神奈川県立の図書館

『エルメスの道』 竹宮惠子 著

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エルメスの道書影県立川崎図書館では2万冊を超える社史をコレクションしていますが、その中から蔵書が少なく珍しい漫画の社史をご紹介します。


フランスの総合ファッションメーカー「エルメス」の名前は世界的に有名ですが、エルメスのロゴである馬車の意味を知っている方は少ないかもしれません。

馬車と御者を描いた1枚の絵画を元にしたロゴマークは「エルメスは最高の品物を用意しますが、それを御すのはお客さま自身です」ということを意味しているそうです。

この社史は漫画家の竹宮惠子さんと中央公論新社が現在のエルメス代表からの依頼により実現し、1997年に出版されました。本館で所蔵しているのは加筆されて2021年に新版として出版されたものです。


初代エルメスから現在は6世代目と続いているエルメス社ですが、それぞれの歴代の「エルメス」の発展と経営に携わってきた高い技術や人間力、新しい挑戦が魅力的に描かれています。


エルメスの初代創業者ティエリ・エルメスはドイツに亡命していたフランス人の両親のもとに生まれました。

ティエリは優れた馬具を作る真面目で腕の良い職人で、その腕を見込まれてフランスに戻り修行を経て、職人としての高い技術と丁寧な仕事振りで人気を得ました。そして、自分で起こした高級馬具屋を更に格上の上質な皮革を使った鞍屋にまで発展させました。

それを継いで更にエルメスを世の中に広めていった人物はティエリの息子たちで、兄は職人として父親の技術を受け継ぎ、弟は持ち前の愛嬌と経営の才能でエルメスの事業を多角化し拡大していきました。


この弟エミール・モーリスが3代目エルメスであり、後にミスターエルメスと呼ばれる人物です。

初代からの強靭な意志と厳格さを受け継ぎ、エルメス社の土台と完璧主義の基礎を引き継いで、先見性と機転やアイディアで歴史に残る戦争や世界恐慌の荒波を乗り越えました。

そして、多くの支援者やその時々の素晴らしいパートナーと共に、一流の皮製品や新しい製品を世に出し、世界中に名の知れる「エルメス」を現代に残しました。


エルメスの縫製技術は、同じ時代を生きていたファッションデザイナーのココ・シャネルのデザインした洋服にも使われていています。

この他にもエルメス発の様々なアイディアが現在のファッション業界にも多く残されているので気になる方は手に取って確かめてみてください。


そして、エルメスのトレードマークの包装紙やリボン、スカーフのデザインへのこだわりやエルメスで人気のケリーバッグの由来、新版のこの本には旧版にはなかった日本のエルメスの店舗のこと等を描いた新規書下ろしエピソードも収録されています。

銀座メゾンエルメスはたくさんの技術者や人々の想いが関わって、行灯(あんどん)をイメージしたガラス張りの店舗になっています。

エルメスが日本の芸術からヒントを得てデザインに影響を受けているエピソードは読んでいてわくわくしてきます。

今でも世界中で愛され続けているエルメスの歴史を読んでみませんか。


『エルメスの道 Le chemin d'Herme`s 』 竹宮惠子著

中央公論社 資料コード:81753139 請求記号:S589.2/H OPAC(所蔵検索)


(県立川崎図書館:エルメス・カレがほしい)