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トピックスのとびら

 図書館には図書、雑誌、地域資料、新聞、視聴覚資料、インターネットといったたくさんの情報のとびらがあります。
 そのとびらを開いて、時事的な話題を複合的な視点から紹介します。

No.100 そうだ、映画祭に行こう! (2013年11月発行)


 映画祭といえば、宮崎駿監督の「風立ちぬ」が出品されたイタリアのヴェネツィア映画祭をはじめ、フランスのカンヌ映画祭、ドイツのベルリン映画祭が世界三大映画祭として有名です。10月に開催された東京国際映画祭もそうですが、世界各地からたくさんの映画関係者が集まり繰り広げられる本格的な映画祭は実に華やかで、映画ファンにとっては注目のお祭りです。しかし、こういった豪華な映画祭だけが映画祭の魅力ではありません。地元の自治体や市民グループが中心となって運営する地域密着型の映画祭もまた、あたたかな人と人とのつながりを生み出しています。
 日本では1985年に東京国際映画祭、1989年に山形国際ドキュメンタリー映画祭と、1980年代半ば以降国際映画祭が開催されるようになりました。ゆうばり国際ファンタスティック映画祭(1990年)やアジアフォーカス・福岡映画祭(1991年)なども大規模な国際映画祭です。その一方で湯布院映画祭(1976年)や高崎映画祭(1987年)といった有志による手作りの映画祭も続々と開かれています。それぞれが独自の性格を持ち、普段見られない傑作が楽しめる映画祭。テレビやレンタル店に押されながらも、みんなが一緒に同じ空間で観る映画は人々を魅了し続けています。

図書のとびら

『世界の映画祭をゆく』
草壁久四郎著 毎日新聞社 1999年 請求記号:778.04HH 49(21127287)

 本書は、東京国際映画祭のディレクターを第1回から務めた他、カンヌ、ベルリンなどの国際映画祭で審査員を歴任した映画評論家故草壁氏が、1995年3月から『世界日報サンデー版』に「世界の国際映画祭を行く」というタイトルで一年間連載したレポートをまとめたものです。有名な映画祭だけでなく、フィンランドのソダンキラという、北極圏近くにある小さな町で開かれる白夜映画祭といった、日本人にはあまり知られていない映画祭の様子を臨場感たっぷりに語っており、巻末についている「国際映画製作者連盟公認の世界主要映画祭ガイド」を見ながら、思わず映画祭目当てに旅に出たくなります。

『カンヌ映画祭』
中川洋吉著 講談社(講談社現代新書) 1994年 請求記号:778.2FF 213(20905972)

 南フランスの高級リゾート地で開かれ、世界中から人々が集まるカンヌ映画祭。その誕生のきっかけは第二次世界大戦前まで遡ります。当時ファシズムの影響下にあったヴェネツィア映画祭に対抗し、フランスで開催する国際映画祭を新たに作ろうと計画されたのが最初でした。しかし、まさに開催を予定していた1939年9月1日の朝、ドイツ軍がポーランドに侵攻し、映画祭は中止となってしまいます。1946年、さまざまな困難の中で開催された第1回カンヌ映画祭は、戦後の平和と希望のシンボルであり、新時代到来の象徴でした。本書はカンヌ映画祭の歴史や構造、そして、フランスが国家規模で文化としての映画をいかに支えているかを分かりやすくまとめています。

『映画に生きる女性たち-東京国際女性映画祭20回の記録 1985~2007-』
高野悦子・大竹洋子・小藤田千栄子・羽田澄子他著 パド・ウィメンズ・オフィス(別冊女性情報) 2007年 請求記号:778.04SS 81(22125066)

 1985年、国際コンペティションを行う大型の総合映画祭として誕生した東京国際映画祭。東京国際女性映画祭はこの東京国際映画祭の協賛企画の一つで、当時日本にはほとんどいなかった女性監督の作品を紹介することを目的に発足しました。本書は映画祭実行委員会メンバーによる座談会を中心に構成されており、その参加者の一人は、第1回からジェネラルプロデューサーを務め、今年の2月に亡くなった元岩波ホールの総支配人、高野悦子氏です。上映作品全記録に加えて、女性監督リストも掲載されています。

『アジア映画の森 新世紀の映画地図』
夏目深雪編 佐野亨編 石坂健治他監修 作品社 2012年 請求記号:778.22 145(22607899)

 1982年に開催された「国際交流基金映画祭 南アジアの名作を求めて」をきっかけに日本で知られるようになったアジア映画ですが、東京国際映画祭を筆頭に上映の機会が一挙に増大し、私たちの身近な存在となっています。本書は多様化したアジア諸国の映画状況を網羅的にまとめており、アジア映画入門者にとって最適なガイドブックとなっています。東京フィルメックス映画祭を始めとした、アジア映画を上映する映画祭の詳しいガイドが掲載されているので、本書を手にしながら、実際にアジア映画の森へ分け入ってみませんか。

『地域の映画祭・映画上映を考える  平成8年度文化事業企画連絡会2〔映画上映ネットワ-ク会議〕会議報告書 』
国際文化交流推進協会編 国際交流基金 1997年 請求記号:778.06 2(21018510)

 県立図書館では本書のような報告書も所蔵しています。1996年7月、映画祭や映画上映事業をテーマに福岡市総合図書館で開催された本会議には、地方自治体の国際交流・文化担当者や映画祭担当者をはじめ、さまざまな立場の関係者が集まっており、パネルディスカッションの内容はかなり具体的です。実際に映画祭を開催するにはどうしたらよいのか、スケジュールや収支が詳しく分かる資料が掲載されている上、ボランティアとの連携といった課題なども挙げられており、自分たちの手で映画祭を開催したいけれどどうしたらよいか見当もつかない、そんな疑問に答えてくれます。

雑誌のとびら ~日本各地の映画祭~

「国際映画祭と地域特殊講義 映像文化の創造と倫理(1)アーカイブと映像マネジメント」
『映像文化の創造と倫理』立命館大学映像学部 2009年度 p72-79 請求記号:Z051-873

 2013年10月に24年目を迎えた山形国際ドキュメンタリー映画祭。司会進行やオフィシャルな情報誌の発行までボランティアが担う手づくり感が好評で、ホスピタリティのある映画祭といわれています。本号にはこの映画祭の理事宮沢啓氏の講義が収録されており、開催が一年おきなのははぜか、そもそもなぜドキュメンタリー映画に特化したのかなど、その歴史を知ることができます。宮沢氏の紹介する蓮實重彦氏の言葉「”山形で会おう!”は世界の合言葉になった」は、まさにこの映画祭の広がりを象徴しているのではないでしょうか。

「地域創生Watching(42)あおもり映画祭」
『りそなーれ』りそな総合研究 7巻9号[2009年9月]p23-26 請求記号:Z335-872

 あおもり映画祭は行政や大手企業の支援もなく、映画好きの人びとが集まって手弁当で開催にこぎつけた映画祭です。ゲストと観客やスタッフが作品についてじっくりと語り合うことを重視するあおもり映画祭独自のスタイルなど、記事からはほのぼのした温もりが伝わってきます。会場が分散され、地域ごとのチームが責任を持って運営するというユニークな形で開催されるこの映画祭は、2011年に第20回を迎えましたが現在は無期限休養中。復活を願います。

「夕張発!世界への発信-ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」
『月刊自治研』自治労システムズ自治労出版センター 52巻(通巻 611号)[2010年8月]p38-42 請求記号:Z318-214

 「特集 地域を元気づける祭り」の一つです。夕張市民が地域再生に向け歩み続ける様子を、北海道新聞夕張支局長である三浦祐大氏が伝えています。シカやクマなどの肉を何百キロも用意し振る舞う「ストーブパーティー」や、母の味でゲストを送る「さよならビュッフェ」。ボランティアとして映画祭を盛りあげる市民達は、「また来年」と思いを込めてゲストや観客に「お帰りなさい」、「行ってらっしゃい」と声をかけます。

「第5回したまちコメディ映画祭in台東 いとうせいこう「総合プロデューサー」が語るコメディ映画の幅広さ 」
『キネマ旬報』キネマ旬報社 1620号[2012年9月下旬]p118-121 請求記号:Z798-13

 したまちコメディ映画祭in台東がスタートした2008年から総合プロシューサーを務めるいとうせいこう氏のインタビュー記事です。コメディ映画自体が逆風気味の中、浅草、上野を会場に回数を重ね、確実に定着してきた略称したコメ。貧乏なコメディアンを食べさせてスターを輩出したこの町から商業監督が巣立って欲しい、浅草在住のクリエイター、いとうせいこう氏のコメディ映画への愛と遊び心が伝わってきます。

「地域活性化のための映画祭の経営モデル」
『地域活性研究』地域活性学会 Vol.4[2013年]p127-136 請求記号:Z305-610

 夕張国際ファンタスティック映画祭、アース・ビジョン地球環境映像祭、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭、イメージフォラム・フェスティバル、キンダー・フィルム・フェスティバルという5つの映画祭を対象に、地域映画祭のマネジメントのあり方を考察しています。映画祭の顧客、内部ビジネス、革新と学習、財務といった4つの視点から分析されており、持続可能性のある映画祭の特徴はどこにあるのか、その共通点が見えてきます。

新聞のとびら ~神奈川県の映画祭~

映画館なくなったからこそ… 厚木で来月 初の映画祭
『読売新聞』2011年2月17日 朝刊 p33 横浜版
 厚木市では初めての映画祭が、2011年3月27日から開催されることを報じた記事です。市内にただ一つだけ残っていた映画館が、入っていた商業施設の撤退と共に2008年に姿を消し、それ以降ずっと街に映画館がない状況が続いた厚木市。文化や芸術を中心に街を活性化させたいという強い思いが、「あつぎ映画祭」の開催に込められています。

映画・芸術祭を支援 横浜市が集客策 最大100万円助成
『日本経済新聞』2012年2月3日 朝刊 p31 神奈川・首都圏経済版
 文化芸術を通じた観光集客を重点事業と位置付けた横浜市が、2012年度に市内で映画祭や芸術イベントを開く団体を支援すると発表したことを報じています。映画祭については「映画祭開催支援事業」として、市中心部で2日間以上にわたって合計5本以上の作品を上演する団体を支援するとあり、近年の映画祭の活性化に、市もアピール効果を期待していることが分かります。

映像でつなぐ街 毎日映コン川崎開催(上)(中)(下)
『毎日新聞社』(上)2013年2月5日 朝刊 p23 (中)2013年2月6日 朝刊 p25 (下)2013年2月7日 朝刊 p27 ※全て横浜版
 3回にわたって、なぜ川崎で映画祭を開催するのか取材した連載記事です。市内に日本映画大学もある川崎市。川崎で「映像のまち」を進めるかわさきムーブアート応援隊理事長の君嶋武胤氏や、市立小学校の一部で行われている映像制作の授業の講師を務める土持幸三監督、新百合ヶ丘周辺で行われている「KAWASAKIしんゆり映画祭」の事務局職員の大道優子さんへのインタビューで構成されています。

つながる街と人 茅ケ崎映画祭ドキュメント’13(1)~(6)
『神奈川新聞』(1)2013年5月13日 p12 (2)2013年6月1日 p10 (3)2013年6月4日 p12 (4)2013年6月5日 p12 (5)2013年6月6日 p12 (6)2013年6月7日 p12 ※全て全県版
 茅ケ崎映画祭の舞台裏を取材した全6回の連載記事です。2013年5月24日、第2回茅ケ崎映画祭が市内にある唯一の映画館「ワーナー・マイカル・シネマズ茅ケ崎」で初日を迎えました。この時の作品、森田芳光監督の「家族ゲーム」を映画館で上映できるよう主催したのは、仕出し料理店「浜田屋」の井澤氏。蔵元「熊澤酒造」内にあるギャラリーなど、さまざまな会場で作品が上映され、その作品ごとに主催者がいる茅ケ崎映画祭を支える市民たちの姿を取材しています。

インターネットのとびら ~世界各地の映画祭~

山形国際ドキュメンタリー映画祭公式サイト
http://www.yidff.jp/home.html
 山形国際ドキュメンタリー映画祭に関する情報に加えて、本HPのリンクページには、日本はもちろん世界各地で開催されている映画祭が、開催月別、地域別、50音別にまとめてあります。まさに圧巻で、これだけ多彩な映画祭が開催されているのかと驚嘆するばかりです。