2022年9月1日、神奈川県立図書館の本館がリニューアルオープンしました。
新しい本館の1階には、入ってすぐのところに「ギャラリー」のスペースがあります。
これまでも、当館の所蔵資料を用いた展示は行っておりましたが、新しくなった「ギャラリー」では、大型資料を陳列できる展示台や、映像資料の上映のためのプロジェクターなどを導入し、今まで以上に多様な資料を用いて、みなさまに楽しんでいただける展示を企画したいと考えています。
オープンの日から2023年2月8日までは、企画展示「かながわ 鉄道の記憶」を開催しています。
2022年は、日本における鉄道開業150周年の記念の年です。
これに合わせて、神奈川県内の鉄道の歩みを、当館が時代を超えて収集してきた所蔵資料で振り返る展示を企画しました。
本展示では、4つのテーマから資料を紹介しています。
桜木町駅の記憶
1872年10月14日(明治5年9月12日)、日本初の鉄道が新橋~横浜駅間に開業します。
初代横浜駅は、当館の最寄り駅でもある現在のJR桜木町駅の場所にありました。
鉄道開業当時に盛んに発行された「鉄道錦絵」と呼ばれる浮世絵にも、初代横浜駅の姿が数多く描かれていますが、本展示ではその一つである『横濱鉄道舘蒸汽車往返之圖』をご紹介します。また、鉄道開業の日の新聞記事(復刻版)や、明治時代の時刻表も展示しています。
鉄道旅行のたのしみ
鉄道の開業以降、旅行の手段が徒歩から鉄道へと変わってゆきます。
今回は、鉄道旅行に関する資料として、1922(大正11)年に発行された『東海道汽車唱歌双六』と、当時ベストセラーとなった1924(大正13)年刊の『鉄道旅行案内』を展示しています。
また、鉄道旅行に欠かせない県内の「駅弁」に関する資料もあわせてご紹介します。
お弁当の掛け紙や、あの大人気キャラクターのしょうゆ入れなどもありますので、ぜひ注目してみてください。
変わりゆく鉄道とまち
開業以来150年の歴史の中で、鉄道と沿線のまちは、お互いに影響を及ぼしながら発展を遂げてきました。
今回は、県内の鉄道の路線図を5点ご紹介しています。
カラフルに描かれた路線図は、見ているだけでも楽しいですが、沿線の様子や駅名の変化を見て取ることもでき、鉄道やまちの移り変わりを知るための貴重な資料でもあります。
失われた鉄道・駅の記憶
神奈川県内では、現在も数多くの路線や駅が人々の生活を支えていますが、一方で、時代の変化の中で、その役目を終えた鉄道や駅もあります。
そんな鉄道・駅の姿も、当館で所蔵する資料の中にはしっかりと残されています。本展示では、明治時代に人間が客車を押すという形で運行していた豆相人車鉄道や、昭和まで横浜市・川崎市を走っていた路面電車(市電)などに関する資料をご紹介しています。
また『かながわ鉄道図鑑』などの映像資料の上映や、県内の鉄道が登場する絵本などのお手に取ってご覧いただける資料の展示も行っておりますので、ぜひあわせてご覧ください。
なお、今回展示している資料は、貸出のできない「かながわ資料」のため、館内で閲覧していただきますようお願いいたします。
本展示が、ご来場されたみなさまの更なる学びや新しい発見につながれば、大変うれしく思います。
『横濱鉄道舘蒸汽車往返之圖』はデジタルアーカイブでもご覧いただけます。
(県立図書館:展示担当)