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トピックスのとびら

 図書館には図書、雑誌、地域資料、新聞、視聴覚資料、インターネットといったたくさんの情報のとびらがあります。
 そのとびらを開いて、時事的な話題を複合的な視点から紹介します。

No.91 書評(2013年2月発行)

 書物の内容を批評・紹介する「書評」。
 この呼び名の起源は大正末から昭和初年代にかけてであると言われ、出版点数が増加し、一般の人々に本が行き渡るようになった状況に対応して、どんな本があるか交通整理をする役割として誕生しました。新刊発行点数が7万点を超えると言われる現在、新聞・雑誌以外にもインターネット上などで様々な書評が見られます。プロの書評家だけでなく一般の人々も書き手となるようになり、ビブリオバトルという書評合戦も新たな形として普及し始めました。
 作品と読者の橋渡し的存在の書評は、資料と利用者の橋渡し的存在の図書館である当館でも資料選定の際に活用しています。今月はそんな書評に関連する資料を集めてみました。

図書のとびら

『ニッポンの書評(光文社新書515)』
豊崎由美 光文社 2011年 請求記号:019.9-79(22508600)
 光文社のPR誌「本が好き!」での連載「ガター&スタンプ屋ですが、なにか?わたしの書評術」をまとめたものです。ライターで書評家の著者が、書評の書き方について論じています。
 日本と海外の書評の違いやプロの書評と感想文の違いについて述べ、書評の読み比べや新聞書評の採点をしています。メディア史研究者の大澤聡氏との対談が収録されていますが、書評の来歴、書評家の舞台裏、こんな書評欄があったら、という提言などが語られていて、興味深い内容になっています。

『ロンドンで本を読む』
丸谷才一編著 マガジンハウス 2001年 請求記号:019.9KK-14(21394143)
 早くから書評文化が発達したと言われているイギリス。鉄道敷設の影響か、単行本が情報の容器として重要なものになり、読者が増えたことで、それを紹介し論評する機関が必要となって書評が盛んになったようです。「オブザーバー」「サンデイ・タイムズ」「ニュー・ステイツマン」などに収録された書評を厳選収録しています。 前書きで丸谷氏は、この本を「書評の藝の見本帖」「現代イギリス批評の選集」「知的な快楽を好む読者にとつて極めて調法な本」「粋で程度の高い読書案内」と表現しています。

『ブックレビュー 誘う書評・闘う書評 01~03』
弓立社編 1989~1990年 請求記号:019.04-9-1~3(20285623)(20285631)(20272308)
 新聞・雑誌に掲載された書評と本をめぐるエッセイの中から、おもしろいもの、すぐれたものを選んで構成したアンソロジーです。01は1988年の1年間、02は1989年1~10月、03は1989年11月~1990年10月までが対象となっています。
 62もの新聞・雑誌を対象としており、なかなか光の当たらない「書評」の蓄積が確認できる資料として貴重な存在です。編集者の退職とともに3冊で刊行は終了したようです。

『出版年鑑「新聞・雑誌書評リスト」』
出版年鑑編集部編 出版ニュース社 年刊 請求記号:023.05-3 平成24年版は(22607378) *貸出不可
 出版関連の基本データを網羅した年鑑です。22の新聞・雑誌を対象に、書評リストが書籍の分野別に掲載されています。同社発行の「出版ニュース」誌が元になっています。最新刊の平成24年版では、2分冊の第1巻p.471~577までに掲載されています。

雑誌のとびら

書評ジャーナリズムの現在
『新聞研究』 2006年1月号 p.10-26 請求記号:Z070.5-8
 新聞の書評欄についての特集です。作家の丸谷才一氏が、書評と、自身が任された毎日新聞の書評欄「今週の本棚」について論じています。朝日新聞・読売新聞・東京新聞の各新聞社ではどのようにして取り上げる本を選んで紙面を作っていくのか、書評欄担当者が寄稿しています。図書新聞代表の井出彰氏による、第二次世界大戦後の社会・文化史を映す書評新聞の記事も興味深い内容です。紙面を作る担当者の思いが伝わってくる特集です。

知的書評合戦ビブリオバトル
『専門図書館』 2012年7月号 p.37-40 請求記号:Z018-27
 知的書評合戦ビブリオバトル著者はビブリオバトル発案者で立命館大学准教授の谷口忠大氏です。京都発祥のビブリオバトルは、2010年の夏ごろから少しずつ広まり、現在では全国の会社や大学、図書館などの活動に取り入れられています。面白いと思った本を持ち寄って、順番に本を紹介、参加者全員でディスカッションを行った後で投票し、最多票を集めたものをチャンプ本とする。簡単なルールですが、人と人、人と本をつなぐツールとして活用できると論じられています。

「声」の書評家 倉本四郎
『新潮』 2010年5月号 p.268-274 請求記号:Z051-13
 「週刊ポスト」誌の1976年5月7日号から1997年9月5日号まで続いた書評「ポスト・ブックレビュー」の書き手であった倉本四郎氏について、ライターの渡邉裕之氏が書いています。ライター出身の倉本氏は、書物を紹介する地の文とインタビューが交互に置かれる形で構成され、書物を巡る無数の声が響き渡るような特異な書評空間を作り上げました。倉本氏の書評をまとめた『ポスト・ブックレビューの時代 上下巻』(右文書院)は当館で所蔵しています。

新聞のとびら

若者の言葉の力 育む
『東京新聞』2012年12月26日(水)朝刊24p
 史上最多の得票数で東京都知事に就任した作家の猪瀬直樹氏へのインタビュー記事です。「言葉の力」を都政に反映させる新たな取組として、若者の言葉の力を育てるために、「ビブリオバトル」という書評合戦への参加を、私立を含めた都内の全高校に働きかけるとしています。本を読み、位置づけや著者について説明することで、自分からプレゼンテーションすることができるようになる、と述べています。

<本の舞台裏>出版史、地方から発信
『朝日新聞』2012年6月3日(日)朝刊14p
 1年間でどこにどんな書評が書かれたか、2010年の主要新聞、雑誌に掲載された書評9473件を一覧する『書評の書誌2011 ブックレビュー索引』の刊行を紹介する記事です。記事掲載後、11月には『書評の書誌2012』も刊行されました。
 出版元の金沢文圃閣では、かつて個人によって刊行されていた「書評年報」という書誌索引(1970~2000。当館で所蔵しています)の空白を埋め、価値ある情報資源である「書評」を読書界の共有財産として蓄積したい、としています。

インターネットのとびら

図書新聞
http://toshoshimbun.jp/books_newspaper/index.php
 本の批評専門紙「図書新聞」のホームページです。
 毎週土曜日発行で、本紙は当館でも所蔵しています。(Z020.5/4)
 ホームページは、一部連載記事を除き、定期購読者のみを対象としたサービスとなっていますが、FREEマークの付いた書評は、購読契約者以外の方も読むことが出来ます。「「出版の洪水」と言われていますが、きらりと光る本、心に残る本を、探し出す手助けをさせていただきます。確かな書評と熱い読者が、著者に刺激を送り、いい本、おもしろい本を生み出していきます。創刊してやがて64年。つねに知の楽しみを発信しています。」とあります。

週刊読書人
http://www.dokushojin.co.jp/
 本のスペシャリストが創る専門紙「週刊読書人」のホームページです。
 毎週金曜日発行で、本紙は当館でも所蔵しています。(Z020.5/24)
 『週刊読書人Online』では、毎週金曜日に発行する『週刊読書人』のweb版としてその内容の一部と、onlineだけで読める記事を配信しています。「新刊書籍が七万点を超え、今や世界屈指の出版大国となりました。この新刊洪水ともいうべき膨大な出版情報をどこまでどのように読者の皆様にお知らせするか」「著者インタビューや書評、記事で「時代のいま」を切り取ります。」とあります。

知的書評合戦ビブリオバトル公式ウェブサイト
http://www.bibliobattle.jp/home
 ビブリオバトル普及委員会のホームページです。
 公式ルール、開催情報、ビブリオバトルの手順などが掲載されています。
 代表の谷口氏が神奈川県学校図書館員研究会にてビブリオバトルの講演を行った記録(研究会紀要「つどい」109号掲載)も掲載されています。