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オノマトペがあるから日本語は楽しい 書影

私たちの日常生活の中で、触れる機会が多いオノマトペ。「わくわく」「ザーザー」など、様々な感情、情景描写を豊かに表現してくれるツールとして存在しているのが、オノマトペ(擬音語、擬態語)です。

今回は、身近な言語であるオノマトペに焦点を当て、その歴史や暮らしの中に溶け込む音に着目、考察してゆく本をご紹介します。

いつも会話の中に何気なく取り入れているオノマトペは、いつごろから使われているのだろう?と疑問に思った事が、この本を手に取るきっかけになりました。身近な例が多く読みやすかったことも理由です。

どの章も面白く興味深い内容ですが、今回はその中から3つピックアップしてご紹介します。

「第2章 愛でる・感じるオノマトペ」

オノマトペの特徴、特性が詳しく書かれています。

例えば「女性が泣く」という文があるとします。泣くにフォーカスをあて、「わーわー」「しくしく」「ほろほろ」などの言葉を「泣く」の前に加えるだけで、その女性の感情や仕草などがより鮮明に浮かんできます。さらには、その浮かぶ情景がそれぞれ異なってくるのにも驚きます。これこそオノマトペの醍醐味ではないでしょうか。本書では、さらに掘り下げて、漫画で使われるオノマトペについても詳しく解説しています。

「第4章 オノマトペは歴史とともに」

いつごろから使われてきたのだろうか?という私の疑問に触れています。これはぜひ本書で確認してください。こんなに古くから使われていたのかと驚きました。

「第5章 オノマトペの果たす役割」

TPOから考えるオノマトペについて書かれています。オノマトペは感情を表現する便利なツールではありますが、多用した会話や文章は少々しつこくなりすぎてしまう傾向があります。何事もほどほどが一番。状況に合わせてオノマトペを適切に使うことが、話し上手、表現上手なのかもしれません。とても勉強になりました。

同著者で「日本語オノマトペ辞典」(小学館、2007年、貸出不可)も所蔵しています。お手に取ってみてはいかがでしょうか。

『オノマトペがあるから日本語は楽しい』 小野正弘著 平凡社 2009年
資料コード:22337190 請求記号:814UU/195 OPAC(所蔵検索)

(県立図書館:こそあど言葉も面白い)