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トピックスのとびら

 図書館には図書、雑誌、地域資料、新聞、視聴覚資料、インターネットといったたくさんの情報のとびらがあります。
 そのとびらを開いて、時事的な話題を複合的な視点から紹介します。

No.97 ネット選挙の未来(2013年8月発行)

 2013年7月21日に行われた参議院選挙ではネット選挙解禁が話題となりました。これまで日本では選挙運動期間中のホームページやブログなどを使ったインターネット上の選挙運動が禁止されていましたが、公職選挙法の改正に伴い、電子メールの制限などはあるものの、この夏の参議院選からそれらが活用できるようになったのです。ネット選挙が解禁されたことによって、わたしたちはインターネット上で選挙運動期間中も多くの情報を得ることが可能になりました。既にインターネットの活用が選挙に必要不可欠となっているアメリカでは、選挙運動にfacebookといったソーシャルメディアも積極的に取り入れています。  しかし、それと共にネット上に飛び交うデマ情報や個人情報の保護問題など、ネット選挙がもたらすさまざまな問題点も浮き彫りになってきました。民主主義の強力なツールの一つであるインターネット。今後インターネットは選挙運動の展開に、そして社会にどのような影響を与えていくのでしょうか。これを機にぜひ考えてみませんか。

図書のとびら

『インターネットは民主主義の敵か』
キャス・サンスティーン著 石川幸憲訳 毎日新聞社 2003年  請求記号:007.3MM 425(21662267)公開

 アメリカ有数の憲法学者である著者が、インターネット時代の民主主義の在り方について語ったのが本書です。英語版の発刊は折しもネットバブルが崩壊した翌年の2001年。インターネットによって無制限に情報に触れるということは、同時に自分の避けたい話題や意見をシャットアウトすることも可能にするリスクがあると問題提起しています。民主主義はさまざまなタイプの人間と立場を内包する公共領域を必要とします。その手助けとするために、インターネットをどう活用していけばいいのでしょうか。

『インターネット・デモクラシー 拡大する公共空間と代議制のゆくえ』
ドミニク・カルドン著 林昌宏訳 林香里訳 トランスビュー 2012年 請求記号:007.3 559(22578835)公開

 インターネットに関する翻訳本というと米国からのものが圧倒的に多いですが、本書の著者はフランスの社会学者になります。原書は2010年に出版されました。全員に同等の発言権と正当性を認めるという思想としてのインターネットが、ヨーロッパ近代化の核心である代議制民主主義や公共圏、アイデンティティにどのような影響を与えたのか、ポイントを押さえて解説しています。インターネットでは活動的な者は民主主義を享受できるが、沈黙する者やネットに接続していないものは片隅に追いやられる危険性を常にはらんでいるという著者の言葉は、考えさせられます。

『2008年アメリカ大統領選挙 オバマの当選は何を意味するのか』
吉野孝編著 前嶋和弘編著 東信堂 2009年 請求記号:314.89UU 28(22343271)公開

 「Yes,We can!」というフレーズに象徴される2008年のアメリカ大統領選挙。当初の予想に反して当選を果たしたオバマ氏ですが、その原動力となったのはインターネットを通じて集めた幅広い層からの個人献金でした。オバマ陣営の試みたインターネットの活用法は他の候補とどのように違ったのでしょうか。その解説と共に、オバマ氏の当選はアメリカ政治の見直しの引き金となるきわめて重要な出来事だったのではないかと著者は主張しています。2012年の大統領選の状況にもつながってくる内容です。

『インターネットが変える選挙 米韓比較と日本の展望』
清原聖子編著 前嶋和弘編著 慶応義塾大学出版会 2011年 請求記号:314.85 7(22487490)公開

 インターネットを使った選挙の先進国アメリカと、2002年の大統領選挙について「インターネットが大統領を作った」と評された韓国。本書ではこの米韓両国の具体的な事例を分析し、 世界各国の選挙や選挙をめぐる環境がアメリカに近づいているのではないか、すなわち「選挙のアメリカ化」が進んでいるのではないかという仮説を立てています。ネット選挙が解禁された日本で「選挙のアメリカ化」が進んでいくとしたら、いったいどのような影響を与えるのでしょうか。

『ウェブで政治を動かす!』
津田大介著 朝日新聞出版(朝日新書) 2012年 請求記号:310.4 486(22646897)公開

 「われわれはいつから「政治」に興味がなくなってしまったのだろうか。」という一文からはじまる本書。インターネットの発達は「新しい民主主義」という夢を私たちに見せてくれると述べ、日本のわかりにくい政治をネットがどう変えているのか、近年の目覚ましい動きをまとめています。「きれいごと」を現実の力に変えることができる可能性をもっているインターネット。ウェブという双方向性を生かし、自らの手で政治を「動かす」という当事者意識が、今私たちに求められていると訴えています。

雑誌のとびら ~ネット選挙の課題~

「アメリカにおけるインターネット選挙運動の規制」
『九州国際大学法学論集』九州国際大学法学会 17巻4号[2010年7月]p71-115 請求記号:Z320-519

 法学者湯淺墾道氏が、ネット選挙をいち早く取り入れたアメリカが抱える問題点を、他国との比較を交えながら論じています。言論の自由を重視するアメリカでは、その問題にかかわる選挙運動も原則として自由です。したがって、有料広告などに関しては政治資金からの支出規制を通じて規制をかけていくという間接的な規制手法を取っており、言論の自由との両立の難しさを感じさせます。

「米大統領選挙とメディア ソーシャルメディア活用で支援者獲得に成功」
『新聞研究』日本新聞協会 738号[2013年1月]p34-37 請求記号:Z070.5-8

 2008年の選挙でインターネットを活用したオバマ陣営。そのオバマ陣営が2012年の選挙で戦略の核と位置づけたソーシャルメディアの役割について、産経新聞社ワシントン支局の犬塚氏が解説しています。この選挙でオバマ陣営の最大の武器となったのは「ダッシュボード」と呼ばれる情報のデータ共有・管理ツールです。オバマ陣営はこのソフトウェアによって末端の運動員まで情報を共有し、その情報を使ってソーシャルメディアを最大限に活用しましたが、これには個人情報保護の問題がつきまとっていました。

「ネット選挙運動解禁に残る課題 韓国大統領選とメディア」
『新聞研究』日本新聞協会 739号[2013年2月]p43-46 請求記号:Z070.5-8

 日本経済新聞社アジア部次長の山口氏による2012年韓国大統領選挙の解説です。この選挙戦は「史上最高の大接戦」であったと同時に、韓国でSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)が大々的に活用された選挙でもありました。この結果、有権者が積極的に選挙へ参加するようになったというメリットが生まれた一方で、インターネット上に匿名のデマ情報が大量に飛び交うといった問題も浮き彫りになり、日本の今後の在り方についても考えさせられる内容です。

「インターネット上の選挙運動の解禁と表現の自由」
『法律時報』日本評論社 85巻7号(通巻1061号)[2013年6月]p76-83 請求記号:Z320.5-4

   インターネット上の選挙運動を解禁した今回の公職選挙法の改正。憲法学者松井茂記氏は、これまでの規定は表現の自由を保障する日本国憲法21条に違反していると言わざるを得ないとし、改正を高く評価しています。その上で、電子メールの利用や有料広告の特例など、この改正法案に含まれているさまざまな問題点を具体的に指摘し、今後に向けて対策を求めています。

「学問の現場から2013 政治は嫌いと言う前に ネット選挙だけではない日本の危うい「選挙管理」」
『週刊東洋経済』東洋経済新報社 6464号 [2013年6月1日]p108 請求記号:Z330.5-2

 政治学者砂原庸介氏が、日本の選挙管理が抱える課題を示しています。ネット選挙がようやく解禁されるなど、自由を重視するアメリカとは対照的に、公平さを追求するあまりに有権者への情報提供手段を制限しすぎる傾向のあった日本。独立した選挙管理機関ではなく、政府が選挙運動の規制を行っている現状は、長期的には選挙の正当性を危険に晒すのではないか、と主張しています。

新聞のとびら ~ネット選挙の黎明期~

選挙を変えたインターネット
『毎日新聞』 2004年1月26日 朝刊p7
 現職の共和党ブッシュ氏が民主党ケリー氏を下し再選を果たした2004年の米大統領選挙は、アメリカで本格的にインターネットが活用されるようになった選挙でもありました。民主党候補者指名を獲得するための予備選で、クラーク氏やディーン氏といった各候補者が資金集めや支持者の募集、選挙広報などにネットを活用したことを伝える記事です。

2004米大統領選 変わる戦術1,2
『朝日新聞』1)2004年8月24日 朝刊p6 2)2004年8月25日 朝刊p9
 こちらの記事は上記のディーン氏の活動内容をさらに詳しく伝えています。バーモント州という小さな州の知事であったディーン氏は、無名で資金もなかったためにインターネットに活路を見出しました。ネットを通じて資金を集める傍ら、ボランティアが開くミニ集会「ミートアップ」を積極的に取り込む手法は、共和党のブッシュ陣営、そして米国外にもまたたく間に広がっていきます。

大統領選にらみ若者と「議論」 仏政治家にブログ流行
『東京新聞』 2005年8月20日 夕刊p2
 フランスではなんと70人近くが立候補した2002年の大統領選から、候補者がホームページを開設するなど選挙でインターネットが活用され始めましたが、その影響は低調なものでした。そのフランスでも新人候補同士で争われサルコジ氏が当選した2007年の大統領選挙に向け、各候補者が青年層の有権者とブログを通して質問や議論を交わす試みを始めたことが分かる記事です。

海外の選挙戦 ネットが不可欠
『日本経済新聞』 2005年9月2日 朝刊p3
 2005年に日本で行われた衆議院選挙でのホームページをめぐるトラブルを取り上げ、ネット選挙禁止はもはや限界かと問題提起した記事の下に掲載されたものです。既に韓国や欧州、アメリカではインターネットが選挙に不可欠なインフラとして活用されている様子を解説しています。

インターネットのとびら ~選挙に関する情報をまとめて知りたい~

RealPoliticsJapan
http://www.realpolitics.jp/
 ポリティカルマーケティングの専門会社である株式会社ピーエムラボが運営するサイトです。各報道機関が行う世論調査の結果を比較して見ることができる他、選挙情報の分析などを掲載しています。

Yahoo!みんなの政治
http://seiji.yahoo.co.jp/
 Yahoo!が提供する、国会議員や国会で審議されている議案、選挙情報を検索・表示できるサービスです。議員や議案に対して、ユーザーが評価やコメントを投稿することも可能になっています。2013年7月の参議院選では、いくつかの質問に答えることで自分がどの党の考え方と近いかを示すポートマッチサービスも展開していました。