公開

会場資料展示の様子

県立図書館の新しい本館がオープンしてから、本館4階の学び⇔交流エリアでさまざまなイベントを開催しています。
今回は11月3日木曜日・祝日と11月6日日曜日に開催しました「第25回大学で学ぼう~生涯学習フェア~」についてレポートしたいと思います。

「生涯学習」というと、なんとなく言葉は知っていても「よし、やってみよう!」と一歩踏み出す気にはなれない...という意見をよく聞きますが、実はこの生涯学習、何の気なしに「何かを学ぶ」ことが全て当てはまるんです。今まで知らなかったことを知ること、ちょっとした運動、偶然見つけて開いてみる本、どんな些細なことも、自分の中に学びとして蓄積されていけば、それは生涯学習のスタートをきっていることと同じなのです。

生涯学習フェアは、かながわ大学生涯学習推進協議会が主催しているイベントで、第25回は「大学での学びで、人生を豊かに」をキャッチコピーに開催されました。神奈川県内の23大学が参加し、各校の資料配布とともに、オンライン併用形式で4人の講師による講義体験を2日間にわたって実施しました。

それぞれの講義について、少しご紹介したいと思います。

1日目の公開講座は、八洲学園大学の藤森純一先生による「法律の学び方と向き合い方~著作権編~」と、横浜薬科大学の榊原巌先生(写真2枚目)による「コロナに有効な漢方」の講義です。藤森先生の軽快なトーク力と話の構成により、難しいと敬遠しがちな法律について、不思議とすんなり理解することができました。特に図書館という場において、著作権は特別に意識して取り扱うべきものでありますし、もっと多くの人にその重要性を知っていただきたいと改めて感じました。
榊原先生の講義のテーマは、私たちの生活により身近な問題であるコロナと漢方に関するものでしたが、先生の優しく親しみやすい笑顔が印象的で、あっという間の1時間でした。これまでの研究実績に基づいた漢方薬の効能と使い方は、目から鱗の情報もあり、とても勉強になりました。

1日目講座の様子(横浜薬科大学・榊原巌氏)

2日目のライブラリートークは、湘南医療大学の加藤裕久先生(写真3枚目)による「知って得する薬の知識」と、横浜市立大学のキロス イグナシオ先生による「古事記を英訳する難題~イザナキとイザナミの神話を中心に~」の講義です。加藤先生の講義では、特に参加者の皆さんとの質疑応答が盛んだったように思います。

薬の服用方法や表示方法の意味するところなど、基本的で大切ではあるけれど、今さら誰に聞けばいいかわからない、というような豆知識が目白押しの講義でした。

2日目講座の様子(湘南医療大学・加藤裕久氏)

フェアの最後を飾ってくださったのは、イグナシオ先生による「古事記」を題材とした翻訳の難しさに触れる講義でした。日本語独特の名称・地名、あるいは複合的なニュアンスの部分を英訳する必要性や妥当性は、語の成り立ちや文脈などの要素を加味して総合的に判断する必要があるということを、研究事例をとおして紹介していただいたのですが、研究者の視点から考える「古文の解釈のしかた」を伺えた、大変貴重な機会でした。

生涯学習フェアの講座では、参加者の皆さんからの積極的な質問に、講師の先生方が丁寧に回答される場面が見られました。どの講義においても二者の距離感が近く、思ったよりも「大学の先生」が身近に感じられたのではないかと思います。

未知の学びへ飛び込むことは少し勇気がいることですが、今回の講義に参加した経験そのものが自分の糧になっていることに気づいてもらえたら、イベント担当としてはとても嬉しいです。

(県立図書館:イベント担当)