図書館を使う人たちが、部活動のように同じ興味を持つ仲間と継続的に学んでいくプログラム「Lib活(リブカツ)」。
本館の開館と共に始動した、神奈川県立図書館の新しい取組です。
そのプログラムのひとつが、「県民が編むかながわの半世紀」です。
神奈川県の現代史をまとめた資料はまだ少なく、県のあゆみをまとめた『神奈川県史』には、1980(昭和55)年までの動きが収められています。そこからすでに40年以上の年月が経ち、高度経済成長期も含めた比較的新しい時代の神奈川県の様子を、地域資料をはじめとした図書館が持つ豊富な資料や情報を活用しながら、県民の手で、県民の目線を持って編んでいけないか、という思いで企画が始まりました。
今年度の活動は11月から始まり、1981(昭和56)年から2020(令和2)年までの神奈川県の動きを見通すことができる年表の作成に、10人の受講者が取り組んでいます。
アドバイザー兼今期コーディネーターには、フェリス女学院大学国際交流学部名誉教授の大西比呂志先生(写真1枚目)を迎え、講義を通して地域資料や時代背景への理解を深める「研究会」、受講者間の情報や意見を交換しながら、図書館で調べたことを基に年表作成の作業を進める「実習日」、資料の収集や研究、作業を個々で進める「自主活動日」、16ミリフィルムの映像から地域の様子を知る「郷土映像上映会」の4つを柱に活動しています。
これまでの研究会では、大西先生から、現代史を県民の手で編むことの意義や、高度経済成長期以降の神奈川県の動向などについてご講義いただきました。図書館からも、過去の地域の様子に学び今に活かせるよう、そして地域の姿が書き留められた資料を、現在だけでなく未来の利用者も活用していけるよう、地域資料を集め、保存し、様々な形で提供をしている事をお話ししました。
実習日では、各自が年表作成のための作業を進める中で気づいた点や、まとめ方のコツなどを共有し、「過去の新聞を見ていると、記事だけでなく広告などからも世相を伺えるのが面白い」「社会の大きな流れを掴んでから、県内の動きを見ていくとわかりやすい」など、意見交換も活発かつ和やかに行われています。
年表は、「県民が編む」というところを大事にし、受講者それぞれの視点で作成が進められています。
神奈川県に生きる人の目線から、どのような出来事が浮かび上がってくるのでしょう。
受講者の気づきや学びが形になるのが、今からとても楽しみです。
(県立図書館:Lib活「県民が編むかながわの半世紀」担当)