神奈川県立の図書館

第5期after5ゼミ第1回 ルダシングワ真美「義足づくりを通してルワンダを知る」

公開

身近な課題を図書館で考える語らいの場「after5ゼミ」は、今年第5期を迎えました。
今期は「互いの世界を知るには」をテーマに、多文化共生に関する社会課題を深掘りしていきます。


2026年7月24日(金曜日)、第1回ゼミが開催されました。

左から伊藤先生、真美さんムリンディ/ジャパン・ワンラブ・プロジェクト副代表のルダシングワ真美さん(以下真美さん)をお招きし、ルワンダでの義足づくりについてお話していただきました。
真美さんの夫で同代表のガテラ・ルダシングワ・エマニュエルさん(以下ガテラさん)とご一緒にお話を伺う予定でしたが、残念ながら調整がつかずご登壇が叶いませんでした。

真美さんは茅ケ崎生まれ。1996年にルワンダで義肢製作所を設立し、義足・装具・杖などの装具を無償提供しています。
最初に、美しい映像と共にルワンダという国について説明がありました。
真美さんがルワンダと関わるようになった30年の間に急激に近代化が進み、その背景には1994年のルワンダ大虐殺(ジェノサイド)があることが語られました。
ヨーロッパの支配が進み、優劣で民族を区別したことで国民同士の争いが起こり、一説には3ヶ月で100万人以上とも言われる人々が命を落とし、さらに紛争や地雷で多くの人が障害を負ったといわれています。
「ジェノサイドは遠い国の話に聞こえるかもしれませんが、私はいつどこで起こってもおかしくない事だと思っています。」と強調されました。

ガテラさんは子供の頃に罹ったマラリアの治療ミスにより足が不自由になり、装具を使って生活をしていました。語学留学のためケニアを訪れていた真美さんとガテラさんが出会い、真美さんが帰国してからも文通が続きました。
ガテラさんが日本を訪れた際に装具が壊れてしまい、横浜の平井義肢製作所で新しい装具を作りました。軽さと歩きやすさに驚いたガテラさんは、この技術をルワンダに持ち帰りたいと考えます。同時に真美さんは「この技術を体得すれば彼が喜ぶだろう」と考え、義肢製作所で働きながら国家資格を取り、ルワンダへ向かう準備を進めます。

(写真左からファシリテーターの伊藤達矢さん、講師のルダシングワ真美さん)

「たまたま出会った人が、義肢装具を作りたいと思わせてくれた人でした。彼を好きになり、活動が始まりました。」というまっすぐな言葉が印象に残りました。
ルワンダの義肢製作所「ワンラブ・ランド」は、煉瓦を作るところから始まりました。既製品に頼らないルワンダ人の頼もしさと応用力に助けられて完成した製作所には、連日多くの人が訪れました。
ジェノサイドを経て手足を失った人は80万人以上といわれています。
義肢を必要としている人は職に就くことが難しく自立を阻まれているため、「ワンラブ・ランド」では全ての装具を無償で提供しています。
費用は全て寄付や講演料で賄われており、国からの補助や支援などは受けていません。
「正直にいうと、30年間笑顔よりもしかめ面で怒っている日の方が多いです。それでも表情の暗かった人が笑顔で帰っていく姿は毎回とても嬉しいです。」と振り返ります。
真美さんのお話のあと、ゼミ生同士で感想を語り合う時間を設けました。
伊藤先生からは、寄付で賄われている真美さんの活動について、マルセル・モースの『贈与論』を引き合いに貨幣経済とは異なる循環の可能性について補足がありました。

最後にゼミ生から「真美さんの幸せの定義はありますか?」と問われ、
「"ガテラのため"という個人的なスタートだったから続けてこられたと思います。大きな夢は特になく、今やっている事が続けば、ああ良かったなと死ねると思います。」と笑顔で結ばれました。


ゼミの様子ブッククラブの様子 (写真 after5ゼミ第1回ゼミの様子)                                (写真 ブッククラブの様子)



(県立図書館:イベント担当)