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トピックスのとびら

 図書館には図書、雑誌、地域資料、新聞、視聴覚資料、インターネットといったたくさんの情報のとびらがあります。
 そのとびらを開いて、時事的な話題を複合的な視点から紹介します。

No.90 新書(2013年1月発行)

 新書は、B6判よりやや小さく、縦約17cm、横約11cmの大きさで、比較的気軽に読める内容の叢書です。日本では、岩波書店が昭和13年(1938年)に岩波新書を創刊したのが始まりと言われています。戦後何度かのブームを経て、現在では70を超えるレーベルがあるとされています。近年では、新書だけを対象とした賞も創設されています。
 書店や図書館でも多数目にする新書について、誕生した経緯や歴史などが紹介された文献を集めてみました。

図書のとびら

『岩波新書の歴史(岩波新書 新赤版 別冊9)』
鹿野政直 岩波書店 2006年 請求記号:023.1RR-394(21940697)
 1938年に創刊された岩波新書は、それまでの学術・古典を中心とした岩波書店の出版活動に、現代への視点という新たな方向を打ち出したもので、「新書」という体裁の出版物の元祖の位置を占めています。創刊当時世界的に新しい流行であったペリカン・ブックスの判型を参考にしたといわれていて、赤版、青版、黄版、新赤版の四種類、2500冊以上が発行されています。
 歴史学者の著者が、時代に鋭く切り込んだ話題作をはじめ、定評のある教養書等を生み出した岩波新書のあゆみを概観しています。
 付録として、2006年3月刊行分までの総目録が掲載されています。

『職業としての編集者(岩波新書 新赤版65)』
吉野源三郎 岩波書店 1989年 請求記号:021.4-49(20043774)
 編集者として岩波新書の創刊に携わった著者の回想の記録です。
 「1930年代 岩波新書とペリカン・ブックス」では、創刊にあたって、当時出版されていた世界の各種の双書類を、体裁をも含めて比較検討した様子がわかります。各分野の専門家が素人である読者に向かって、自分の専門に属することをわかり易く語るといういわば啓蒙的な著作の集まりであったペリカン双書に魅力を感じ、この形式でなら当時の日本の状況の中でも国民に訴える道が拓かれるのではないかと考えた、とあります。

『ペンギンブックスのデザイン 1935-2005』
フィル・ベインズ著 山本太郎監修 齋藤慎子翻訳 ブルース・インターアクションズ 2010年 請求記号:022.57-43(22405492)
 日本の新書の元祖である岩波新書がお手本にしたのは、1935年にイギリスで創刊された大衆向けペーパーバックの「ペンギンブックス」と、1937年にスタートしたペンギンブックスの新シリーズ「ペリカンブックス」です。そのペンギンブックスの歴史や、英国文化とデザイン史の進化の一端を担ってきた表紙のデザインがカラー図版で多数掲載されています。

『ペンギンブックスものがたり 本の世界を変えた本』
内田庶作 依光隆絵 岩崎書店 1990年 請求記号:J023-ウ(80135924)
 「愛と勇気のノンフィクション」シリーズの1冊です。ペンギンブックスを考案し、出版に向けて尽力したアレン・レインの活動が描かれています。「できる限り安い値段で、最上の書籍を、できる限り大多数のひとびとの手元へ」をモットーにしたペンギンブックスが「ペーパーバック革命」を起こした様子がわかります。 児童書ですが、大人にも読みごたえがあります。

雑誌のとびら

新書ブームの一面
『世界』1956年1月号 p.179-183 請求記号:Z051-3
 「日本の潮」の1編です。昭和30年度の出版・読書界の話題をさらったものとして、新書ブーム、漫画ブーム、貸本屋ブームがあるとして、そのうちの新書ブームについて述べています。社会心理研究所で行った調査データを引き合いに、この新書ブームの実態を読者側からうかがう試みをしています。半世紀以上前の新書の読者の生の声がわかり、興味深い記事です。

「新書」編集長、第四次ブームの舞台裏を語る
『週刊エコノミスト』1997年5月6・13合併号 p.124-127 請求記号:Z330.5-5
 岩波、中公、講談社、筑摩、丸善などに続いてPHPがスタート、文春が参入するというこの時期を“第四次ブーム”と捉え、週刊エコノミストの担当者が、丸善、岩波、中公、筑摩の各編集長にブームの舞台裏についてインタビューしています。

特集 新書ブーム!?
『月刊百科』2000年6月号 p.2-18 請求記号:Z051-120
 『月刊百科』は平凡社のPR誌です。平凡社新書の創刊1周年を記念した特集を組んでいます。作家の嵐山光三郎氏は「不良革命の時代なのだ」として、不良中年新書シリーズ分野の企画を提案しています。
 「平凡社新書この一年」では、編集部の担当者が、創刊までの1年の編集部の動きを紹介しています。

本はどのように読まれているのか? 第3回 新書ブーム
『図書館の学校』2006年8/9月号 p.34-39 請求記号:Z010-10
 フリーライターの永江朗氏による連載です。新潮新書『バカの壁』(養老孟司著 2003年)からのブームが続いているとして、「流行っている」という理由で新書が読まれる時代になったと述べています。新書のレーベルには一部リーグと二部リーグがある、という編集者の話や、書店の「新書」に対する見方など、興味深い内容です。

新規参入相次ぐ「新書」市場の最新事情
『創』2006年12月号 p.118-125 請求記号:Z051-209
 フリーライターの久保隆志氏が新書ベストセラー続出の背景を探っています。新潮新書、集英社新書、光文社新書、岩波新書、朝日新書、幻冬舎新書を取材し、それぞれの姿勢、路線を紹介しています。

名著と現場から振り返る新書史
『中央公論』2008年3月号 p.138-147 請求記号:Z051-4
 毎月100冊を優に超える新書が発売され「新書洪水」の様相を呈する新書界の道しるべとなるべく、1年間に出版された新書の中から内容の優れた30冊を選出、ランキングした「第1回新書大賞」の特集です。編集者出身で評論家の鷲尾賢也氏が、新書の歴史を振り返り、新書市場の過去と現在を語っています。

新書大賞の顔ぶれからわかること
『ちくま』2012年3月号 p.16-19 請求記号:Z051-117
 文芸評論家の斎藤美奈子氏が、2012年3月に発表された第5回新書大賞の上位3冊について読み、「優れた新書」の傾向について述べています。
 齋藤氏は、謎解き力、意外性、網羅性、中立性、表現力、の5つの条件を兼ね備えた新書が優れていると述べ、新書大賞においては、知らないことを知る教養系の新書が強いと論じています。

新聞のとびら

「教養」支えた新書の歩み 中公・岩波が節目迎える
『日本経済新聞』2012年12月9日(日)朝刊23p
 1962年創刊の中公新書(中央公論新社)が2012年に創刊50周年を迎え、1938年に岩波新書を創刊した岩波書店は、今年創業100周年を迎えます。今や70を超えるレーベルで出版されている新書の分野で、老舗といわれる中公新書・岩波新書のベストセラーからは、何らかの技術に関するものがよく売れることがうかがえるようです。

インターネットのとびら

新書大賞
http://www.chuko.co.jp/special/shinsho_award/
 中央公論新社の特設ホームページです。2008年から開始された新書大賞は、書店員、書評家、各社新書編集部、新聞記者などに、当該年発行(奥付表記)の新書から「読んで面白かった、内容が優れていると感じた、おすすめしたいと思った」5点を挙げてもらい、1位10点、2位7点、3位5点、4位4点、5位3点で総合得点を集計、発表するシステムです。過去のベスト5、大賞受賞著者の記念講演の情報などが掲載されています。
 20位までのランキングなど詳細は『中央公論』3月号にも掲載されます。