トピックスのとびら

図書館には図書、雑誌、神奈川資料、新聞、視聴覚資料、インターネットといったたくさんの情報のとびらがあります。
そのとびらを開いて、時事的な話題を複合的な視点から紹介します。

No.151 ねこに魅せられて(2018年2月発行) PDF版276KB



 2月22日は「猫の日」。愛猫家の学者・文化人が構成する日本の猫の日実行委員会により1987年に制定されました。(動物愛護団体・国際動物福祉基金が決めたInternational Cat Day (World Cat Day) は8月8日)。2010年前後に始まった猫ブームは今日さらに過熱。猫カフェや猫駅長、猫が多く生息する離島のブームに始まり、猫関連の書籍やスマートフォンゲーム、テレビドラマ、CMなどが急増しています。猫が生みだす経済効果を表わす「ネコノミクス」という造語も生まれました。その経済効果は2015年1年間で2兆3000億円を超え、東京オリンピックがもたらす効果より大きいとも言われています。ペットフード協会による全国犬猫飼育実態調査によると、2017年には猫の飼育数は初めて犬を上回り、イグ・ノーベル物理学賞では「猫は固体と液体になれるか?」の研究が受賞などと話題も事欠きません。
 そこで今回は、古今東西、猫に魅せられた文化人の愛猫家ぶりを知る資料など、猫にまつわる資料を紹介します。

図書のとびら

紹介資料表紙 『大佛次郎と猫 500匹と暮らした文豪』
大佛次郎記念館  監修 小学館 2017 請求記号:K91.1/102 (60706231) かながわ資料室公開 常置

 横浜ゆかりの作家「大佛次郎」は鞍馬天狗シリーズなどの作品で知られる国民的作家ですが、大変な愛猫家としても知られています。家には常に10匹以上の猫がたむろしていて、一緒に住んだ猫は500匹に余る(夫人談)と言われるほどです。その大佛次郎が収集した300点にものぼる猫グッズや自身が撮影した猫の写真、猫の浮世絵・おもちゃ絵などを厳選し、心温まるエッセイとともに収録しています。大佛次郎の猫愛がたっぷりと感じられる一冊です。

紹介資料表紙 『なぜ、猫とつきあうのか』(講談社学術文庫)
吉本隆明著 講談社 2016 請求記号:914.6/1404 (22874564) 書庫

 猫を「猫さん」と呼ぶ詩人、思想家である著者がインタビューに答えた愛情たっぷりの猫論が、話し言葉のまま、とりとめもなく綴られています。子どもの頃から家に猫がおり、どの猫とも親密な関係を築いてきた著者の言葉の端々からは、野良猫、飼い猫の区別が曖昧だった時代へのノスタルジーが感じられます。長女ハルノ宵子が挿絵を、次女の吉本ばなながあとがきを担当。「それにしても、この本の、なんとなく盛り上がらないというか、無理がある感じが、なんとも間が抜けていてよく、妙に味がでていますね。」(あとがきより)

紹介資料表紙 『吾輩は猫画家である ルイス・ウェイン伝』  (集英社新書ヴィジュアル版)
南條竹則 著 集英社 2015 請求記号: 723.33/55 (22813109) 公開

 19世紀末から20世紀にかけてイギリスで一世を風靡した猫画家の伝記です。夏目漱石の『吾輩は猫である』の第二節に登場する絵葉書はこのルイス・ウェインの描いたものではないかという説から始まります。夏目漱石がロンドンに留学した当時、ルイス・ウェインが描く人間的で、ユーモラスで、表情豊かな猫の絵は爆発的な人気を誇っていたといいます。そんな彼の波乱万丈な経歴を追いつつ、貴重な作品がカラーで多数紹介されています。晩年、統合失調症を患い作風が劇的に変化した後に描いた「万華鏡猫」も掲載されています。

紹介資料表紙 『猫を助ける仕事 保護猫カフェ、猫付きシェアハウス』(光文社新書)
山本葉子 著 松村徹 著 光文社 2015 請求記号:645.7/17 (22844427) 公開

 猫の保護活動に取り組むNPO法人代表と、ペットと住まいのあり方に関心を持った不動産研究の第一人者の、「不幸な猫を1頭でも多く救いたい」という思いから生まれた本です。殺処分ゼロを実現するために、「足りないのは愛情ではなくシステム」と考えたNPO法人代表は、ソーシャルビジネスの手法を使い、保護活動と不動産ビジネスを連携させました。、多くの譲渡実績を挙げている「猫カフェ型開放型シェルター」や、保護猫を割り当てた「猫付きマンション」「猫付きシェアハウス」、さらに新しいスタイルの普及にも取り組む様子が描かれています。これからの「保護猫」との共生のあり方や譲渡システムについて、深く考えさせられる1冊です。

紹介資料表紙 『猫の古典文学誌 鈴の音が聞こえる』(講談社学術文庫)
田中貴子 著 講談社 2014 請求記号:910.2/320 (22770473) 書庫

 著者は大の猫好きで知られる中世国文学の研究者です。「猫」という文字の発祥に始まり、『源氏物語』『枕草子』では高級愛玩動物、『徒然草』では「妖怪ねこまた」、室町時代には鼠退治対策で禅僧に愛され、秀吉の時代には時計役で朝鮮従軍など、数々の古典文学に描かれた猫を考察しています。第4章には金沢文庫の貴重な経典を鼠から守るために輸入された「金沢猫」についても書かれています。物語絵巻、浮世絵、天井画など猫の図版も多数掲載されています。

紹介資料表紙 『史料としての猫絵』(日本史リブレット)
藤原重雄 著 山川出版社 2014 請求記号:210.04/437 (22763163) 公開

 江戸時代後期には今を超えるほどの猫の大ブームがあり、浮世絵師は猫を盛んに描いたそうです。当時、様々なジャンルで新しい表現スタイルを確立し、江戸で活躍していた歌川国芳は、無類の猫好きとしても有名です。その歌川国芳が描いた猫絵の一枚、「鼠よけの猫」を皮切りに、猫絵を歴史史料として、その背景にある歴史や風俗などの諸側面から読み解いていく一冊です。図版が数多く掲載され、巻末に参考文献リストもついています。

紹介資料表紙 『ネコの動物学』
大石孝雄 著 東京大学出版会 2013 請求記号:645.7/16 (22714513) 公開 

 著者は東京農業大学農学部元教授で在任時に「伴侶動物学」を担当。本書は学生への講義内容を基に、研究室所属学生の卒業論文、研究成果なども引用しながら、ネコ学としてまとめています。愛玩動物の中でも、ヒトとの生活において社会的役割を果たしている動物を「伴侶動物」と定義した上で、動物的特性やヒトとの共生の文化・歴史、現在生じている問題、将来の社会的役割など多分野にわたり、イエネコに関する研究を包括的にまとめています。猫の全体像を知ることのできる、図や写真の豊富な学術書です。

紹介資料表紙 『猫語の教科書』
ポール・ギャリコ 著 筑摩書房 1995 請求記号:645.7/4 (21385026) 書庫

 これは、猫語の解説本ではありません。「猫による猫のための猫の生き方教科書」というスタイルで書かれたユーモラスな本です。自分たちの快適な生活を確保するため、どのように人間の家を乗っ取り、どのように人間を支配し、どのように自分の魅力をアピールすれば良いか、そのコツを、徹底した「猫」の目線で著しています。まるで猫が人間を手玉に取るような巧妙なテクニックが満載、人間の本質を見抜かれているようで妙に納得させられます。著者ポール・ギャリコは、猫を主人公にした幾つかの小説で世界的にも有名ですが、今回は‘猫語’を解読する編集者として登場します。あくまでも著者は猫であるという体裁で、カバーには猫の顔写真とともに「著猫(ちょしゃ)略歴」が載っています。

雑誌のとびら

紹介資料表紙 特集「猫の文学博物誌」
『國文学 解釈と教材の研究』 學燈社 第27巻12号 通巻395号 p6~133 1982年9月 請求記号:Z910.5/102

 第一線で活躍する数々の国文学者や動物行動学者、心理学者らが、日本及び海外の文学に描かれた猫について多方面から論じた特集です。なかでも『「吾輩は猫である」をめぐって』では故三好行雄氏の司会のもと、3人の研究者がこの作品について、とどまる所を知らず徹底的に討議をしています。

紹介資料表紙 「NyAERA(ニャエラ) またたび まるごと1冊ねこだらけ おかわり!」 
『AERA増刊』朝日新聞出版 第30巻58号 通巻1657号 2017年12月 請求記号:Z051/203

 まるごと一冊ネコニュースに特化し好評を博した週刊紙「AERA」の増刊第2弾。今回のテーマは「ネコのためにできること」です。腎臓病特効薬の最新情報、東洋医学、ネコにもあるアレルギー、気をつけたい飼い主の生活習慣などを取材。グラビアには話題の人気猫も登場、バラエティに富んだ魅力的な記事が満載です。動物写真家・岩合光昭さんの愛猫2匹が表紙を飾っています。

新聞のとびら

「特集ワイド 経済効果は年間2兆3000億円!?絶好調「ネコノミクス」」
毎日新聞 2016年4月13日夕刊p2 

 猫ブームが止まらない。その経済効果は、安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」にちなんで「ネコノミクス」と呼ばれるほどだ。しかも、その額がすごい。円高・株安が進み陰りをみせるアベノミクスと対照的に、ネコノミクスは衰えを知らない。この勢い、どこまで続くのか。(後略)

「ネコノミクス化ける お猫様、人・カネ招く」
日経MJ (日経流通新聞) 2017年11月15日p1 

 老いも若きも男も女も「ネコノミクス」に沸く昨今。栄えるネコ経済圏の裏でもう一つのネコノミクスがうごめく。猫の写真を使い男女を出会わせるマッチングアプリ、求人を手伝うネコ社員、税金を集めるネコ家具。おネコ様を前に出せば、人もお金もホイホイ集まる。もはやネコと関係なくても気にしない。にゃんでもOKな「裏ネコノミクス」特集にゃ。(後略)

インターネットのとびら

大佛次郎×ねこ写真展2018
http://osaragi.yafjp.org/etc/3860/
 今年開館40年を迎える大佛次郎記念館(横浜市中区山下町)で、「ねこ」をテーマにした写真展が、今年も開催されます。2月20日(火)~4月8日(日)。一般公募で集められたアマチュア作品の展示もあり、人気投票も行われます。常設の展示にも、大佛次郎が所蔵していた猫コレクションが、多数展示されています。

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