トピックスのとびら

図書館には図書、雑誌、神奈川資料、新聞、視聴覚資料、インターネットといったたくさんの情報のとびらがあります。
そのとびらを開いて、時事的な話題を複合的な視点から紹介します。

No.149 ベートーヴェンと≪第九≫の周辺(2017年12月発行) PDF版233KB



トピックスのとびらの表紙

 日本では年末の風物詩となっている《第九》・・・ベートーヴェン作曲の交響曲第9番ニ短調Op.125「合唱」です。欧米では神聖視され、歴史的意義の深い日に、例えばベルリンの壁崩壊直後にベルリンで行われた演奏会や、ウィーン国立歌劇場が再建された際などに演奏されてきました。
 ベートーヴェンはシラーの詩「歓喜に寄す」に感動し、曲を付けることを20代に志しながら、50代になった1822年から1824年初めにかけて、ようやくこの曲を作曲しました。独唱、合唱があいまって壮大に歌い上げられる《第九》は、ベートーヴェンの交響曲の集大成とも言えます。この曲の魅力を解き明かす手掛かりになるような資料をご紹介します。

図書のとびら

紹介資料表紙 『ベートーヴェンの第9交響曲 分析・演奏・文献』
ハインリヒ・シェンカー著,西田紘子訳,沼口隆訳 音楽之友社 2010 請求記号:764.31/15 (22400394) 県立公開

 『Beethovens neunte Sinfonie』(1912年)の翻訳。第9交響曲だけを分析した研究書。「第9」全4楽章の楽曲について、譜例を示しながら分析し、具体的な演奏の手引きとなっています。当時の代表的な文献への批判も充実しています。
 巻末の解題では、著者についての説明と著者が提唱した音楽作品論について、及び本書の構成と初期受容の有様、本書に関する書評をまとめています。

紹介資料表紙 『第九 世界的讃歌となった交響曲の物語 Die Neunte 』
ディーター・ヒルデブラント著,山之内克子訳 法政大学出版局 2007 請求記号:764.31SS/11 (22139802) 県立公開

 『Die Neunte』(2005年)の翻訳。原書は現地の書評で「『第九』にまつわる数多くの驚くべきエピソードを満載し(中略)まさに音楽史小説ともいうべき作品」などと評価され、《第九》の音楽的・学術的分析よりも様々なエピソード(ベートーヴェンに関わるものに限らず、シラーや《第九》を批評する人々・・・等)の紹介に重点を置いています。巻末に人名索引があります。

紹介資料表紙 『ベートーヴェンの交響曲』
金聖響著,玉木正之著 講談社 (講談社現代新書) 2007 請求記号:764.31SS/10 (22135065) 県立公開

 指揮者の金聖響氏と音楽評論家の玉木正之氏による対談集。「第一番 ハ長調 作品21「喜びにあふれた幕開け」」から「第九番 ニ短調 作品125(合唱付)「大きな悟りの境地が聴こえてくる」」まで、各曲に見出しを付けて論じています。曲の構成や作曲の背景となった歴史、譜面についてや歴代指揮者の特徴などを、他の作曲家についてのエピソードも交えて多彩に語っています。
 巻末には「ベートーヴェン≪激動の時代の激動の生涯≫年表 付・ベートーヴェン後の交響曲年表」が付いています。

紹介資料表紙 『朝比奈隆ベートーヴェンの交響曲を語る』
朝比奈隆著,東条碩夫編 音楽之友社 1991 請求記号:764.31Z/1 (20271920) 県立書庫

 FM放送局でクラシック番組制作に携わる東条碩夫氏が質問し、それに対して朝比奈氏が答えた内容をまとめた一冊。1988年12月から翌年5月にかけて行われたベートーヴェン交響曲全9曲の連続演奏に並行して行われたインタビューでは、演奏を終えた楽曲ごとにテンポや楽器構成、指揮の際の留意点等、興味深い話が熱意を込めて語られています。
 付録として、朝比奈氏が1936年の『京大學友會音楽部機関誌』に寄稿した「ベートーヴェンの第九交響曲に就いて(抄)」と「朝比奈隆ベートーヴェン交響曲全曲連続演奏会記録」が掲載されています。

雑誌のとびら

紹介資料表紙 「特集≪第九≫名盤史 ワインガルトナーからパーヴォまで」
『レコード芸術』 音楽之友社 Vol.66No.12通巻807号 2017年12月号 p23~p54 請求記号:Z769/13

 ≪第九≫という、この特徴的な交響曲について、「≪第九≫の受容史」、「≪第九≫オーケストレーションの秘密」、「伝説の検証「合唱付き交響曲」事始め」、「伝説の検証 大日本帝国と≪第九≫」などのテーマが論じられ、後半では「名盤を聴く」として、「モノラル期」、「ステレオ期」、「ピリオド・アプローチ」、「ポスト・ピリオド期」、「日本人指揮者」のそれぞれの名盤を紹介しています。

紹介資料表紙 「特集≪第九≫の記憶―指揮者、楽団員が語る名曲の深奥」
『音楽の友』  音楽之友社 第74巻第12号  2016年12月号 p77~p106 請求記号:Z760.5/2

 『音楽の友』は2010年から毎年12月号で《第九》を特集しています。(2012年は「ベートーヴェン特集」)
 2016年の特集では、現在活躍する指揮者、オーケストラの楽団員たちが、この名曲にどのように取り組んでいるのか、指揮者・小林研一郎氏のインタビューを筆頭に、15人が「マエストロとの《第九》の思い出」を中心に語っています。
 また、巨匠・朝比奈隆氏の《第九》へのコメントやその朝比奈氏の指揮で演奏した大阪フィルハーモニー交響楽団の奏者4人の「朝比奈サウンド」についてのコメントを掲載しています。

紹介資料表紙 「ベートーヴェン 交響曲第九番「合唱付」」
『別冊太陽 日本のこころ』 平凡社 No.56 WINTER'86 1987年1月 請求記号:Z051/168

 「初版スコア(1826年ショット社版)第4楽章全収録」として、スコアに沿いつつ音楽評論家の藤田由之氏と諸井誠氏の対談によって第九を読み解いていく構成です。途中に7人のゲストコメンテーターによる創作の経緯や関連作品との比較などを挟みながら、各楽章の分析や後世の作曲家に与えた影響まで、《第九》の全体像を解説します。
 「日本第九演奏史」では、第一次大戦のドイツ人捕虜が徳島で行った日本初演以来、60余年に渡る日本の《第九》事情を社会背景を通じてまとめています。
 特別付録として『「第九」第4楽章のための自筆草稿(原寸)』と付録解説がついています。

視聴覚のとびら

「ベートーヴェン全集 ; 3(2) 交響曲 2」
カルロス・クライバー指揮:交響曲第5番(1974年録音)、第7番(1975年11月、1976年1月録音) カール・ベーム指揮:交響曲第6番(1971年5月録音)、第9番(1970年4月録音) 演奏はすべてウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
《第九》ギネス・ジョーンズ(S),タティアーナ・トロヤノス(MS),ジェス・トーマス(T),カール・リッダーブッシュ(B)
請求記号:CD02/ヘート (41069808) 音楽・映像コーナー公開 別冊解説書(41120775)

 この全集は、本とCDのセットとして講談社から発行されました。これの第3巻の2「交響曲Ⅱ」で「第九」を聞くことができます。収録曲は『交響曲 第5番 ハ短調 作品67「運命」』,『交響曲 第7番 イ長調 作品92』,『交響曲 第6番 ヘ長調 作品68「田園」』,『交響曲 第9番 ニ長調 作品125 「合唱」』。CD3枚組。
 別冊解説書は2部構成になっており、第一部は年代順の編集方針に従い、その時期のベートーヴェンの人生と創作、時代の背景を中心に取り上げ、第二部はジャンル別に構成された全集CDの該当する巻の収録曲について作品解説しています。第3巻の別冊解説書の第一部は、ベートーヴェンの人生上の転換期に当たる1800年から1803年を「人生と芸術 1800-1803年」と題して取り上げています。

「交響曲 第9番 二短調 作品125《合唱》」
カール・ベーム指揮,ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団,ウィーン国立歌劇場合唱団,ジェシー・ノーマン(S),ブリギッテ・ファスベンダー(A),プラシド・ドミンゴ(T),ヴァルター・ベリー(B)
1980年11月録音
請求記号:CD11/ヘート (41355355) 音楽・映像コーナー公開

 亡くなる約9ヶ月前に録音した、ベームにとって4度目となる「第九」が彼の最後の録音となりました。(この後は映像収録された「エレクトラ」があるのみです。)
 ベームが希望した豪華な歌手陣とウィーン・フィルハーモニー管弦楽団による演奏は指揮者の意図を的確に理解し、集大成ともいえる作品になりました。

「朝比奈隆+NHK交響楽団/ベートーベン交響曲第9番ニ短調 作品125 「合唱つき」」
朝比奈隆指揮,NHK交響楽団,東京芸術大学(合唱),片岡啓子(S),伊原直子(A),小林一男(T),勝部太(B)
1986年4月ライブ録音 NHKエンタープライズ 2007制作 NHKクラシカル・シリーズ DVD 125分
請求記号:DV76/エヌエ 常置 (41313198) 音楽・映像コーナー公開 ※館内視聴のみ、貸出できません。

 1986年4月25日、第990回定期公演、NHKホールにおけるライヴ収録。特典映像として、1978年放送「女性手帳」(モノラル 23分)と1983年放送「訪問インタビュー/指揮棒にこめる願い」(モノラル17分)の2本を含みます。(本編85分, 特典40分)
 本巻は、ベートーヴェンとブルックナーの交響曲を収録したDVD全6巻とCD2巻から成るシリーズの内の1巻です。

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