2023年8月25日(金)、第1回「after5ゼミ」が開催されました。
今回は、一般社団法人エシカル協会の代表理事を務めている末吉里花さんに「エシカルについて考える」と題してお話いただきました。ファシリテーターの伊藤さんとの対話や、ゼミ生との意見交換を交えて進行しました。
(写真右から末吉里花さん、伊藤達矢さん)
末吉さんは、レポーターを務めたテレビ番組TBS系「世界ふしぎ発見!」の撮影で世界各地を訪れる中で、一握りの権力のために弱い立場の人が犠牲になっている構造を実感するようになります。溶けだした永久凍土に住む家族や、キリマンジャロの雪解け水を生活用水にしている子ども達と出会い、ライスワークではなくライフワークで問題を解決すると決心します。環境問題について活動を続けていく中で、エシカル消費という考え方に出会います。
地位や名誉、お金を持っていることが幸せとされている現代に、異なる幸せの物差しを作るため、社会のシステムを変えていく活動を行っています。
「エシカル」は直訳すると「倫理的」という意味があり、一般的には「人や地球環境、社会、地域に配慮した考え方や行動」のことを指します。
環境問題の取り組みである7R(「Rethink(考え直す)」「Reduce(減らす)」「Repair(修理する)」「Reuse(繰り返し使う)」「Re-commerce(製品の長期利用)」「Renewable(再生可能な資源に替える)」「Recycle(資源として再利用)」)について再現しているスウェーデンの事例が紹介されました。
市民から出る「生ゴミ」が燃料のバスや自動車が実際に街中を走っています。スウェーデンの人は、「生ごみ」ではなく「生資源」と言うそうです。日本で当たり前に使われてきた「資源ゴミ」という言葉の矛盾が浮かび上がりました。
食品廃棄と子どもの欠食問題を同時に解決できる取り組みや、風力発電、蜜蜂のための環境づくりなど、どこかで「出来るわけない」とあきらめていたことが「出来るかもしれない」と思える実例が多く紹介されました。
末吉さんが活動を続けていく中で、壁にぶつかりくじけそうになった時に、パタゴニアの創業者であるイヴォン・シュイナード氏からかけられた言葉が紹介されました。
「活動をやめてしまえばあなたは問題の一部になる。続ければあなたは解決の一部になる。人は何を思うかではなく、何をするかでその価値が決まる。」
倫理的な行動を継続することの意味と熱意が伝わる言葉でした。
講演後、講義内容について何を感じたか、まずはゼミ生同志数人で話し合ってもらいました。活発な意見交換が行われた後、末吉さんと直接対話をしながら理解を深めていきました。
エシカルについて詳しく書かれた末吉さんの著書も当館で所蔵しています。是非手に取ってみてください。
講師著書
『エシカル革命 新しい幸せのものさしをたずさえて』 山川出版社 2021年
資料コード:23468002 請求記号:519/523 OPAC(所蔵検索)
『じゅんびはいいかい? 名もなきこざるとエシカルな冒険』 山川出版社 2019年
資料コード:23468028 請求記号:E1/ス OPAC(所蔵検索)
『はじめてのエシカル 人、自然、未来にやさしい暮らしかた』 山川出版社 2016年
資料コード:23468010 請求記号:519/522 OPAC(所蔵検索)
(県立図書館:イベント担当)