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県立図書館では、県立図書館主催の一般利用者向けの講座のほか、図書館職員向けの研修事業なども開催しています。

今回は、本館4階の学び⇔交流エリアを初めて使用して開催された、市町村図書館等職員研修についてご紹介します。

市町村図書館等職員研修は、神奈川県内の市町村立図書館や専門図書館等の職員向けに企画された研修です。企画協力課の仕事のひとつで、図書館人材の育成事業として、県域全体で質の高い図書館サービスを提供するために実施されています。

今回ご紹介するのは、「経営計画」をテーマとして開催された専門研修です。

2年ぶりの実地開催。新しい本館のお披露目の意図を込めて、図書館内を司書の視点でじっくり観察してもらえるよう、講師に図書館サービス計画研究所代表の仁上幸治先生を迎え、『図書館のサイン計画を深読みする~新本館現地ワイガヤ点検ワークショップ~』を開催しました。

研修では、まず仁上先生に図書館のサイン計画について講義を行っていただきました。

先生は、1980年代頃から作る側と見る側のサイン計画のギャップについて気になっているというお話から、図書館の問題点として、掲示のルールが意識されていないことによる煩雑化、図書館全体としてデザイン統合視点の弱さ、職員間でルールの引継ぎがされていない点やそのことで修正が必要な箇所へ対応が出来ない点などを指摘されていました。また、会社を一つの人格としてみるCI(コーポレートアイデンティティ)の意識が必要で、ロゴや一貫したデザイン・色のフォーマットを使用すること、またそれを全部の媒体に行うこと、それを維持管理更新していく組織の体制が必要であると述べられました。最後にサイン計画の前提として、用語、装飾、美意識のそれぞれについて、先生が見学された各図書館の事例を挙げられました。

講義中は、先生と受講生との意見交換が活発に行われ、受講生はサイン計画についての理解をより深めていました。

講義後は、見学とグループワークを行いました。

グループワークでは、受講者が班に分かれて、館内サインの写真を撮影した後、4階のディスカッションルームでPCを用いて資料を作成、発表しました。写真のダウンロードや資料の作成に皆さん四苦八苦して時間もすぐに経ってしまいましたが、発表の際には、本館のサインについて鋭い視点で指摘していました。発表後の質疑応答では先生の合いの手が入りながらも、意見を交わしました。先生から「グループ発表は素晴らしかった。見る側に立ってみることが出来ている。」と講評を受け、盛況のうちに終了することが出来ました。

アンケートでは、「実際に自分が動いたことで、ただ講義を聞くだけよりも深く理解・吸収できたように思います。」「サインや掲示物で雑然とした状態解消への実践的な対応策を学ぶことができた」というご意見もいただき、市町村図書館職員が自館の運営をより良くしていく支援ができたと感じています。これらの意見を参考にして、またより一層、充実した研修を開催できるよう今後も努めていきたいと考えています。

参考資料
「図書館のサイン計画を深読みする 配付資料」PDF資料(711KB)

「図書館のサイン計画を深読みする スライド資料」PDF資料(2,956KB)



(県立:市町村研修担当)