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新着資料から

『『一遍聖絵』の世界』
五味文彦著 吉川弘文館 2021年[K18.52/121]

一遍(1239年から1289年まで)は時宗の開祖として知られ、熊野で「融通念仏」「他力本願」の悟りを開き、全国を行脚しながら、民衆に踊念仏を広めました。そんな一遍上人の生涯を描いた絵巻『一遍聖絵』は国宝に指定されており、現在、藤沢市の清浄光寺(遊行寺)が所蔵しています。全12巻(第7巻のみ東京国立博物館蔵)から成り、一遍の弟子である聖戒(1261年から1323年まで)が詞書をつくり、法眼円伊が絵を描き、能書の流派として知られる世尊寺流の経尹が外題を書きました。装丁は絹本着色の豪華本で、詞書の下地にまで赤・緑・黄色などの顔料が付け加えられています。一遍が亡くなってから10年後の正安元年(1299年)の命日に絵巻は完成しました。
『一遍聖絵』は、単に一遍と信者の遍歴の様子を描いただけでなく、鎌倉後期の世相や常民の生活、自然の描写にも秀でたものがあり、多くの研究者による分析がなされて来ました。本書は、ヒトやモノに関する部分的解釈や論争には極力立ち入らず、「聖絵」の全体像に迫ることに重きを置いています。

『〈軍港都市〉横須賀 軍隊と共生する街 歴史文化ライブラリー 530』
高村聰史著 吉川弘文館 2021年[K39.31/115]

軍港とは鎮守府が置かれ、海軍が使用する港を指しており、「軍港都市」とは、文字どおり軍港を擁する街を意味し、兵舎や演習場、造船所やドック、工廠、病院、福利厚生施設、学校などあらゆる海軍施設を内包した都市が形成されています。横須賀は日本で最初の軍港都市ですが、呉や佐世保のように最初から近代的軍港都市を目指していたわけではありません。江戸幕府が製鉄所を設置したことに由来しており、その点が明治になってから建設された他の軍港都市と大きく異なっています。
本書は、一寒村だった横須賀村が幕末にフランスの援助を受けて建設された製鉄所をもとに発展し、近代的な軍港都市へと形成されていく過程を旧日本海軍、米海軍との関係から追っています。また、本書は、横須賀における国家の軍隊の歴史を綴ったものではなく、市民と海軍の共生の歴史、とりわけ社会経済史について述べており、軍港都市の歴史を地域住民の視点から捉えています。

新着の神奈川資料

新着資料の一部をご紹介します。

タイトル 著者名 出版者 出版年 請求記号
鎌倉幕府の謎 「鎌倉殿の13人」がよくわかる! 跡部蛮著 ビジネス社 2021 K24.4/314
中先代の乱 北条時行、鎌倉幕府再興の夢 中公新書 2653 鈴木由美著 中央公論新社 2021 K24.4/315
戦国関東覇権史 北条氏康の家臣団 角川ソフィア文庫 I139-3 黒田基樹〔著〕 KADOKAWA 2021 K24.7/178A
北条義時 鎌倉幕府を乗っ取った武将の真実 星海社新書 183 濱田浩一郎著 星海社 2021 K24/545
千葉一族の歴史 全国に広がる系譜・史跡・伝承 鈴木佐編著 戎光祥出版 2021 K28/520
今だから明かす条例制定秘話 川崎市子どもの権利条例施行20周年記念出版 かわさき子どもの権利フォーラム編 エイデル研究所 2021 K36.21/238/20
横浜の名建築をめぐる旅 菅野裕子著 エクスナレッジ 2021 K52.1/142
食べ方図説 重量500g。品数11の詰将棋。各界著名人の"食べ方"がここに! 崎陽軒シウマイ弁当編 [1] 食べ方図説編集部編 食べ方学会 2021 K59.1/35/1
横浜市営交通100年 横浜の街とともに 横浜市交通局編著 神奈川新聞社 2021 K68.1/234/100
江ノ電の四季 江ノ電ファンと花好きな方々に贈る写真集 須藤武美著 江ノ電沿線新聞社 2021 K68.4/67
ベイスターズ再建録 「継承と革新」その途上の10年 二宮寿朗著 双葉社 2021 K78.1/215
言葉たちに 戦後詩私史 平林敏彦著 港の人 2021 K94.1/339