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みなさん、StayHomeのお供にどんな本と出会いましたか?

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神奈川県立図書館では、令和2年113日に「令和2年度文字・活字文化の日記念 Books A to Z in Library 働き方×withコロナ」を開催しました。イベントでは、フリーアナウンサーで書評家の北村浩子氏に、コロナの時代の新しい生活様式や働き方を前向きに考えるきっかけとなる本というテーマで、7冊ご紹介いただきました。

ソーシャルディスタンスに配慮し、定員数を絞ってのイベントでしたので、ダイジェスト動画を8つの動画に分けて公開しています。

【令和2年度文字・活字文化の日記念「Books A to Z in Library 働き方×withコロナ」 ダイジェスト動画】

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動画の内容を少しだけご紹介いたします。


1『首里の馬』 高山羽根子 新潮社 2020

1冊めのご紹介は、高山羽根子さん著の『首里の馬』。第163回 芥川賞受賞作です。

「この本をご紹介しようと思ったのは、高山さんがこの本をお書きになっていた時は、コロナの恐怖というのはまだなかった頃だと思うんですけれども、まるで今の世界を予言しているかのような仕事を主人公がしているからなんです」


2『パチンコ(上・下)』 ミン・ジン・リー 文藝春秋 2020

2冊めのご紹介は、ミン・ジン・リーさん著の『パチンコ』。日本統治下の朝鮮から大阪へ渡った在日コリアン4世代を描く大河小説。韓国系アメリカ人の著者による、アメリカでベストセラーになった小説です。

「今日みなさんにご紹介する本は、私が時間を忘れて読んだ本ばかりを持って来たんですけれども、このパチンコはその筆頭です」「ある家族の4世代にわたる物語で、1910年の韓国の釜山から始まります」「実は下巻では横浜も登場します」


3『屋上で会いましょう』 チョン・セラン 亜紀書房 2020

3冊めのご紹介は、チョン・セランさん著『屋上で会いましょう』。韓国の元編集者の女性作家が、現代の女性たちが抱えるさまざまな問題や、社会に広がる不条理を描いています。

「これは9つの短編が収められた短編集なんですけれども、おかしかったり切なかったりほろ苦かったり、普通の人の人生の小さな断片の中にいかにたくさんのものが詰まっているかということを文章で見せてくれます」


4『セヘルが見なかった夜明け』 セラハッテン・デミルタシュ 早川書房 2020

4冊めのご紹介は、セラハッテン・デミルタシュさん著の『セヘルが見なかった夜明け』。トルコの少数民族ザザにルーツを持ち、政治犯として拘留中の著者による短編小説です。

「悲しい話ばかりじゃなくて、ちょっと笑えたりしみじみさせられる、本職の作家じゃないのに非常にテクニカルな小説の書き手です」「私はこの本を読んだ後にこの本を抱きしめたいような、そんな気持ちになりました」


5『リボンの男』 山崎ナオコーラ 河出書房新社 2019

5冊めのご紹介は、山崎ナオコーラさん著の『リボンの男』。自分より収入の多いみどりと結婚し、子どもが生まれたのを機に専業主夫となった妹子が、息子タロウと見つけた新しい家族の形の物語。

「働き方っていう言葉を考えた時に、それは家族をどう運営していくかということでもあると思いませんか」「このリボンの男の家族のあり方は、その参考になるんじゃないかなあという、そんな作品です」


6『自転しながら公転する』 山本文緒著 新潮社 2020

6冊めのご紹介は、山本文緒さん著の『自転しながら公転する』。仕事、恋愛、介護・・・様々な課題にぶつかりながらも、主人公のひたむきな姿に共感する1冊です。

「小説では、自分とは違う人に会いたいとすごく思います。そして小説で嫌な人に会っても全然困らないわけじゃないですか。なので、そういう登場人物が出てくる作品を読むと、なんだか嬉しくなってくるっていうところがあります」


また、ご講演中にご紹介いただきました『百年と一日』からの2編の朗読についても、著作権者の柴崎友香様と筑摩書房様に許諾をいただき、一年間の期間限定で公開いたします。


7『百年と一日』柴崎友香著 筑摩書房 2020

柴崎友香さん著の『百年と一日』は物語のおおよそがわかってしまう長めのタイトルがつけられた33の短編集です。講演では以下の二編を朗読いただきました。 「水島は交通事故に遭い、しばらく入院していたが後遺症もなく、事故の記憶も薄れかけてきた七年後に出張先の東京で、事故を起こした車を運転していた横田を見かけた」「雑居ビルの一階には小さな店がいくつも入っていて、いちばん奥でカフェを始めた女は占い師に輝かしい未来を予言された」


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コロナ対策で参加人数を絞りアットホームな空気の中で開催されましたが、当日のご参加者からは大変ご好評をいただいたイベントです。視聴すればどの本も手に取りたくなること間違いなし。講座担当者も早速3冊読了しました。

動画コンテンツを作成するのは初めてで、撮影機材や編集ソフトの扱いに四苦八苦しながら作成しました。ぜひぜひご視聴よろしくお願いいたします。

(県立図書館:「文字・活字文化の日記念講演」担当)