みなさんは、図書館職員が普段どんな仕事をしているか知っていますか?
本の貸出や返却、図書館カードの発行に、書架の整頓、本の受入れや除籍...。
イメージはいろいろ浮かぶけれど、実はこの他にも、図書館には様々な仕事があります。
そこで、普段なかなか見ることがない県立図書館の裏側を、全6回にわたってご紹介します!
第1回は企画協力課です。
企画協力課では、主に「図書館ネットワーク」「連携・協力」「図書館人材の育成」という3つの事業を担当しています。
1 図書館ネットワーク事業
「神奈川県図書館情報ネットワーク(以下KL-NET)」の運営を行っています。
KL-NETは、大きく分けると一般利用者向けインターネット・サービスと、県内図書館向け相互貸借支援サービスの2つがあります。
また、県立図書館のホームページなど、システム全般の整備に携わっています。
■一般利用者向けインターネット・サービス
・24時間所蔵検索、県内横断検索
・「Myライブラリー」(資料予約、貸出状況確認サービス) 等
■県内図書館向け相互貸借支援サービス
・「横断検索サービス」
インターネットで両県立図書館の資料の所蔵検索ができるだけでなく、県内の公共図書館等(市町村図書館のすべてと一部の大学図書館など)の蔵書を1回の検索で調べることができます。
・「相互貸借システム」
県内の図書館が、自館で所蔵していない資料を他館に借用依頼したり、提供したりすることができるシステムです。 この相互貸借システムがあることで、県立図書館と、市町村立図書館、大学図書館、専門図書館、県立高等学校図書館等との連携をはかることができます。
2 連携・協力事業
企画 "協力"課という名前がついているとおり、担当業務のうち、協力事業は大きな役割を占めています。
図書館資料搬送システムの運営や、大学図書館、専門図書館、県立高校、県機関などとの連携事業を行っています。
みなさんも、「借りたい本があるけれど、いつも利用している図書館には所蔵されていない...」と困ったことはありませんか?
県立図書館や他の市町村図書館などに貸出可能な本が所蔵されてれいば、図書館を通して希望の本を依頼することができます。
この相互貸借システムは、本の貸し借り以外にも、掲示板機能を使って県内の図書館同士で情報共有をしたり、自館で解決できなかったレファレンスを依頼したりと、様々な用途で使われています。
では、相互貸借資料が貸し出されていく様子を見てみましょう。
相互貸借システムで、A図書館から依頼されたB図書館の本は、県立図書館が所有する「協力車」や専用の宅配便を使って、一度県立図書館を経由して各市町図書館へ仕分けされます。
なぜ県立図書館を経由するかというと、その都度相手先の館へ送るよりも、まとめて発送した方が費用的にも人員的にも効率が良いためです。
令和2年度の相互貸借資料貸出数は約11万冊!(※県立・33市町村・大学・専門図書館間合計)往復で約22万冊の本が県立図書館を通過しています。
県立図書館に届いたB図書館の本は、貸出先のA図書館の棚へ配架されます。この棚は市町村ごとに分かれていています。
A図書館行きの本は、配達日が近づくとコンテナへ詰められます。輸送中にコンテナの中で本が動いて傷まないように、大きさや厚みをバランスよく配置しながら、隙間なく箱詰めします。
配達日、A図書館行きのコンテナは、他の市町村行きのコンテナと一緒に、利用者の元へと旅立って行きます。
協力車で配達する場合は、司書が1名同乗します。神奈川県内の市町村図書館を7つのコースに振り分け、2週間かけて一回りします。1日4~6か所の図書館を巡回して情報提供や業務相談を行っています。
新型コロナウイルス感染症対策を実施している現在は同乗を休止していますが、電話やメール、Zoomを利用した打ち合わせを行い、県内図書館の連携に努めています。
3 図書館人材の育成
県立図書館では、県域全体で質の高い図書館サービスを提供するために、市町村立図書館、県立学校図書館、専門図書館等の職員向けに、研修の企画・運営をしています。
よりよい図書館づくりをめざす職員の方々の日々の業務のお役に立てるよう、時勢のニーズに合わせたテーマを選び、研修を企画しています。
いかがでしたか?
企画協力課は、市町村図書館の支援や、他機関との連携を図る業務も多いことから、県立図書館ならではの仕事が多いかもしれません。表にはなかなか見えにくい仕事ですが、みなさまに図書館を便利に使っていただけるよう日々試行錯誤しています。
(県立図書館:企画協力課職員)