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トピックスのとびら

 図書館には図書、雑誌、地域資料、新聞、視聴覚資料、インターネットといったたくさんの情報のとびらがあります。
 そのとびらを開いて、時事的な話題を複合的な視点から紹介します。

No.105 インフレ時代幕開け!?(2014年4月発行)

 日本銀行は2014年3月11日に行われた金融政策決定会合で、景気は緩やかに回復を続けていると判断し、引き続き資金供給量(マネタリーベース)を2年で2倍にする「量的・質的金融緩和」を継続する決定をしました。そして目標としている「2年で2%」という物価上昇率についても、達成に向け順調に推移しているとしています。
 2012年末以降急速に進んだ株高と円安の背景には、日本銀行による政策方針の転換があります。日本銀行は長期にわたるデフレからの脱却、円高の抑制に向け、これまで消極的だったインフレ目標政策を2013年1月に導入しました。4月にはその後押しをするために、日本銀行が供給する資金量も拡大させました。現在、2014年1月時点の消費者物価指数(生鮮食品を除く)は前年同月比1.3%まで上昇しており、企業業績も回復途上にあります。この久々となるデフレ脱却、インフレ時代到来の予感に、4月の消費税率アップはどのような影響を与えるのでしょうか。

図書のとびら

『高橋是清と井上準之助 インフレか、デフレか』
鈴木隆著 文藝春秋(文春新書858) 2012年 請求記号:332.1 1293 (22590905)公開

 第一次世界大戦後、日本は賃金や物価を低く抑え輸出品のコストを引き下げようとします。井上準之助蔵相は財政、金融を引き締め、金利や円を高く維持するデフレ政策を行いました。しかし結果的に深刻な不況は続き、後に井上は暗殺されます。次の蔵相に就任した高橋是清はこの緊縮財政を批判し、金利を下げて円を安くするインフレ政策を主張しました。財源不足分は国の借金である国債を日本銀行に買い取らせて補う手段を用いています。ところが高橋もまた、景気回復後に悪性インフレを抑止するため軍事予算削減を試みて、軍部の反発を招き凶弾に倒れます。私たちは歴史から何を学ぶのでしょうか。

『日本銀行 デフレの番人』
岩田規久男著 日本経済新聞出版社(日経プレミアシリーズ162) 2012年 請求記号:338.3 252 (22608350)公開

 現在インフレ目標政策を導入している日本銀行の副総裁、岩田氏が就任前に出版した著作です。インフレ目標政策についてはもちろん、日本銀行歴代総裁の政策についても取り上げ、これまで長年にわたって物価上昇率をゼロ%以下に抑えていた日本銀行は、「物価の番人」ではなく「デフレの番人」であると批判しています。バブル崩壊後、日本銀行は金融システムの中核として重要な役割を担うことが求められ、戦時中に定められた旧日本銀行法は全面的に改正されました。しかし新日本銀行法施行後、日本銀行のとった政策は間違った「デフレと金融政策の理論」に基づいていたのではないかと問題提起しています。

『スクリューフレーション・ショック 日本から中流家庭が消える日』
永濱利廣著 朝日新聞出版 2012年 請求記号:333.2 103 (22612055)公開

 「スクリューフレーション」とは、2010年にアメリカのヘッジファンドマネージャーであるダグ・カスが、中間層の貧困化(Screwing)とインフレーション(Inflation)を組み合わせてつくった造語です。政府は「景気が良い」と発表しているのに、人々の多くが景気の良さを実感できないアメリカ経済問題を分析することで生まれました。好況で物価が上昇し企業業績が回復しても、給料は伸びず生活水準は逆に低下するというスクリューフレーション。著者は、このスクリューフレーションに近い現象は既に日本でも起きており、加えて食糧やエネルギーの輸入依存度が高い日本では、アメリカよりも深刻化するのではないかと指摘しています。

『2013年、インフレ到来 プロが明かす資産防衛5つのポイント』
平山賢一著 朝日新聞出版 2012年 請求記号:338.12 52(22647713)公開

 東京海上アセットマネジメント投信のファンドマネージャーである著者が、金利とインフレ率のこれまでの歴史を振り返りながら、今後予想されるシナリオを示しています。インフレ率と金利水準は連動する傾向があり、2000年以降世界のインフレ率は上昇傾向にあります。しかし実際に起きているのは「インフレなのに低金利」という現状。なぜこのような状況が成立しているのか。著者は、長期金利はインフレ率上昇後期に感応度が高まり、同方向に連動する、したがって「インフレに応じた金利上昇」へと転換する時期は近づいてきていると推測しています。

『紙の約束 マネー、債務、新世界秩序』
フィリップ・コガン著 松本剛史訳 日本経済新聞出版社 2012年 請求記号:338.93 18(22660310)公開

 本書のタイトルは、「紙きれの約束」つまり「あてにならない、形ばかりの約束」を意味します。現在世界の負債総額は生産高の何倍にも達し、ギリシャ、アイルランド、ポルトガルでは債務危機による混乱が生じました。英国で活躍中の経済ジャーナリストであるフィリップ・コガン氏は、膨らんだ債務が実質的に返済されることはなく、債務者の多くは守ることのできない紙切れ一枚の約束をしていると述べています。そして、債務危機の長期的な影響は、インフレ、スタグネーション(停滞)、デフォルト(債務不履行)の3つであり、どれであってもいずれかの段階で危機をもたらすだろうと警告しています。

雑誌のとびら

「「インフレ期待」って何? 分かりにくい理由」
『エコノミスト』毎日新聞社 91巻39号(通巻4304号) 2013年9月10日 p20-23 請求記号:Z330.5-5

 デフレ脱却に向け政府・日本銀行が打ち出している「期待への働きかけ」。そもそも人々の期待に働きかけるとはどういうことか解説しています。現在主流のマクロ経済学は、期待(予想)から結果が生じる関係を「モデル化」しようと試みています。事実上のゼロ金利政策のため、日本銀行は金利の上げ下げといった従来の手法が使えません。そのため、この期待(予想)すると成果が上がるというマクロ経済学の「モデル化」を使い、物価が上がるという期待(予想)をすることでインフレ率を高め、経済成長を促そうとしているのです。

「一見好調な日本経済だがデフレ構造はなお変わらず」
『週刊東洋経済』東洋経済新報社 6504号 2014年1月11日 p29 請求記号:Z330.5-2

 日本銀行がまとめた2013年12月の短観(全国企業短期経済観測調査)について分析しています。日本銀行が発表した業況判断指数(業況判断DI)は、大企業・製造業で約6年ぶり、中小企業で約21年ぶりとなる高水準となりました。日本企業は好調のようにみえます。しかし、物価上昇の主な要因は円安進行による輸入品の値上がりや、消費税増税前の駆け込み需要などによる販売価格上昇であり、したがってその上昇力はまだ弱く、デフレ構造からの本格脱却にはしばらく時間がかかりそうだと指摘しています。

「「1ドル=150円」時代に 円安・インフレで儲ける! タンス預金がいちばんムダ、それなら資産を…」
『週刊朝日』朝日新聞出版 119巻4号(通巻5233号) 2014年1月31日 p124-127 請求記号:Z051-47

 2014年1月10日、米国で昨年12月の「雇用統計」が発表され、2円近くドルが下がり1ドル=103円台になだれこみました。米国の雇用情勢が予想に反して悪化していたからです。しかし記事では、一時的に円高に振れる場面はあるものの、基本的には米景気の回復を背景にドル高・円安の流れが続くとする専門家の見方を紹介しています。そして、2014年は久々に「円安・インフレ(物価上昇)時代」の幕開けになる可能性が高いとし、この機会をどう生かせばいいか、さまざまな方策を読者に提案しています。

「景気観測 米欧超えた日本のインフレ率 「逆転現象」の主因は円安」
『エコノミスト』毎日新聞社 92巻5号(通巻4327号) 2014年2月4日 p94-95 請求記号:Z330.5-5

 2013年末に発表された11月の全国消費者物価指数(CPI)が上昇したのを受けて、その要因をみずほ証券チーフマーケットエコノミストである上野泰成氏が分析しています。今回日本のインフレ率が米欧よりも高いという現象が発生したことについて、上野氏はあくまで円安による為替相場の影響に過ぎず、一時的なものであると指摘しています。消費者が目にする物価の目安になるとなるサービス価格は依然停滞しており、そのサービス価格を上昇させている米欧の方が実際は日本よりも高いインフレ率が続きやすいと予想しています。

新聞のとびら ~世界情勢~

新興国回復 道筋は G20あす開幕
『朝日新聞』 2014年2月21日 朝刊 p3
 2013年末、アメリカが金融緩和縮小を決定した影響で投資マネーが逆流し、新興国からお金が逃げ出す動きが強まりました。その結果、南アフリカ、アルゼンチン、インドネシアといった国々が通貨下落やインフレに見舞われている様子を伝えています。通貨が安くなったために輸入物価が上昇し、苦境に立つ新興国への対応は、主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議での問題の焦点となっています。

インド、成長鈍化続く
『日本経済新聞』 2014年3月1日 朝刊 p6
 インフレ抑制を狙ったインド政府が金融引き締め策を継続したことにより、インド経済の成長鈍化が続いていることを報じています。インド準備銀行(中央銀行)は2013年9月以降、3回の利上げに踏み切って高金利政策を維持し、国内の物価上昇を抑え込もうとしました。しかしこれが裏目に出て、結果的に企業が投資を手控えるようになり、内需の下押し要因となったため、インドの経済成長を妨げてしまっています。

低インフレ長期化懸念
『日本経済新聞』 2014年3月1日 朝刊 p7
 景気は持ち直したものの、高失業率による弱い内需を背景に、ユーロ圏の低インフレが長期化するのではないかという懸念が強まっています。記事では、欧州中央銀行(ECB)ドラギ総裁の「低い物価上昇率が長期間続くことはリスク」といった発言を取り上げ、低インフレが経済に与える悪影響を心配する声を伝えています。

Economists increasingly see inflation as a remedy ※英文
『International New York Times』 2013年10月28日 p1
 鈍い経済成長、高い失業率を背景に、アメリカでもインフレ期待が高まっていることを伝える記事です。ウォルマートといった小売業を中心に、インフレは企業の利益を増大させ、労働者の賃金上昇にもつながるとする関係者が増えています。記事の終わりには、2012年にインフレ目標政策を導入した前米連邦準備制度理事会(FRB)議長であるバーナンキ氏の、低過ぎるインフレを問題視する言葉も引用されています。

インターネットのとびら

日本銀行 BANK OF JAPAN
http://www.boj.or.jp/index.html/
 日本銀行は国の中央銀行として、物価の安定のために金融政策の決定と実行に当たっています。ホームページでは金融政策の解説を掲載しており、2%の「物価安定の目標」と「量的・質的金融緩和」についても詳細な内容を知ることができます。また、世界各国の中央銀行・通貨当局をまとめたリンク集もあり、他国の金融政策の動向にも触れることもできます。

総務省統計局 消費者物価指数(CPI)
http://www.stat.go.jp/data/cpi/
 消費者物価指数(CPI)は、消費者が購入する段階での商品やサービスの物価の変動を表す指数のことです。「経済の体温計」とも呼ばれており、経済政策を行う上で非常に重要な指数となります。毎月作成され、その結果はホームページ上で公開されており、過去の結果と比べて推移をとらえることも可能です。