長く感じた夏が終わり、今年も秋になりました。皆さんはどのような秋を過ごしていますか。
読書の秋、スポーツの秋、食欲の秋......いろいろありますが、今回は「理科の秋」についてです。 10月15日(土曜日)に開催した、毎秋恒例「大人の理科教室」についてご紹介します。
今年度のタイトルは「「砂の液状化」を知り『地震時の避難』に活かす」。
講師にNPOブルーアースから岸田隆夫氏をお迎えし開催しました。
今回はなんと4つもの実験を行い、それらについて丁寧に観察と講義を行いました。
とくに参加者の方の関心を集めていた「埋設物が浮上する」実験の概要をここでご紹介します。
ご来館いただいた方に、まずは実験の準備を一緒にしていただきました。
ご持参いただいたペットボトルに、講師が用意した砂を入れ、水を注ぎます。蓋を閉めたらペットボトルを振り、そーっと水だけ流します。この手順を繰り返すと、だんだんと水の濁りが減っていき、砂を洗えていることが分かります。
5回ほど洗浄した後、ボトルにマップピンを入れ、ペットボトルを水で満たして蓋を閉めます。これで実験の準備は完了です。
手順1
ペットボトルをひっくり返し、砂と水が混ざるようよく振ります。ペットボトルの中は砂と水が混じり、灰色に濁ります。
手順2
ペットボトルをそっと机に置きます。砂がゆらゆらと沈み、中にあるマップピンは埋まって何も見えなくなります。
手順3
小さめの「すりこ木」でペットボトル下部の砂がたまった部分を軽く叩きます。
すると、砂の中に埋まっていたマップピンの頭がニョキっと飛び出します。
1回の衝撃ですぐに浮上するマップピンを観察し、会場が一瞬どよめきました。
マップピンは地中に埋設されているマンホールを模しており、手順3で「すりこ木」が与えた衝撃は地震による揺れを意味します。
その後、講師からこの実験から分かること、被災時に活かせることなどについて詳細な説明がありました。
こうして、今年度の大人の理科教室も大盛況のうちに終了しました。
担当として参加していた自分も、つい参加者の方の手元をのぞき込んでしまうなど、興味をそそられる実験教室でした。
ペットボトルの中の世界を見るだけならいいですが、ペットボトルの中が自分達の立つ地面だと思うとぞっとします。
大きな地震が起きないことを祈りながらも、起きてしまったときにいかに自分と周りの人を守ることができるか。
理科教室で学んだことを頭の中の引き出しにしまっておき、いつか必要になるときが来てしまったときに思い出せるようにしたいと思います。
(県立川崎図書館:大人の理科教室担当)