Lib活「県民が編むかながわの半世紀」は、資料としてまとめられているものが少ない高度経済成長期以降の神奈川県の動きについて知り、図書館資料などを基に調べ、その成果をまとめるという全8回の連続講座です。
今年度開催の第3期も、幅広い年代、地域から16人の受講者が集まり、昨年7月からの約半年間、「つながる・広がるかながわ」をテーマに、個人レポートとチーム成果物の2種類の完成を目指して活動しました。
コーディネーターには、第1期より引き続きフェリス女学院大学名誉教授の大西比呂志先生を迎え、神奈川県の現代史や歴史研究の方法についてご講義いただいたほか、テーマ設定のポイントや、レポートの書き方等についてもご指導いただきました。
また今期のゲストアドバイザーは、フェリス女学院大学国際交流学部准教授の高雄綾子先生と、神奈川県立公文書館の関根豊氏のお二方にお引き受けいただきました。高雄先生には環境という視点で捉えたドイツと神奈川のまちづくりについて、関根氏には公文書館の概要や公文書の探し方・読み解き方についてご講義いただきました。関根氏のゲストアドバイザー回は、当講座初の図書館外活動として県立公文書館で実施し、さながら遠足のようでした。
講座の最終回にはチームでの発表と修了式が行われ、受講者それぞれが何に興味を持って研究を進めてきたのか、チーム内での共通点や、そこから見えてきた「かながわの半世紀」の姿が語られました。
今期の受講者が作成した個人レポートのタイトルをご紹介します。レポートは今後、図書館ホームページに掲載予定ですので、お楽しみに!
<チームA>
共通点は「人材育成」
・世界につながる横浜港 ~神奈川県から広がるコーヒーサプライチェーン~
・神奈川県の味「けんちん汁」復活で取り戻す豊かな食生活~50年間に疎かになったことのひとつとして~
・未来へと「つながる」、「ひろがる」神奈川の美「横浜スカーフ」の歩み 培ってきた匠の技、デザインが「世界へ」、「新しき匠へ」
・高校百校新設計画 すべての者に学びの場を~広がる教育とその先へ~
・日本の大学における留学生のグローバル人材育成:神奈川県内の事例として慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスにおける日本国内への就職支援への一考察
<チームB>
共通点は「生まれ育った土地への愛着」、「日常を通じた地域とのつながり」
また、「文化」・「活動」・「地理」という3つの展開軸でチーム内を捉えました。
・エコミュージアムはふるさとを生む?―茅ヶ崎市の場合―
・武蔵野線がつなぐ、首都圏の未来~埼玉は翔べるか~
・神奈川東部方面線の整備と「新横浜沿線圏域」の形成
・横浜市における繁華街と百貨店の変遷について―横浜駅周辺地域と伊勢佐木町地域を中心としてー
・どうなる故郷の名前―相模原市の例―
<チームC>
共通点は「かながわの深層を支えているもの、未来へつなぎたいこと」
・道の駅の30年 なぜ神奈川県に道の駅が少ないのか?
・神奈川の水の恵をつなぐ~未来のために県民としてできること~
・神奈川民間学の誕生 -横浜いのちの電話設立期の考察-
・みなとみらい21開発小史 -地理的・歴史的背景と街づくりの新たな試み-
・なぜ三浦半島を選ぶのか~活断層の上での暮らし~
受講者お一人お一人の調査の賜物であるレポートは、大変興味深く読み応えのある内容となっています。
時にはコーディネーターの大西先生やチームのメンバーからアドバイスを受け、完成を迎えました。
大西先生からは、「受講生それぞれのキャリアを活かした、その人ならではの情報や知識、経験が今回のレポートにふんだんに盛り込まれている」とのご講評をいただきました。
第4期は5月下旬ごろに募集開始の予定です。これまでとはまた違った視点から、神奈川の半世紀に迫りたいと考えています。
私たちの住む「かながわの半世紀」について調べてみたいと思った方、ぜひ次期の講座への参加をご検討ください!
(県立図書館:Lib活「県民が編むかながわの半世紀」担当)