県立の図書館

『ソフトウェア・テストの技法』 Glenford J.Myers 著

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ソフトウェア・テストの技法 書影

情報工学・情報科学の分野は、技術の進歩が速いため新しい情報が求められます。

そんな情報系の分野にも古典と呼ばれる本がいくつかあります。基礎的な内容がきちんとまとめられているもので、学生の教科書になっていたり、社会人になって配属先の先輩に「これ読んでおけ」と渡されたりする本です。今回は、そんな古典の中から一冊を紹介します。

インターネットやスマートフォンなど情報系のシステムは生活に身近なものになりました。そして、より便利に・より使いやすく・より安全に...など、高い品質を求められるようになっています。

そのため、ソフトウェアなどのシステム開発では、様々な手法や技術を用いたり開発の進め方を工夫したりするなど、求められる品質を確保することが必要となっています。作られたシステムが想定通りであるかを確認するテスト・評価といった工程も大切な作業になります。

本書は、ソフトウェア・テストについてまとめられている本です。本書ではテストを「テストとは, エラーをみつけるつもりでプログラムを実行する過程である.」と定義して、ソフトウェア・テストの原則や様々なテスト技法をまとめています。1978年の時点で挙げられた技法ですが、現在でもシステム開発の現場で使われているものが多くあります。

ソフトウェア・テストの経験がある方には、是非「第1章 自己診断テスト」にある三角形のプログラムに対するテスト・ケース挙げの自己診断を試して欲しいと思います。簡単なプログラムのテストにも関わらず、見逃しているケースがきっと見つかることでしょう。また、例えばプログラムの検査(コードレビューなど)もテストの一環であることや、テスト・ケースの設計方法である「論理網羅・同値分割・限界値分析」など基本的な技法について再確認できると思います。

本書で筆者は「テストとは, ひじょうに創造的であり, 知的に挑戦しがいのある仕事である.」と述べています。

システム開発では、プログラミングなどの"仕様からシステムを作ること"に目を向けがちです。しかし、仕様の通りにシステムが作られているかを確認する作業がないと、問題の多いシステムを世に送り出してしまうことになりえます。

本書を通じて、テスト工程に目を向けるだけでなく、それが興味深い仕事であると感じられるかもしれません。

*尚、監訳者の長尾真氏は後に国立国会図書館の館長を務められました。

『ソフトウェア・テストの技法』 Glenford J.Myers/著、 長尾真/監訳、 松尾正信/訳 近代科学社 1980年

資料コード : 71131098 請求記号 : 535.5/M42 OPAC(所蔵検索)



(県立川崎図書館:C.M)