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新着資料から

『鎌倉武士の和歌 雅のシルエットと鮮烈な魂 (新典社選書 105)』
菊池威雄著 新典社 2021年[K92.4/124]

本書は、初めに歴史の考察にかなりのページを割いてから、歌の解釈を行っています。そのため、和歌に関する予備知識のない人でも、容易に和歌の世界に入り込むことができます。
鎌倉時代、将軍や北条家を始めとする多くの武士たちの間に、和歌は深く浸透しました。本来、武力を拠り所としてきた武士が、公家文化の神髄である和歌を嗜むようになったのはなぜでしょうか。筆者は、武力だけでは世の中を統治することはできないことに武士が気付いたからだ、と述べています。鎌倉幕府にとっての急務は、宮廷文化を摂取して、統治の権威を確立することにあり、和歌は、権威を成り立たせるための高度な教養の一つでした。そのため、鎌倉武士の秀歌は公家の感性や美意識の枠内にとどまり、それを乗り越えることはありませんでした。
本書は、6代将軍・宗尊親王の時代に最盛期を迎えた鎌倉時代の和歌が、政治にどのように利用されてきたかを、歌の解説を交えながら述べています。

『アートとコミュニティ 横浜・黄金町の実践から』
山野真悟・鈴木伸治著, 佐脇三乃里企画監修 春風社 2021年[K70.13/17]

初黄・日ノ出町地区(横浜市中区黄金町と初音町・日ノ出町の一部)では、戦後長らく京浜急行の高架下で、売春のための特殊飲食店が営まれていました。阪神大震災後、耐震工事に伴う高架下からの立ち退き要請をきっかけに、周辺地域へと違法風俗が拡散し、町の治安が一気に悪化します。平成15年(2003年)、住民は行政・警察への働きかけを始め、平成17年(2005年)の一斉摘発で違法店舗の営業は終息しましたが、建物は残ったままでした。その後、店舗跡を工房やカフェに利用するなど、「アートによるまちづくり」が進められ、平成20年(2008年)からアートフェスティバル「黄金町バザール」が毎年開催されています。
本書は、初黄・日ノ出町地区の活動を事例に、都市とアートを関連づけるための実践とそこで起きた日常の記録を、活動の基礎となった横浜市の提言「文化芸術創造都市-クリエイティブシティ・ヨコハマ」によるプロジェクトとともに振り返っています。

新着の神奈川資料

新着資料の一部をご紹介します。

タイトル 著者名 出版者 出版年 請求記号
六波羅探題 京を治めた北条一門 (歴史文化ライブラリー 535) 森幸夫著 吉川弘文館 2021 K24/549
鎌倉殿と執権北条130年史 北条得宗家の興亡 (角川ソフィア文庫 I162-1) 岡田清一[著] KADOKAWA 2021 K24.4/217A
鎌倉殿と執権北条氏の歴史 源平合戦から幕府内乱、承久の乱まで、激動の時代が全てわかる! (MSムック) 福田智弘監修 メディアソフト 2021 K24.4/321
鎌倉遺文研究 第48号 鎌倉遺文研究会編集 鎌倉遺文研究会,吉川弘文館(発売) 2021 K27/75/48
占領軍による人身被害調査資料集(編集復刻版) 第1巻(北海道/東北/関東1),第2巻(関東2),第3巻(関東3/中部1) 全国調達庁職員労働組合調査,藤目ゆき編・解説 六花出版 2021 K36/1289/1,2,3
壁を壊すケア 「気にかけあう街」をつくる 井手英策編, 加藤忠相ほか執筆 岩波書店 2021 K36/1290
谷内六郎のえのぐ箱 想像のひきだし 谷内六郎[画],谷内達子・谷内広美監修 東京新聞 2021 K72.31/36
鶴岡八幡宮の名刀 歴史に宿る武士の信仰 ブックエンド 2021 K75.4/36
湘南怪談 (竹書房怪談文庫 HO-518) 神沼三平太著,加藤一監修 竹書房 2021 K97/190
北条義時 小説集 海音寺潮五郎・高橋直樹ほか著 作品社 2021 K97.4/141