神奈川県立の図書館

第5期after5ゼミ第2回 ナディ「『当たり前』のその先へ」

公開

aftr5ゼミ第2回「『当たり前』のその先へ」が2026年8月28日(金曜日)に開催されました。イラン生まれのナディさんを講師に迎え、ご自身の経験や多様性、多文化とは何かについてお話していただきました。


第2回ゼミの様子

イラン生まれのナディさんは、出稼ぎ労働目的のご両親、弟二人と共に6歳で来日、オーバーステイを経験し高校在学中に在留特別許可を得ました。現在は働きながら子育てに奮闘する2児の母です。

多様性というとイコール外国人とよく言われがちですが、そうではなく、多様性とは「私たち日本に生きている人、世界中で生きている人がそれまで当たり前だと思っていたことを変えるチャンスの一つ」だと冒頭で話されました。"当たり前"に疑問を持たずにただ従うのではなく、考えることをやめてはいけないのではないかと。
ナディさんが日本の学校に入学した際、ご自身のイメージしていた日本との違いを感じながら、"当たり前"のブルマをはいたり、給食を毎回完食したりと暗黙のルールの中で生活していました。違いを感じるのは自分がイラン人だから、イスラム教徒だからしょうがないと自分に言い聞かせて、なぜ?と考えることをやめていました。良い外国人でいよう、受け入れてくれた日本に恩返しをしようと努力し続けてきましたが、自分の生活に疑問を持ち、学校の先生にブルマや豚肉について相談したことにより、周りの"当たり前"から抜け出したのです。(写真:第2回ゼミの様子)



後半は伊藤先生との対話となりましたが、近所の方が日本語を教えてくれたこと、いつ強制送還されるかわからない不安の中で受験勉強をし、在留特別許可がおりて永住者として日本で暮らせるようになったことなど、著書に書かれていることから現在の心境の変化までお話しされました。
ナディさんは、コロナ禍前にお子様を連れてイランへ帰った時、あまりルールが整っていない中だからこそ自分で考えて行動をしているイラン人を、あまりにもかっこよく感じたそうです。
制度が整っていない途上国だからこそ、考えて行動しているのではないか。先進国になればルールはあってもそれにとらわれて、当たり前の先を考えようとしなくなってしまうのではないか。
その時の体験を機に、考えることを継続するにはどうしたらいいのか、考え続けるためのきっかけが多様性なのではないか、と考えるようになったということです。
最後にゼミ生同士で、ナディさんのお話を伺った感想やそれぞれの意見を共有しました。



ブッククラブの様子

後日行われたブッククラブでも、参加者同士で「当たり前を疑うこと」「当たり前とは」などについて意見交換が盛んに行われ、「考え続けることが大切」という講師の言葉を共通認識としながら、多くのことが語られました。特にブルマについては、それぞれご自身の経験に引きつけて、多くの感想や意見が聞かれました。グループでの意見交換の時間ではホワイトボードに沢山の付箋が貼られ、ブッククラブ当日は、残念ながら参加できないというゼミ生から、事前に感想レポートが送られてきたり、複数冊のオススメ本を持参された方もおり、参加者の熱意が感じ取れました。
(写真:ブッククラブの様子)


途中の休憩時間も、珈琲を片手に話し合いを続けていらっしゃる方々もいて、賑わいが絶えませんでした。ブッククラブ終了の時間になってもその賑わいは続き、終了の声掛けをためらうほどで、皆さんに多くの気付きを持ち帰っていただけたのではないかと思います。

ゼミを前提としたブッククラブではありますが、講師の話を拝聴するだけでなく、参加者それぞれの意見を共有し合うことの意義を改めて感じました。
3回目以降もぜひ、熱い意見交換の場であってほしいと願います。


(県立図書館:毎日頑張ってます)

【関連図書】
『ふるさとって呼んでもいいですか 6歳で「移民」になった私の物語』大月書店 2019年
請求記号: 334.41/184 資料コード: 23085913
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