図書課はどんな仕事をしていると思いますか?
図書館に並ぶ資料のうち、図書の「選書(選定)」「整理(データ登録・装備)」「修理・保存」を担っています。
表に出ない裏方業務なので、これから詳しくご紹介していきます。
選書(選定)
・「神奈川県立図書館資料収集要綱」や「資料選定基準」に基づいて行う
・郷土資料や官公庁出版物、美術館の図録、学校や団体の記念誌など、市販ルートでは入手困難な資料についても積極的に収集する
図書館は所蔵資料を基にサービスを行います。
多くの出版物の中から所蔵資料を選ぶ作業は、図書館の蔵書を支える重要な仕事です。
寄贈される資料も全て所蔵するのではなく、要綱や基準に基づき内容によって選書を行います。
<選書の準備>
・予備調査:重複本や旧版(改訂版)の有無、類書との比較、目次、内容、著者の経歴や著作、価格の確認
・選書のツール:「週刊 新刊情報(トーハン発行)」「JAPAN/MARC(国立国会図書館データ)」、新聞書評、出版社チラシなど
予備調査では、新刊情報を元に図書の内容を確認し、選書の理由を明確にする判断材料を揃えます。
<課内選定>
・資料選定会議に向けて毎週図書課で実施
・見計い図書(書店が図書館の収集目的や興味対象をみはからって、注文を待たずに持ち込む本)や、予備調査の結果をもとに購入候補や寄贈依頼候補を検討
・課内選定の結果を素案として各課で検討
<図書資料選定会議>
・「神奈川県立図書館資料収集会議要領」に基づき隔週で開催
・全館の選定担当者が、課ごとの検討結果を持ち寄り審議を行う
・審議結果を反映し原案とする
・原案の決裁後、発注・寄贈依頼等の図書取得手続きを行う
図書館で受け入れる図書は、すべてこの選定会議で承認され、館長決裁を受けます。
<発注・納品・受入>※購入の場合
・決裁内容をもとに書店に発注、納品
・受入用書類作成、各資料のバーコード番号(資料ID)を取得
納品された本は発注リストと照合し、もれや価格等の間違いがないかチェックします。納品が遅れている場合は督促をかけます。
整理
<データ作成・登録>
・書誌データと現物の情報から、NDC(日本十進分類法)を確認し、登録する分類を決定する
・所蔵データを登録し請求記号を決定する
資料のデータに間違いがあると、目的の資料が見つけられなくなります。慎重に確認し、必要に応じて情報を追加します。特に、伝記事項が記載されている人物については、伝記索引(個人件名)を追加入力しています。
また、神奈川県関係の記事が記載されている場合は「神奈川県関係記事・文献情報」として別のデータベースに記事名と資料の情報を入力しています。
図書の分類は資料の内容を示すもので、この分類を元に請求記号(図書ラベル)が決まります。
<装備>
・図書ラベル作成
・所蔵印の押印、カバーの糊付け等の装備
図書ラベルは永年保存に耐えるよう、文字が薄くなりにくい証券用インクで1枚ずつ手書きします。
ページ数が少ない背幅が細い資料の場合は、1桁目の位置を揃えて細目に書くなど、必ず数字が見えるように工夫しています。
装備が整った資料を順次閲覧業務担当課へ引き渡し、本が棚に並びます。
修理・保存
県立図書館では資料を永年保存しているため、受入時の段階で傷みにくい処理を行っています。
ページが外れやすい資料を麻糸で綴じ直す、中性紙(弱アルカリ性)で保存容器を作り収納するなど、それぞれの資料に合わせた装備を行います。
資料が傷んでしまった場合も、資料に出来るだけ負担をかけず、再修理可能な素材を使用して修理を行います。
紙の状態(酸性紙の劣化)や壊れ方によっては修理をせず、保存容器を作成し入れることもあります。
表からは見えにくい図書課のお仕事ですが、準備が整った新刊本を出来るだけ早く提供できるよう、日々登録装備作業を頑張っています。
(県立図書館:図書課職員)