公開

令和4年9月1日(木曜日)、神奈川県立図書館の新しい本館がオープンしました。

午前中には関係者や有識者を招いての開館式が開催され、午後1時からいよいよ開館となりました。

オープニングイベントのテーマは、「本と人を結ぶ場所をつくる~神奈川県立図書館本館リニューアルにおける試み~」です。新しい本館に新たに加わった機能である「価値を創造する図書館」とは何なのか、それを実現していくための様々な工夫について、開館に関わった各講師それぞれの立場から講演していただきました。

幅允孝様、石井秀明様、森あかね地域情報課長 集合写真

ご登壇されたのは写真左から、館内全体の空間演出をはじめ、書架上の本の見せ方や展示の構成などにご助言くださった幅允孝様、外観デザインや館内間取りなど意匠設計をご担当された石井秀明様、そして資料移転などの検討に関わった森あかね地域情報課長の3名です。

前半は、塩田館長のご挨拶に続き、森課長より「価値を創造する図書館」を体現する具体的なスペースを簡単にご紹介した後、ブックディレクターとして様々な図書館や書棚のデザインに関わってきた幅様に、読書の本質やこれからの図書館についてお話いただきました。

デジタル情報が容易に手に入り、他人の情報を簡単にシェアし消費する現代において、誰にも干渉されずある種の孤独と向き合いながら情報を得る「読書」という行為は、特殊でとても大切な時間であるとの幅様のお考えは、新しい図書館の様々な空間や家具にも活かされています。

幅允孝氏の講演の様子

後半は、幅様の考えを取り入れ、建築設計を行った石井様より、デザインの意図や様々な工夫をお伺いしました。ちょっとした角度の違いやフォルムの差は、教えていただかなければなかなか気づかないところでもあるかと思いますが、丁寧なお仕事の積み重ねが、新しい本館の雰囲気を形作っていると知ると、さらに愛着が湧きます。

次に、本の並べ方に関する新たな試みとして「本を"差し出す"棚づくり」について、森課長よりご紹介しました。本を分類にしたがってきれいに並べておくだけでなく、知的好奇心を刺激するような本をセレクトしていく棚づくりは、ぜひこれからみなさまに体感していただきたいです。

イベント会場の様子

新たな試みがたくさん詰まった本館ですが、実は本イベント自体にも新しい試みがありました。

それは、初めて「立ち見」スペースを作ったことです。予約席はほぼ満席、ご来館いただいた方も多く、かえってご不便をおかけしないか心配もありましたが、立ち見を希望された方のご協力で、多くのみなさまに楽しんでいただくことができました。ありがとうございました。

新しい本館はみなさまに見守られ、無事に船出を終えました。連日、多くの方にご来館いただけていること、嬉しく思っております。

ぜひ、ご自分にとってのお気に入りスポットを見つけていただき、腰を落ち着けて読書や研究を楽しんでいただければ幸いです。

(県立図書館:オープニングイベント担当)