3神宿る山ー箱根山と箱根神社
一、「相模」と「あしがら」― 箱根から大磯へ
箱根山には箱根権現も祀られています。
箱根神社には平安時代の女流歌人「相模(さがみ)」が百首の詠歌を奉っています。相模の守(かみ)となった夫、大江公資(おおえのきんより)とともに任地「相模」に赴きました。
ふたつなき心にいれてはこね山
祈る我が身をむなしがらすな
(相模集519 相模)
【意味】
ふた心ない私をお心にとめてくださって、箱根山の 向こうの権現様にお祈りする我が身を、どうぞ空し い思いにさせないでください。
注意:「箱根」の「箱」の縁で「二(ふた)」と「蓋 (ふた)」に掛けている。「箱」の縁で心を「い れる」と表現した。

箱根神社 2016年09月25日撮影
また、「芦ノ湖」は歌枕ではありませんが、その眺望を記す紀行文もまた多いです。中世の紀行文『東関紀行(とうかんきこう)』(作者未詳)にも箱根神社は紹介され、和歌が詠まれています。
今よりは思ひ乱れじ芦の海の
ふかきめぐみを神にまかせて
(東関紀行 作者未詳)
【意味】
これからは思い悩むまい。この芦ノ湖のように深いお恵みがあることを箱根権現の神慮にお任せして。

箱根神社 2016年09月25日撮影