神奈川県立図書館前の紅葉坂を下り、音楽通りをぬけた先にある野毛界隈には、ジャズ喫茶、バー、ライブハウスが数多くあります。
日本にジャズが入ってきたのは大正時代の半ばだそうです。横浜では1925(大正14)年、松旭斎天勝一座という奇術団がアメリカを回った後、伊勢佐木町の喜楽座で帰朝公演を行うという広告が横浜貿易新報(神奈川新聞の前身)に掲載されています。
その広告にはバンド名と演奏曲が載っていて、演目の一部でジャズの曲が演奏されたことがわかります。
本場ニューヨークから連れ帰ったジャズバンドによる、最先端を行っていたのですね。
ジャズはアメリカ南部の港町、ニューオリンズで誕生しました。1865年の南北戦争の終結により、人々が職を求めて街へと移り住みました。そこで黒人たちのリズムや歌が楽器と出会い、ブルース、ラグタイムといったジャズの基となる音楽が生まれたのです。
やがて拠点はニューヨークへと移り、世界大恐慌のあと人々は心安らぐ軽快な音楽を望む傾向にあったため、ダンス音楽であるスウィングが誕生しました。その後もビバップ、クール、ハードバップ等、絶えず変遷しながら幅を広げ、スタイルの変化がそのままジャズのジャンルとなっています。
今回ご紹介する本は、アメリカのジャズ100年間の歴史を横軸に、縦軸にそれぞれの時代に活躍したミュージシャンを配置して綴られています。
時代背景、楽器や機材の発達、楽団の編成、演奏方法等により新しい音楽が生み出されていく過程と、綺羅星のようなミュージシャンたちの略歴、活動、代表曲、ジャケット写真が載せられています。
付録には「代表的なJAZZのレーベル」が付いていて、三大レーベル(「Blue Note」「Prestige」「Riverside」)を中心に、それぞれの特性が解説されています。
巻末には32ページの「JAZZ用語辞典」 があり、クラシック中心の学校教育では教わらなかった音楽用語が解説されています。程よい分量でキーワードや人物がまとめられ、ジャズ初心者にとって読みやすい内容になっています。
県立図書館では、本だけではなくジャズのレコードやCDも貸し出しています。気になるミュージシャンを見つけたら、その作品を探してみてはいかがでしょうか。
『面白いほどよくわかるジャズのすべて ジャズの歴史から聴き方・楽しみ方まで 学校で教えない教科書』
澤田俊祐/監修 日本文芸社 2007年
資料コード:22078232 請求記号:64.7SS/439 OPAC(所蔵検索)
(県立図書館:The 延滞痛いナー)