本記事は、新型コロナウイルス感染防止対策のため開催中止となった展示「水族館が誘うかながわの水辺」を、Web版として編集して公開するものです。
はじめに
水辺の生きものの生態を楽しく学べる施設、水族館。
世界の珍しい魚たちの水槽も人気ですが、一部の水族館に地元の水辺を再現した水槽があることをご存知でしょうか。
そこでは、馴染み深い魚たちを観察し、地元の水辺の魅力を再発見できます。
これから4回の連載で県内水族館の地元をテーマにした水槽をご紹介、当館所蔵の関連資料から解説を加えて、神奈川の水辺の魅力をご紹介します。
新江ノ島水族館
新江ノ島水族館は、2004年に閉館した江の島水族館の研究等を継承して開館した水族館です。
「相模湾と太平洋」「生物」をテーマに、楽しみながら学べる展示が特徴です。
60年以上続くクラゲの研究は飼育・繁殖の賞、古賀賞を受賞するなど、高い評価を得ています。
また、海洋研究開発機構との共同研究で深海生物の長期飼育展示に取り組んでいます。
相模湾ゾーン
ひときわ大きい「相模湾大水槽」は、水槽の中に波を発生させ、実際に相模湾に生息する生きものだけがくらす相模湾の再現水槽です。群れの形を変えながら泳ぐ8,000匹のマイワシの大群を間近に見ることができます。
また、世界初の生きたシラスの展示「シラスサイエンス」では、湘南の特産品であるシラスの成長過程を観察できます。
なぎさの体験学習館
湘南のなぎさとふれあい、なぎさの大切さを「知る」「学ぶ」「考える」「行動する」ことを基本テーマとする体験学習施設です。
波や飛砂の実験装置やなぎさの生きものの水槽、漂着物を使った工作で環境や生きものについて楽しく学ぶことができます。
おうちでも楽しい新江ノ島水族館(外部リンク)
展示飼育スタッフの方々がホームページで「えのすいトリ―ター日誌」を連載しています。
生きものの様子があたたかく伝わる文章を読んでいくうちに、いつのまにか読者も生きものたちを名前で呼べるようになっている、そんな充実の内容です。 更新情報はTwitterから。
(画像提供:新江ノ島水族館)
相模湾
新江ノ島水族館で特集される神奈川の海「相模湾」は、三浦半島の城ヶ島と伊豆半島の真鶴岬から北の海域を指します。
駿河湾、富山湾と並ぶ水深1,000m越えの深海を持つ海域です。海底にはプレートの境界が走り起伏が激しく、箱根側には海底火山も分布します。
黒潮の流入、河川からの栄養豊富な淡水の流入により、日本近海産の3分の1にあたる約1,300種もの多様な魚類が生息しています。
相模湾の海底は急激に深くなる特徴があり、さほど沖合に出ず、陸から近い所でも良い漁場に恵まれています。
獲れた魚は新鮮な状態で港に運ばれるため、神奈川県には海由来の名産が多くあります。
地元の名産品を指定した「かながわ名産百選」が2018年度に新たに定められましたが、そこにも様々な海産物が登場します。
「湘南しらす」は漁から加工(釜揚げ)、販売を地域内で行う地産地消型の漁業が営まれています。産地でしか食べられない生しらすや、釜揚げしらすなどの加工品、しらす丼と、しらすだけで三種が登録されています。
小田原のかまぼこ・ちくわ、相模湾の干物など水産加工物も多く、相模湾の恵みが「かながわ名産百選」の中に表れています。
(国際文化観光局観光課 提供資料)
(県立図書館:展示担当)