トピックスのとびら

図書館には図書、雑誌、神奈川資料、新聞、視聴覚資料、インターネットといったたくさんの情報のとびらがあります。
そのとびらを開いて、時事的な話題を複合的な視点から紹介します。

No.148 折口信夫 生誕130周年(2017年11月発行)PDF版245KB



 国文・国語学者で民俗学者でもある折口信夫(1887(明治20)年2月11日~1953(昭和28)年9月3日)は、「釈迢空」の名で詩人・歌人としても業績を残しました。今年は折口生誕130周年です。書店でも、文庫などで多くの著作が復刊されているのが目を引きます。折口と言えば、墓所のある石川県(能登半島)や生誕地の大阪との縁が思い浮かびますが、神奈川とも無縁ではありません。
 折口には足柄地方を詠んだ歌がいくつもあり、「曾我の里」11首、「足柄上郡」11首などが歌集に収められています。さらには長詩「足柄うた」があり、小説『死者の書』の執筆は箱根で始めました。また、『足柄下郡史』(請求記号:地域 K21.85/3 常置 )の序文には「・・・文献史料の蒐集に力め、之が編輯を折口信夫君に托せるも、教育會の資力・・・」との記述があり、折口は大正7年1月から6月まで委嘱された『足柄下郡史』編纂のために小田原の旅館に下宿していました。終戦直後には1ヶ月以上箱根の別荘「叢隠居」に籠るなど、神奈川にも多くの足跡を残しています。箱根の「叢隠居」には、晩年まで度々訪れていました。
 今回は、折口の学問や人物に関する研究書を中心に蔵書の中から一部を紹介します。

図書のとびら

紹介資料表紙 『歌の子詩の子、折口信夫』
持田叙子著 幻戯書房 2016 請求記号:910.26/3536 (22921480) 県立公開

 著者は、『新編 折口信夫全集』刊行の際、編集・校訂・解題執筆を分担しました。本書では、古代学・言語学・民俗学・宗教学に君臨する知の巨人としての折口ではなく、文学にあこがれ、苦闘する折口を、近代文学の中に位置づけ読み解いていきます。柳田國男への思慕、田山花袋からの影響など、文学者折口の新たな顔が見えます。

紹介資料表紙 『折口信夫』
安藤礼二著 講談社 2014 請求記号:910.26/3429 (22790851) 県立公開

 2002(平成14)年「神々の闘争 折口信夫論」(『群像』第57巻第7号所収)で群像新人文学賞、芸術選奨新人賞を受賞し批評家としての活動をはじめた著者の、折口論の集大成。前半を折口の生涯に焦点を当て、後半はその思想に焦点を当てています。

紹介資料表紙 『折口信夫の青春』
富岡多惠子著,安藤礼二著 ぷねうま舎 2013 請求記号:910.26/3322 (22690846) 県立公開

 毎日出版文化賞を『釋迢空ノート』(請求記号:911.16LL 537)で受賞した富岡と、上述の安藤による対談集。若き折口に強い影響を与えた藤無染のことなど、十代、二十代のころの折口について、3回にわたる対談で語り合っています。また、「はじめに」を安藤が、「後記」を富岡が記しています。

紹介資料表紙 『折口信夫と古代を旅ゆく』
芳賀日出男 写真・文 慶応義塾大学出版会 2009 請求記号:386.1/53 (22386270) 県立公開

 学生時代に受けた折口の授業触発されて、民俗写真の世界に導かれた著者が、折口も見たであろう日本各地の祭りを撮影したものを、折口の古代学および芸能史の流れの沿ってまとめた写真集。

紹介資料表紙 『折口信夫-いきどほる心』
木村純二著 講談社 2008 請求記号:910.26TT/2703 (22197552) 県立公開

 序章を除き、4章から成る本書は、第1章から第3章が「折口学」の分析を展開するのに対し、第4章は「罪、恋、そして死」と題して、序章で述べられた「いきどほり」と「さびしさ」に関わる折口のやや個人的な事情に踏み込んでいます。  巻末に付録として「年譜」と「読書案内」があります。

紹介資料表紙 『反折口信夫論』
村井紀著 作品社 2004 請求記号:910.26NN/2182 (21695408) 県立公開

 著者が様々な媒体に書いた折口信夫論を網羅したものですが、初期の論考と後期の論考では大きな相違があり、本書刊行当時の著者の考えは、折口とその周辺の批判にあります。特に、折口が戦時中に多くの作品で戦争賛歌を歌い上げている点を注視しています。

紹介資料表紙 『古代感愛集』
釈迢空著 角川書店 1952 請求記号:911.56/51 (11964269 ) 県立書庫

 『古代感愛集』は全集に収録される角川版がこの形になるまで来歴があります。最初に青磁社から刊行を予定しながら東京大空襲によって刊行寸前に焼失した未刊本から、占領下にふさわしくない戦争関連のものを削除、戦後の新作を加えて1948(昭和23)年に青磁社から改めて刊行されました。その後1952(昭和27)年青磁社版から3篇を削除し、新作を加えた78篇を『古代感愛集』と『近代悲傷集』に二分割してこの形になりました。
本書には長詩「足柄うた」を収めています。全集23巻、新版全集26巻に収録されています。

参考図書のとびら

紹介資料表紙 『迢空・折口信夫事典』
有山大五,石内徹,馬渡憲三郎 編  勉誠出版 2000 請求記号:910.26/1768 常置 (21232905) 本館1階閲覧室調査・相談カウンター側公開

 釈迢空折口信夫の人・学問・文学をほぼ網羅して知ることができる入門・研究の手引きです。全体の構成は、「Ⅰ 人と生活」、「Ⅱ 思想と業績」、「Ⅲ 折口信夫の周辺」、「Ⅳ 参考文献解題」の4章に分かれ、巻末には「新版・旧版全集各巻対照総目次」と「項目索引」があります。
 第Ⅱ章の「三 作品解題」は自筆歌集「安乗帖」の解題を皮切りに、歌集、詩集はもとより、小説、戯曲、放送台本、俄狂言、芸謡といった多彩な創作を解説しています。また、続く「研究書」の部は、国文学、国語学、民俗学の広範囲に渡る折口の学術成果について論文、講演録などを解説しています。各作品(短歌・詩については作品集)、論文・論集については、初出、(旧版)全集収録巻、新版全集収録巻が記載され、研究の助けとなっています。

紹介資料表紙 『折口信夫事典』増補版
西村亨編 大修館書店 1998 請求記号: 911.162/258A 常置 (21054002) 本館1階閲覧室調査・相談カウンター側公開

1988年刊行の初版に対して、著作解題や研究文献目録の10年間の新出資料を加えたほか、この事典の核心となっている「折口名彙解説」などは、辞句の訂正にとどまらず、内容面により正確な、新しい見解を加えた、折口学研究の基盤となるハンドブックになっています。学説・著作解題・研究文献目録・評伝・略年譜などで構成されています。

紹介資料表紙 『折口信夫全集』
【旧版】折口博士記念会編 中央公論社 請求記号:918.6/27/1~32 県立書庫
全30巻1954(昭和29)年10月~1957(昭和32)年4月刊。別巻1巻1959(昭和34)5月刊。別巻は総索引。
※この全集は1957(昭和32)年2月に日本芸術院恩賜賞を受賞しています。

【新版】折口信夫全集刊行会編 中央公論社 請求記号:910.8/102/1~40 36巻・37巻は常置 県立書庫
全37巻1995(平成7)年5月~2002(平成14)年4月刊。別巻3巻1999(平成11)年1月~9月刊。第36巻が年譜・著術総目録・全集総目次・短歌初句索引ほか、第37巻が総索引。
各巻の巻末には弟子の岡野弘彦他の解題があり、収録内容が論文ならば執筆背景などが、収録内容が対談ならば参加者の紹介などが記されています。

【ノート編】折口博士記念古代研究所編 中央公論社 請求記号:918.6/27-2/1~23 県立書庫
全18巻1971(昭和46)年3月~1972(昭和47)年1月刊。追補5巻1987(昭和62)年10月~1988(昭和63)年2月刊。

※旧版全集第30巻、新版全集第19巻に所収の「足柄下郡史ひんと帳(大正7年1月25日起稿)」は、足柄下郡史制作のための調査項目や聞き取り調査の注意点などをまとめています。

雑誌のとびら

紹介資料表紙 「特集 折口信夫」
『三田文学』三田文学会 第93巻第119号 2014秋季号 p138~p212
請求記号:Z910.5/17

 折口信夫と縁の深かった三田文学は、「生きている折口信夫」を浮き彫りにすべく、万葉学者、批評家、詩人、漫画家、能楽師の寄稿を特集しました。各作品は曼陀羅のようにそれぞれの内容が共振し、多方面にわたって業績を残した折口の姿を浮かび上がらせています。
 中でも文芸評論家の持田叙子が執筆した「折口信夫 恋の生涯」は本号に序章から第1章途中までを第1回として掲載し、以下第95巻126号(2016夏季号)の第7章を最終回として全8回に渡って連載しています。

紹介資料表紙 「総特集 折口信夫」
『現代思想』 青土社 第42巻第7号 2014年5月臨時増刊号 請求記号:Z105/9

 岡野弘彦への安藤礼二と富岡多恵子によるインタビューや辻原登、中沢新一のエッセイ、「詩・文学・声」や「乞食・翁・神」といった括りに収められた論文等、目次の項目、タイトル、執筆者の多様さは、文学・民俗学・国語学の多方面で活躍した折口信夫という人物の多面性を炙りだしています。

新聞のとびら

「折口信夫 根源への問い 生誕130周年 著書が続々復刊」
朝日新聞 2017年8月24日 p33 

「こぼれたもの」見つめる
 「学者と云うには詩人の側面が強く、詩人というには学者の足跡が濃い。…(中略)…浩瀚な学問の業績、詩歌の数々……。彼の根本は何なのか。田中英機・くらしき作陽大学客員教授(芸能史)は説明する。「災いをもたらす精霊とそれを鎮める神の対立の間に人がいて、神を招き、精霊を鎮める言葉や…(後略)」

インターネットのとびら

(國學院大學)折口博士記念古代研究所ホームページ
http://www2.kokugakuin.ac.jp/~ogawana/orikuchi.htm
 折口博士記念古代研究所は、1953(昭和28)年9月3日の折口没後に組織された折口博士記念会を基盤にして文学部の付置研究所として発足しました。遺族から寄贈された折口の蔵書類である折口記念文庫と古代研究所は國學院大學内に設置することが決められました。古代研究所・折口記念文庫は、その後、昭和41年4月に折口博士記念古代研究所に再編され、現在、研究所には、記念会や折口古代研究所による収集資料、折口記念文庫、さらに折口博士記念古代研究所設置後の収集資料が収蔵されています。

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