2022年2月19日、オンライン講座「なぜ、女は「わたし」で男は「ぼく」なのか?~男女別自称詞について考えてみよう~」を開催しました。
神奈川県立図書館には「女性関連資料室」があり、ジェンダーに関する資料を積極的に収集しています。
このコレクションの中には、男女共同参画・女性の社会進出を掲げる資料はもちろん、女らしさや男らしさなど、性別に関する考え方を深く掘り下げる研究書も数多くあります。
そんな多彩な資料の魅力をお伝えするべく、今回は『自分らしさと日本語』『女ことばはつくられる』の著者である中村桃子先生をお招きし、言葉とジェンダーをテーマにお話を伺いました。
講座ではタイトルの通り、語り手のことを指す「自称詞」が、なぜ主に性別によって使い分けられているのか、また、使い分けられることによって、どのようなことが起きているのかを考えていきました。
最も興味深かったのが少女の自称詞のお話です。皆さんは子どものころ、自分のことを「○○ちゃん/くん」と呼んでいた記憶はありませんか。
私は小学校くらいの頃から「○○ちゃん」を使わないように、特に学校では気を付けて自称詞を変えていきました。その頃は「わたし」というのも背伸びしすぎているような気がして、「うち」を使うようにしていました。
「○○ちゃん」を卒業するとき、少女は自称詞に「うち」や「僕」を選び、「わたし」を使うことは少ないそうです。
この理由について、ジェンダーの視点で解説いただきました。
英語の「I」と比べて多種多様の自称詞が存在する一方、すべての人が自分に合うものを使うには至らない...日本語の自称詞の不思議が紐解かれるうちに、それが語り手のアイデンティティを表現する重要なことばであることがわかります。
質疑の時間には、受講者の皆様の体験や、そこから生まれた疑問が飛び出し、それぞれ先生から丁寧にお答えいただきました。また、参考文献も多数ご紹介いただきました。改めて考えてみると疑問が尽きない世界でしたが、関連する文献を読めば、また新たな学びにつながるかもしれません。
新棟へのお引越し期間、県立図書館の資料は大部分が閲覧停止となりますが、女性関連資料は引き続き積極的に収集して参ります。新棟オープン後にぜひご活用ください。
【神奈川県立図書館】「女性関連資料PR講座」関連資料リスト(794KB).pdf
(県立図書館:女性関連資料PR講座担当)