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トピックスのとびら

 図書館には図書、雑誌、地域資料、新聞、視聴覚資料、インターネットといったたくさんの情報のとびらがあります。
 そのとびらを開いて、時事的な話題を複合的な視点から紹介します。

No.96 共有〈シェア〉の時代(2013年7月発行)

 現在facebook、YouTube、Twitterなど、最新テクノロジーの発達によって世界的な規模で情報を〈共有〉できる時代となっています。ところで一昔前の日本ではご近所からお醤油を借りたりもらい湯をしたりと、分かち合うことが人々の生活に根づいていました。そのような身近な〈共有〉はいつの間にか姿を消してしまいましたが、再びいいね!ボタンを押すといった情報のシェアだけでなく、モノやサービスを始めさまざまな対象を〈共有〉することが注目されています。テクノロジーの発達が逆説的に昔懐かしい価値観の再評価、新たな広がりに貢献しているのです。以前ヨーロッパ・カーシェアリング協会HPにはアリストテレスの言葉が引用されていました。「豊かさとは、所有することよりも利用することをいう」(『カーシェアリングが地球を救う』より〈県立:519-350 PP〉)。 シェアは人とのつながりを生みコミュニティを活性化させるだけではありません。資源浪費の抑制、省エネルギーにもつながっていきます。持続可能な社会の構築が求められている今、シェア〈共有〉を楽しんでみませんか。

図書のとびら

『文明のサスティナビリティ』
野田正治著 三弥井書店 2009年 請求記号:519UU 406(22314439)公開
 サスティナビリティは持続可能性と訳されています。今、なぜシェアリング・エコノミーが注目されているのでしょうか。産業革命をターニングポイントに、資源の大量消費をモデルとして発展してきた人類は、持続可能な社会へと新たな転換を迫られています。著者はそのような状況を歴史的に解説し、さらにこれから必要となる再生可能なエネルギーを人類自ら生み出すこと、そしてコミュニティで構成された暮らしをそのエネルギーで支えていく大切さを語っています。本書でエネルギーと暮らしの物理的な知識を得ることは、シェアリング・エコノミーの必要性が高まっている近年の背景を理解する土台となります。

『シェア 〈共有〉からビジネスを生みだす新戦略』
レイチェル・ボッツマン著 ルー・ロジャース著 小林弘人監修・解説 関美和訳 日本放送出版協会 2010年 請求記号:675 729(22477574)公開
 テクノロジーの発達、ソーシャルネットワークの構築によって可能となった世界的規模のコミュニティ。それを利用した新たなシェアビジネスの全貌を把握するのに最適な一冊です。部屋や車や自転車はもちろん、工具のシェアから果ては空間やスキルまで、シェアビジネスの対象は限りなく広がっています。本書では裏面のインターネットのとびらでも紹介しているAirbnb.comも取り上げられており、創業者チェスキーの言葉が印象的です。祖父やその友人にとっては旅行といえば農場や小屋を泊まり歩くこと。Airbnbは近代的な発想じゃないんだ。つまり、新しいテクノロジーを使って昔ながらの旅行を現代版にアレンジしたのがAirbnbというのは考えさせられます。

『これからの日本のために「シェア」の話をしよう』
三浦展著 NHK出版 2011年 請求記号:365 459(22496954)公開
 今注目されているシェアリングエコノミーは消費や経済を縮小させるものなのでしょうか。著者は消費や経済をシェア型にすることは、縮小ではなく新たな方向に拡大させることであると主張しています。シェア型価値観では、ただ私物として所有しているのではなく、人々と共同利用することでより価値が増すような社会的な資産を作りだすことを重視しています。自由で楽しく、経済面、環境面でのリスクが少ない。そんなシェア型価値観の広がりが、問題が山積みになっている日本の解決策になるかもしれません。

『欧州のエネルギー自立地域 100%再生可能へ!』
滝川薫編著 村上敦著 池田憲昭著 田代かおる著 近江まどか著 学芸出版社 2012年 請求記号:501.6 353(22589519)公開
 自分たちが暮らすために必要なエネルギーを、なんと100%地域の再生可能エネルギーで賄おうという試みは既に始まっています。ドイツ、オーストリア、スイスといった国は、地域の再生可能エネルギーを使った自立をサポートするためにさまざまなプログラムを進めています。たとえばドイツのバイオエネルギー村では、一ヶ所に設置した発電熱装置から各戸へ熱を配給するシステムを取っており、地域で暖房をシェアしています。シェアと関係性の深い再生可能エネルギーの可能性を探ります。

『シェアする道路 ドイツの活力ある地域づくり戦略』
ズザンネ・エルファディング著 浅野光行著 卯月盛夫著 技報堂出版 2012年 請求記号:681.1 37(22598221)公開
 持続可能なコンパクトシティの構築を大きなコンセプトに掲げているドイツでは、その戦略の一つとしてシェアドスペースという概念を重視しています。すなわち空間をシェアする。これまで自動車中心だった道路を、歩行者、自転車などを尊重した安全なシェア空間にシフトさせることは、街のコミュニティを再生させることにもつながります。街の人々が自然と集まってきて滞在する、互いにアイコンタクトでコミュニケーションが取れる空間はコミュニティの延長線上であり、さらに自動車使用率の低下による省エネルギー効果も期待できる。本書が取り上げているドイツの事例から日本でも何か導入できるでしょうか。

雑誌のとびら ~新しい価値観へ~

「半歩先の生活情報 都市・コミュニティ編 若い世代に広がる新しい住まい方 コミュニティ型シェア居住」
『CEL』大阪ガス(株)エネルギー・文化研究所 101号[2012年7月]p8-11 請求記号:Z505-506
 恵比寿や吉祥寺など、東京を中心にシェアハウスを展開しているCome on Upの代表、永瀬泰子氏へのインタビューを掲載しています。永瀬氏は海外での経験から、日本でもシェアカルチャーを広げていきたいとシェアハウスの運営を始めました。コミュニティが希薄化している日本において、互いの価値観を尊重し違いを受け入れながら暮らすという体験を、若いうちに経験することの必要性を語っています。

「新たな価値を生み出す シェアする暮らし 住まい、モビリティ、エネルギー、子育て、お墓など」
『Housing Tribune』 448号[2013年5月]p9-24 請求記号:Z527-501
 「シェア」することで豊かになるをコンセプトに様々な試みを紹介しています。コミュニケーションマネジメントに力を注ぐシェアハウスや、EV(電気自動車)や自転車といったモビリティのシェアによる地域活性化。再生可能エネルギーによる電力シェアが生みだす省エネ効果、江戸川区の保育ママといった子育ての共有による支援、一人暮らしの高齢者を対象とした合葬墓など、シェアが人と人とのつながりを生み出す様子を豊富な具体例と共に解説しています。

「The Sharing economy」 ※英文
『The Economist』Economist Newspaper Ltd Vol.406(8826号)[2013年3月9日]p11 請求記号:Z330-E
 インターネットによって部屋や車に加え、洗濯機、農地、キャンピングスペースなどありとあらゆる対象をシェアできるようになった現状とその問題点を簡潔に伝えています。シェアリング・エコノミーに対してインターネットがもたらした新たな潜在性。そして、何よりもユニークなのがこの号の表紙です。部屋一晩38ドル、パーキングスペース一日20ドル、飼い犬一週間5ドル、とさまざまなモノに値段がついている家の姿は、遠い未来の図ではないかもしれません。

新聞のとびら ~新しい価値観へ~

元町商店街 EVシェアリング導入
『日本経済新聞』 2012年8月2日 地方経済面 神奈川
 横浜市の元町商店街が三菱自動車工業などと組んで、電気自動車(EV)を使ったカーシェアリングを始めたことを報じる記事です。商店街でEVをシェアする取り組みは日本で初めてだそうです。特徴は、利用対象者が買い物客ではなく商店街の店主たちである点です。急な仕入れ時などに活用できるしくみになっています。

小型EVをシェア 横浜市・日産が実験 貸し出し70拠点
『日本経済新聞』 2013年6月4日 地方経済面 神奈川
 みなとみらいで大規模なカーシェアリングが始まります。横浜市と日産自動車が、2人乗りの小型の電気自動車(EV)約100台を使って実験を行うことが決まりました。スマートフォンによる予約や専用ICカードを使った鍵の開閉といった利便性を備え、10月から来年9月まで実施される予定であると報じています。みなさんもこれを機会に利用してみませんか。

米で”都心”回帰
『読売新聞』 2013年5月31日 朝刊 7p
 車社会のアメリカでも変化が起きているようです。アメリカの中規模都市、コロラド州のデンバーでは一人車1台が当たり前だった郊外の一軒家から中心街に人々が戻り始め、さらに中心街への通勤者もその46%が自転車や交通機関を利用しています。市内ではバイク(自転車)シェアリングが発達し無料巡回バスが走るなど、08年の金融危機を契機にアメリカでも人々のライフスタイル、そして価値観が変わってきています。

インターネットのとびら ~日本のシェアリングサービスを紹介~

みんなのカーシェアリング「カフォレ」 http://www.cafore.jp/
 株式会社ブラケットが主宰する、車の貸出情報を売買し、個人間で車をシェアしていくサービスです。ボロワー(借り手)は企業から車を借りるのではなく、車が必要なときだけ貸したい人からシェアしてもらいます。そしてレンダー(貸し手)は自分で車を使わない間、借りたい人にシェアできるというしくみになっています。

雨天けっこうシブカサ-SHIBUKASA- http://shibukasa.com/index.html
 都内の大学生グループで組織する学生社会企業プロジェクトとして始まったサービスです。まだまだ使えるのに処分されてしまうビニール傘をちょっとオシャレにデザインして、渋谷のシェアリング傘として無料で貸し出しています。シブカサ提携店のカフェやアパレル店に置いてあるので、突然の雨の際には借りることができ、またどの提携店でも返却可能です。

Livlis http://www.livlis.com/
 株式会社kamadoが提供する、個人同士がTwitterを通じてモノをあげたりもらったりできるサービスです。生活スタイルの変化などで不要になったもの、使わなくなったものなどを誰かに「あげる」ことを原則としているので、送料などがかかる以外は無料でやり取りするというのが特徴です。

服としあわせのシェア xChange http://letsxchange.jp/
 丹羽順子氏が主宰する、ファッション・アイテムに特化したシェアサービスを紹介したHPです。xChangeの特徴は交換するアイテム1つ1つに「エピソードタグ」と呼ばれる、その服にまつわる想い出を綴った札をつけることです。洋服の交換を通じて人々が気持ちを共有することをコンセプトにしています。

Airbnb https://www.airbnb.jp/
 2008年カリフォルニア州サンフランシスコを拠点に設立されたAirbnbは、部屋を貸したい人と宿泊したい旅行者をネット上でマッチングするサービスを展開しています。普通のホテル宿泊と違うのは、部屋を貸すホスト側が、普段使っていなかったり、旅行や出張で長期間空けている自分の家や別荘を貸し出すところです。