タイトルを見て思わず手に取る本があります。
私は今年4月から周囲の環境が変わり、以前より緊張する事が多い毎日を送っていました。
そんな時に書架でタイトルに惹かれ手に取ったのが本書です。
東京大学経済学部教授の柳川範之氏と、400メートルハードル日本記録保持者の為末大氏との会話から始まる本書は、一見自己啓発本のようではありますが、読み進めていくと「学ぶ」ことについてじっくりと考えることができる本でした。
タイトルの意味は序盤ですぐに解明します。アンラーン(Unlearn)とは学ばないという意味ではなく、これから学ぶ前に今までの思考を整理し、今後得る知識をより効果的に吸収するためのプロセスのことをいうそうです。
中でも興味深かったのが、人が生活している上で、今まで育った環境や積み重ねた職歴によって、朝起きたらまずトイレへ向かう次に洗面所へ向かう...など無意識の思考のパターン化や、会社で長年同じ対応をし続けることが正しいと思い込むような思考のクセができていることです。
自分の思考のパターン化やクセができていることなど考えたこともなかったので、認識するだけでも自身のことがわかりやすくなるのだということに気が付くことができました。
また、人生の中で次のステップに進み、経験を活かすことはとても大事ですが、その一方で、今までの経験が足かせになって判断に迷う場面も出てきます。本書では、多くの柔軟な新しい考え方によって、その困難を解決するために、今までに得た知識をどのように整理しておくとよいのか教えてくれています。
わかりやすい文章表現で書かれ、軽快に読み進めることができることも特徴として挙げられると思います。
個人的な意見ではありますが、読み進めて学びを得ることが重荷にならないよう構成や文字の大きさまで細かく配慮されているように感じました。
焦りや、先がわからない不安を抱えている時に読んだこの本が、私にとっての良い「学び」であったのではないかと思います。
最近「人生100年時代」という言葉をよく聞いたり、読んだりするようになりました。
その中で、社会人の学び直しもよく話題に上がるようになってきました。
今後の学び直しに興味がある、どんどん関心があることを学んでいきたいと思っている方には何かを始めるその前に、読んでおくことをお勧めしたいと思う1冊です。
『アンラーン 人生100年時代の新しい「学び」 Unlearn』 柳川範之 著
日経BP 2022年 資料コード:23348915 請求記号:159.4/55 OPAC(所蔵検索)
(神奈川県立図書館:新参者)