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「日本の植物学の父」と称される植物学者牧野富太郎と、「知の巨人」と呼ばれ粘菌の研究で名をはせた南方熊楠は、同時代を生きた偉人であり、共にアカデミーに属さず自己の研究を貫いた在野の研究者です。二人は面識こそありませんでしたが、共に植物に対する関心が高く、手紙で交流していたことが知られています。困難の末に植物図鑑を発行するという夢をかなえた牧野富太郎と、植物学だけでなく博物学、民俗学にも造詣が深く、粘菌の研究で日本の水準を世界のレベルにまで引き上げた南方熊楠。今回はこの二人に関わる資料をご紹介していきます。

図書のとびら

牧野日本植物圖鑑

牧野富太郎/著 北隆館 1948年刊 470.3/18/3 <11281870>

「日本中の植物の名付け親になり、それらが全部載った図鑑を出したい」1940年(昭和15年)、ついに研究の集大成である『牧野日本植物図鑑』が刊行されました。牧野富太郎78歳。当館で所蔵している最も古い『牧野日本植物図鑑』は、それから8年後の1948年に刊行されたものです。植物図鑑の最高峰である『牧野日本植物図鑑』は、何度も改訂を繰り返しながら今も刊行され続けています。

※令和5年秋の収蔵館改修工事着工に向けて、収蔵館内の資料を前川國男館および外部書庫へ移転しました。この図書は外部書庫からの取り寄せが可能となり次第ご利用いただけます。

南方熊楠英文論考「ネイチャー」誌篇

南方熊楠/著 松居竜五ほか訳 集英社 2005年刊 380.4PP/180 <21915343>

南方熊楠は大学予備門を中退し外国に渡りました。イギリスでは大英博物館で働きながら、科学雑誌『ネイチャー』等に論文を投稿するという生活を続けていました。外国の周遊から14年、日本に帰国してからは和歌山県田辺を永住の地と定め、粘菌等の研究に没頭し成果を上げていきます。この本は南方熊楠が26歳で『ネイチャー』に投稿した「東洋の星座」を始め、63篇の英語の論文が日本語に訳され収録されています。

牧野富太郎選集 第1から5

牧野富太郎著 東京美術 1970年 470.8/101/1から5 <21283742ほか>

原色牧野植物大図鑑

牧野富太郎著 北隆館 1982470.3/59 1 <11282597>

新牧野日本植物圖鑑

牧野富太郎原著 大橋広好ほか編 北隆館 2008年 470.38/1A <22257166>

牧野万葉植物図鑑

牧野富太郎原著 邑田仁ほか編 北隆館 2022年 470.38/14 <23435696>

もっと知りたい牧野富太郎

池田博著 東京美術 2023年 289.1/7918 <23455272>

牧野富太郎の植物図鑑

高知県立牧野植物園監修・写真提供 三才ブックス 2023年 472.1/123 <23455025>

南方熊楠全集 全12巻

南方熊楠著 平凡社 1971から1975年 081.8/47/1から12 <10158061ほか>

十二支考 上下2巻 岩波文庫

南方熊楠著 岩波書店 1994年 イ388/ミ 1,2 <20649851ほか>

南方熊楠 複眼の学問構想

松居竜五著 慶応義塾大学出版会 2016年 289.1/6176 <22908727>

南方熊楠と日本文学

伊藤慎吾著 勉誠出版 2020年 910.2/345 <23138167>

南方熊楠のロンドン

志村真幸著 慶応義塾大学出版会 2020年 289.1/7276 <23125727>

南方熊楠・萃点の思想

鶴見和子著 藤原書店 2021年 289.1/7652 <23247745>

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