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トピックスのとびら

 図書館には図書、雑誌、地域資料、新聞、視聴覚資料、インターネットといったたくさんの情報のとびらがあります。
 そのとびらを開いて、時事的な話題を複合的な視点から紹介します。

No.104 沖縄基地問題(2014年3月発行)

 2013年12月27日、沖縄県仲井眞知事は、政府の辺野古埋め立て申請を承認しました。翌2014年1月19日に行われた名護市長選挙では、米軍普天間飛行場の辺野古への移設反対を表明している現職の稲嶺進氏が再選を果たしています。
 普天間飛行場の返還・移設問題は、沖縄における米軍基地問題の最大の懸案だと言われています。宜野湾市の中心部に位置する普天間飛行場は住宅地に隣接しており、2004年には市内にある沖縄国際大学構内に米軍のヘリコプターが墜落するという事件も起きました。しかし、1996年に日米両政府間で飛行場の返還が合意されてから18年が経った今もなお、問題はこう着状態が続いています。複雑に絡み合った沖縄の基地問題は、その歴史的な背景を理解することなしに語れません。そして基地問題は沖縄だけの話ではなく、厚木海軍飛行場、横須賀海軍施設といった米軍基地を抱える神奈川県もまた関わってきます。基地問題の背景を理解する手がかりとなるような資料を紹介します。

図書のとびら

『銃剣とブルド-ザ- 沖縄県史ビジュアル版戦後(1)』
沖縄県文化振興会公文書館管理部史料編集室編 沖縄県教育委員会 1998年 請求記号:219.9 259 1(21150263)県書庫2

 「銃剣とブルドーザーによる土地接収」というのは、米軍が基地建設のために取った方法のことを指しています。武装した兵士によって住民が追い出された土地は、その後ブルドーザーによって整地されました。土地接収は米軍が沖縄に上陸した1945年以降継続的に行われ、1950年代には島ぐるみの大規模な抗議運動が起こります。その様子が写真や文書、地図などによって描かれています。1945年1月、1947年5月にそれぞれ米軍が宜野湾市伊佐浜上空から空撮した写真が掲載されており、普天間飛行場が市の中心部に作られた前後の様子を知ることができます。

『沖縄基地問題の歴史 非武の島、戦の島』
明田川融著 みすず書房 2008年 請求記号:319.8TT 761(22182281)公開

 「現実に存在する基地問題に読者の関心を誘い、問題の核心をみきわめる一助となるような、開かれた問題提起を意図している」と著者は執筆意図を冒頭で述べています。時を経るにしたがって複雑化、専門化していくようにみえる沖縄の基地問題。「沖縄戦」に至るまでの過程から、日米安保体制における沖縄の位置、1972年5月に日本へ復帰した後も未だ残る問題まで、その歴史を丹念に辿っています。多角的な視点から語られる解説からは、歴史の流れの中で作り上げられてきた「本土」と沖縄をめぐる社会的構造が見えてきます。

『米軍基地の歴史 世界ネットワークの形成と展開』
林博史著 吉川弘文館 2012年 請求記号:395.39 11 (22569248)公開

 本書によれば、海外の米軍基地の資産価値を国別に集計すると、最も多いのが日本だそうです。冷戦終結後、ドイツをはじめとした他国の米軍基地は縮小が進んだのに対して、日本は数多くの大規模な基地を維持しています。世界各地に展開している米軍が、なぜこれほど日本に、沖縄に基地を集中させているのか。米軍基地のネットワークが形成され展開していった経緯を、出発点となった19世紀末から、核兵器の時代を迎え、米国本土への直接攻撃を回避するため巨大な基地群が築かれた1950年代末まで取り上げ、その背景を検討しています。

『〈沖縄〉基地問題を知る事典』
前田哲男・林博史編・我部政明編 吉川弘文館 2013年 請求記号:319.8 856(22660070)公開

 空軍の嘉手納基地に加えて、海兵隊のキャンプ・フォスターとキャンプ・キンザ―という3つの巨大な基地の他、日本にある米軍基地の74%が集中している沖縄。その沖縄基地問題を総合的に考える事典として、本書は安全保障から土地収用、経済まで40のテーマを主に時代順に設定し、最新の研究成果をもとに分かりやすく解説しています。「基地問題を知るための読書ガイド」に加え、アメリカ国防総省の機構や海兵隊の海外基地リストなど、関連する基本データを付録として掲載しており、基地問題を知る入門編として最適の一冊です。

『日米関係をめぐる動向と展望 総合調査報告書』
国立国会図書館調査及び立法考査局 2013年 請求記号:319.1 993(22688220)公開

 国立国会図書館では、調査担当職員が重要な国政課題についてプロジェクトチームを編成し、調査・分析を行う「総合調査」を実施しています。平成24年から25年にかけての「総合調査」のテーマは「日米関係をめぐる動向と展望」でした。本書はその報告書になります。東アジアおよび太平洋地域の国際状況は今、構造的な転換期を迎えつつあり、それは日米関係にも大きく影響を及ぼしています。基地問題については、基地の海外展開に関するアメリカの政策や、沖縄米軍の訓練移転の経緯に関する事例分析など、さまざまな側面から詳細に考察されています。

雑誌のとびら

「沖縄基地重圧の実像 命の二重基準は許されるか」
『ワセダアジアレビュー』早稲田大学アジア研究機構編 めこん (発売) 13号 2013年 p23-29 請求記号:Z292-502

 「特集 沖縄を考える」に掲載された記事の一つです。琉球新報編集局政治部長・論説委員である松元剛氏が、海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの普天間飛行場への配備をめぐる問題について書いています。米本国や欧州の米軍基地で許されない運用が恒常化している沖縄の実態。普天間飛行場の滑走路端からわずか400メートルの所には、小学校を含めた18の公共施設、住宅約800戸があります。沖縄の人の命を軽視しているのではないか、命の重さに露骨な二重基準が許されていいのかと 問いかけています。

「沖縄の基地被害は「他人事」か 四一全市町村長の訴えと本土の無関心 」
『世界』岩波書店 840号 2013年3月 p148-154 請求記号:Z051-3

  2013年1月27日、東京都千代田区の日比谷公園・野外音楽堂で、「NO OSPREY東京集会」が開かれました。毎日新聞社の記者臺宏士氏がその様子を取材しています。記事では、実行委員会事務局長玉城義和氏による次の発言を掲載しています。「沖縄ではいろいろな問題が起こっても、なかなか中央紙とかあるいはメディアの電波に乗らない。こういうことを沖縄県民は感じている。沖縄の課題を取り上げていただきたい。」 「本土」と沖縄県民との間にある大きな温度差について考えさせられる言葉です。

「名護市にのしかかる18年越しの重圧 」
『金曜日』金曜日 22巻2号(通巻992号) 2014年1月17日 p18-20 請求記号:Z051-522

 2014年1月19日に投開票される沖縄県名護市長選挙に向け、末松氏、稲嶺氏をはじめとした候補者それぞれの動き、そして複雑な想いを抱える地元住民の声を伝えています。米軍基地移設に賛成か反対かといった単純な構図ではとらえきれない状況は、人口2000人足らずの集落「辺野古」の住民間に深い亀裂を生み出しており、辺野古区長の嘉陽宗克氏は「本土の方に、沖縄の想いを伝えてください」と語っています。

「Japan and America Surrounded by sharks」※英文
『The Economist』Economist Newspaper Ltd Volume410,Number8870 2014年1月18-24日 p27-29 請求記号:Z330-E

 「The Economist」は、イギリスで1843年に創刊された英文ビジネス誌です。普天間飛行場の辺野古への移設についてその背景を説明し、安倍首相が多額の沖縄振興予算を約束するのと引き替えに、仲井眞知事から着工承認を勝ち取ったことで、この行き詰まりは打開されるかもしれないと述べています。ただし、日米関係における移設問題の影響について言及した後、最後は安倍首相が勝ち取った成果が地元の政治によって覆される可能性は依然として残ると結んでいます。

新聞のとびら ~神奈川県と米軍基地~

70デシベル以上が76回 2、3日厚木基地米軍機飛行
『神奈川新聞』 2013年1月5日 朝刊 p14 全県版
 大和、綾瀬市などは毎年、米軍側に年末年始の飛行自粛を求めていますが、その要請にもかかわらず、米軍機が1月2日から飛行を続けた問題を取り上げています。2、3日の両日で騒音とされる70デジベル以上を記録したのは計76回に上り、電車の線路脇に例えられる100デジベル以上の騒音も計24回計測したとあります。

厚木艦載機 岩国移転遅れ 1年半から3年程度
『神奈川新聞』 2013年1月23日 朝刊 p1 全県版
 空母艦載機59機が、米海軍厚木基地から岩国基地(山口県)へと移転する予定が、米軍再編ロードマップに示された2014年よりも1年半から3年ほど遅れる見通しになったと報じています。2012年にはジェット電子戦機プラウラーからの部品落下事故、突然の夜間着陸訓練などがあり、神奈川県や基地周辺市は着実な移転を要請していますが、予定通りに行われるかどうか危ぶむ声が出ています。

基地背負う神奈川こそ見て
『毎日新聞』 2013年1月27日 朝刊 p25 横浜版
 沖縄の人々が抵抗する姿を描いたドキュメンタリー映画「ラブ沖縄@辺野古・高江・普天間」が、横浜中区にある映画館「シネマジャック&ベティ」で上映されるのを機に、共同監督の一人である藤本幸久氏に行ったインタービューをまとめています。藤本監督は、抵抗運動を続けられるのは怒りだけでなく、人間や沖縄、歴史、文化への深い愛があるからだと思うようになったと語っています。

米軍人と市民が「メイクフレンズ」 横須賀で交流会
『毎日新聞』 2013年10月20日 朝刊 p29 横浜版
 2013年10月19日、横須賀市大滝町の飲食店2店で開かれた「メイクフレンズデー」を取材しています。「メイクフレンズデー」は、米海軍横須賀基地で勤務する兵士やその家族と市民が交流するイベントで、地元ならではの居酒屋などを米国人に紹介し、気軽に利用してもらうことを目的としています。日米の習慣の違いなどを語り合いながら相互理解 を深める様子を伝えます。

インターネットのとびら ~沖縄の2大地方新聞~

琉球新報
http://ryukyushimpo.jp/
 創刊は明治26(1893)年9月15日、沖縄県で最も古い新聞社です。第二次世界大戦中も「沖縄朝日新聞」・「沖縄日報」との一社統合で設立された「沖縄新報」として発行を続けましたが、昭和20(1945)年5月25日、首里城陥落とともに一度終刊となりました。しかし7月26日には「ウルマ新報」として(のち「うるま新報」に変更)発刊され、昭和26(1951)年9月10日のサンフランシスコ平和条約締結を機に「琉球新報」と改めています。

沖縄タイムス+プラス
http://www.okinawatimes.co.jp/
 第二次世界大戦後沖縄では、「沖縄毎日新聞」や「沖縄ヘラルド」といった多くの地方新聞が創刊されました。「沖縄新報」の編集同人等によって創刊された沖縄タイムスもその一つで、「ウルマ新報」に次いで活動を開始し、現在は「琉球新報」と共に沖縄を代表する新聞となってい,ます。創刊は昭和23(1948)年7 月1 日ですが、新聞発行はその2 日前(6月29日)に通貨切替をスクープした「号外」からのスタートでした。