トピックスのとびら

図書館には図書、雑誌、神奈川資料、新聞、視聴覚資料、インターネットといったたくさんの情報のとびらがあります。
そのとびらを開いて、時事的な話題を複合的な視点から紹介します。

No.150 童謡 「赤い鳥」創刊100年(2018年1月発行) PDF版243KB



 文学者鈴木三重吉(1882-1936)は、「「赤い鳥」は -(中略)- 現代第一流の藝術家の眞摯なる努力を集め、兼て、若き子供のための創作家の出現を迎ふる、一大區劃的運動の先驅である。」との標榜語(モットー)を掲げ、大正7年(1918)に児童向け雑誌「赤い鳥」を創刊しました。「赤い鳥」の運動には多くの文学者が賛同し、北原白秋らを中心とした童謡詩(曲のつかない詩)が掲載されました。 やがて詩に曲がつけられ歌われるようになると、「赤い鳥」の童謡はたちまち注目を集め、これをきっかけに次々と童謡を載せた新しい児童雑誌が創刊されるようになりました。今年は「赤い鳥」創刊から100年です。童謡が最も盛んに創作された大正中期から昭和初期の作品や、童謡に関する当館の資料を紹介します。

図書のとびら

紹介資料表紙 『日本の童謡―誕生から九〇年の歩み』
畑中圭一著 平凡社 2007 請求記号:911.58SS/128 (22066815) 県立公開

 雑誌「赤い鳥」創刊から90年間の童謡の歴史を文学の側面からとらえた通史です。童謡詩人の主な活動の場であった児童雑誌や同人誌が年代順に紹介されています。刊行状況や活躍した人物の略歴と作品の傾向が記されるとともに、童謡論についても述べられています。童謡とはどうあるべきか、という難問に挑み続けた童謡詩人の活動は、近年衰退へと向かっています。

紹介資料表紙 『日本童謡音楽史』
小島美子著 第一書房 2004 請求記号:767.7PP/227 (21796719) 県立公開

 本書は、著者が1967年から1969年にかけて月刊誌「音楽教育研究」(請求記号:Z760/502)に連載した「童謡運動の歴史的意義」という論文を30年以上経て、一冊の本にまとめたものです。きっかけは、童謡がブームとなり、学校で唱歌や童謡が取り上げられるようになったことです。著者は「現代の子どもたちの教育に唱歌や童謡をそのまま取り入れることが、ふさわしいとは限らない」と述べています。そして童謡運動の中心であった雑誌「赤い鳥」「金の船」(のちに「金の星」)などで活躍した作曲家たちの作風や曲の特徴を綿密に分析し、童謡の本質を音楽的側面から考察しています。

紹介資料表紙 『謎とき名作童謡の誕生』(平凡社新書)
上田信道著 平凡社 2002 請求記号:767.7NN/221 (21666037) 県立書庫

 「故郷」「赤とんぼ」「夕焼小焼」など、よく知られている童謡や唱歌ですが、いつ、どのようにして生まれ、その歌に込められた意味とは何だったのでしょうか?
児童文学を研究する著者が、文献研究をもとに名作誕生の謎を解き明かします。作者の生い立ちや、曲にまつわるエピソードにも触れ、興味深い情報が満載です。神奈川県にゆかりのある「赤い靴」「七里ヶ浜の哀歌」も紹介されています。

紹介資料表紙 『子どもの昭和史 童謡・唱歌・童画100』(別冊太陽)
秋山正美 構成・解説 平凡社 1993 請求記号:767.7/233 (22145064) 県立書庫

 童画が大変美しい一冊です。当時の雑誌や絵本が、子どものためという枠を超えて、とても芸術性が高かったことがうかがえます。それぞれの曲の解説に加え、作詞家、作曲家自身による短いエッセイも組み込まれています。それらが、童画の素晴らしさと相まって、曲の味わいを一層深めています。

紹介資料表紙 『童謡小曲』
中山晋平著 山野楽器店 1923 請求記号:SH767.7/74 (11768108) 県立書庫 常置 唱歌集コレクション

 『童謡小曲』は中山晋平が作曲した曲をまとめた全17集の叢書で、大正11年(1922)から昭和5年(1930)にわたって発行されました。そのうち当館で所蔵しているのは、1、5~11、13集の9冊で合本製本されています。第1集の中山晋平の序文からは、歌詞の味わいを忠実に表現することよりも、子どもの歌であることを第一に考え、平易でわかりやすい曲作りを優先させたことがわかります。第1集は北原白秋の童謡4曲で、全曲に楽譜がついています。加藤まさをの表紙絵がとても美しい叢書です。

雑誌のとびら

紹介資料表紙 「赤い鳥」複刻版    ※「複刻版」の「複」は原文のまま表記しています。
日本近代文学館 第1巻第1号 複刻版発行 1968年11月 請求記号:Z909/26

 原本は、大正7年(1918)7月に創刊されました。(鈴木三重吉主宰、赤い鳥社発行)。赤い鳥の標榜語(モットー)は「現在世間に流行している子どもの読物の最も多くは、…種々の意味に於いて、いかにも下劣極まるものである。…」という強い言葉で始まり、一流の作家や芸術家と共に子どものために芸術性豊かな読みものを作り、さらに、多くの創作家を輩出していくことを方針に掲げています。
 創刊号の巻頭を飾ったのは、北原白秋の創作童謡「りすりす小栗鼠(こりす)」で、曲はついていませんでした。童謡に曲がつけられたのは、大正8年(1919)5月号からで、西條八十(やそ)の童謡に成田為三(ためぞう)が曲をつけた「かなりや」が大ヒットし、以降、毎月楽譜付きの童謡が巻頭を飾ることになります。表紙挿絵は、清水良雄です。
 「赤い鳥」は、昭和4年(1929)4月から約2年間の休刊を挟んで、昭和11年(1936)10月、鈴木三重吉追悼号で幕を閉じました。童謡では、北原白秋、西條八十、作曲では、成田為三、草川信(しん)、山田耕筰らが活躍しました。特に北原白秋と山田耕筰の交流は深く、大正後期に掲載された童謡「からたちの花」「この道」は、その後、山田耕筰が曲をつけ、今なお歌い継がれています。

紹介資料表紙 「金の船」複刻版    ※「複刻版」の「複」は原文のまま表記しています。
ほるぷ出版 第1巻第1号 複刻版発行 1983年3月 請求記号:Z909/136

 原本は大正8年(1919)11月に創刊されました。(編集は斎藤佐次郎、発行所キンノツノ社)。創刊号の追伸欄には、雑誌「赤い鳥」が子どもの読み物としては芸術的思考が高すぎる点を指摘して、「金の船」は、子どものための読み物であることに重点をおき、内容だけでなく、言葉使いや体裁、活字の組み方にまで子どもを意識した雑誌であることを述べ、その違いを明確にしています。
 創刊号の冒頭には、野口雨情(うじょう)の童謡に北村季晴(すえはる)が作曲した「鈴虫の鈴」が楽譜付きで載せられています。表紙挿絵は、岡本帰一(きいち)です。大正11年(1922)6月に「金の星」に誌名変更、昭和3年(1928)4月に終刊となりました。童謡では、若山牧水、野口雨情、作曲では本居長世(もとおりながよ)、中山晋平、藤井清水(きよみ)らが活躍しました。「十五夜お月」「七つの子」など、多数のヒット曲が生まれました。

視聴覚資料のとびら

「こどものうた大全集-うたいつがれて100年」全2セット(CD)
請求記号:CD92/コトモ [1](41250697),[2](41250705)音楽・映像コーナー
別冊解説書 『CD収録244曲全楽譜集』 請求記号:767.7/218/1(21532940)県立書庫
別冊解説書 『写真で見るこども100年』 請求記号:767.7/218/2(21532957)県立書庫

 このCDは、2セットで244曲を収録しています。明治14年(1881)小学校唱歌初編に載せられた「蛍の光」から平成11年(1999)NHK「おかあさんといっしょ」で発表された「だんご3兄弟」まで、約100年間の日本の子どもの歌の歴史を振り返ることができます。[1]のCDでは、雑誌「赤い鳥」から生まれた童謡や当時の貴重な音源で童謡歌手の歌声を聴くことができます。このCDには別冊解説書が2冊あります。『CD収録244曲全楽譜集』には歌詞、楽譜に加え、NHK初代歌のおねえさんとして活躍した眞理ヨシコの執筆による、曲の由来と本人のエピソードが盛り込まれています。『写真で見るこども100年』では、色々な切り口で子どもの歌についての考察が述べられ、読み応えのある資料です。 巻末には「全国唱歌童謡歌碑めぐり」と「年表」がついています。

インターネットのとびら

小田原文学館
http://www.city.odawara.kanagawa.jp/public-i/facilities/literature-museum/bungakukan.html
<特集展示> 「白秋と童謡、「赤い鳥」」を開催中(~平成30年7月下旬予定)。雑誌「赤い鳥」創刊100年を記念して、小田原文学館所蔵の資料から、白秋の童謡をめぐる主要作品を紹介しています。

鈴木三重吉と「赤い鳥」の世界
https://www.library.city.hiroshima.jp/akaitori/top.html
 広島市立中央図書館の広島文学資料室には、鈴木三重吉に関する資料を集めた「三重吉文庫」があります。このサイトでは、その文庫の鈴木三重吉と雑誌「赤い鳥」に関する資料を様々な角度から紹介しています。作品解説をはじめ、「作家索引」「表紙画ギャラリー」もあり、「WEB de 読もう」では雑誌に掲載された一部の童話や童謡を読むこともできます。

歴史的音源(れきおん)
http://rekion.dl.ndl.go.jp/
 歴史的音源(れきおん)は、1900年~1950年頃の国内のSP盤等に収録された音楽などを、インターネット上で提供する国立国会図書館の配信サービスです。当館は配信参加館となっており、これらの音源を音楽・映像コーナー(新館1階)の端末で聴くことができます。唱歌・童謡のジャンルでは2000件以上が収録されています。一部の音源は、インターネット上に公開されており、誰でも自由に聴くことができます。

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