トピックスのとびら

図書館には図書、雑誌、神奈川資料、新聞、視聴覚資料、インターネットといったたくさんの情報のとびらがあります。
そのとびらを開いて、時事的な話題を複合的な視点から紹介します。

No.145 山本周五郎 没後50年(2017年8月発行)PDF版251KB



 小説家・山本周五郎(1903-1967)は、山梨県北都留郡初狩村(現・大月市)に生まれ、本名は清水三十六(しみず・さとむ)、この名は明治36年生まれにより命名されたそうです。1907年の山津波のため4歳で上京し、1910年小学生の時に荒川の氾濫に遭遇、横浜市久保町に転居して西戸部小学校へ転入しました。卒業後、東京木挽町にあった山本周五郎商店「きねや」に徒弟奉公し店主・山本周五郎(雅号・洒落斎)から深く影響を受けます。1918年15歳の時清水逸平の筆名で同人誌に小説を発表、以後清水きよし、俵屋宗八ほか数々の筆名を使いますが、時代小説を山本周五郎名で発表するようになり、その名が定着していったようです。商会勤め、編集記者などの傍ら創作活動に励み、1943年『日本婦道記』が直木賞に選ばれますが辞退。以後もあらゆる文学賞受賞を拒否したことが知られています。千葉県浦安、東京馬込などを経て、終の棲家となる横浜に移り、長編『樅ノ木は残った』ほかを発表。1967年病死。1988年に山本周五郎賞が創設され、没後50年の今年は第30回に当たります。周五郎を更に深く知ることのできる資料をご紹介します。

図書のとびら

紹介資料表紙 『周五郎伝 虚空巡礼』
齋藤愼爾著 白水社 2013 請求記号:910.26/3311 (22676480) 公開

 著者は山本周五郎の少年少女小説集『春いくたび』『美少女一番乗り』(角川文庫)の編集に携わった俳人で編集者・文芸評論家の齋藤愼爾(さいとう・しんじ)。2013年山本周五郎46回忌にあたり、市井の人々の哀歓に寄り添った作家の生涯と作品を先人の様々な研究資料をもとに検証・分析した書き下ろし評伝です。本書は樋口一葉記念やまなし文学賞(山梨県および山梨県立文学館主宰)を受賞。

紹介資料表紙 『山本周五郎探偵小説全集』(第1巻~第6巻,別巻)
山本周五郎著 末國善己編 作品社 2007~2008 請求記号:913.68SS/131/1-7 (22108062ほか) 公開

 山本周五郎の小説全集は新潮社版*1(本編33巻、別5巻)や講談社版*2(全13巻)で知られるところですが、戦前を中心に、少年少女雑誌に探偵・冒険小説を発表したことは、あまり知られていないようです。それらを集大成したのがこの全集です。散逸が激しく、遺漏もありますが、少年探偵・春田龍介、シャーロック・ホームズ異聞ほか、周五郎の時代小説の原点ともいえる時代伝奇小説を含む探偵小説62篇を収録しています。編者は文芸評論家・末國善己(すえくに・よしみ)です。 (*1請求記号F1/Y17-13/1-38, *2 918.6/151/1-13で県立書庫所蔵)

紹介資料表紙 『山本周五郎 横浜時代』
木村久邇典著 福武書店 1985 請求記号:910.28P/1191/3 (12704003) 書庫

 山本周五郎の研究者として名高い木村久邇典(きむら・ひさのり)が、1982年『山本周五郎 青春時代*3』、1983年『山本周五郎 馬込時代*4』に次ぐ評伝第3部として晩年までの横浜時代(1946年43歳~1967年63歳)を描いたものです。
文芸雑誌「海燕」1984年4月号~1985年11月号に連載されたものを書籍化して刊行しました。東京馬込から山本周五郎が自ら“第二の故郷”と呼んだ横浜に転居し、仕事場とした旅館間門園(まかどえん)で、『よじょう』『樅ノ木は残った』などを書き上げる様子を記しています。 (*3請求記号910.28/1191, *4 910.28/1191-2で県立書庫所蔵)

紹介資料表紙 『夫 山本周五郎』
清水きん著 木村久邇典編録 文化出版局 1972 請求記号:910.28/552 (11904372) 書庫

 1971年12月から翌72年2月に山本周五郎の妻・清水きん(旧姓吉村)が夫の思い出をテープレコーダーに吹き込んだものを、木村久邇典が編録したのが本書です。山本周五郎は、前妻きよいとの間に2男2女を儲け長く東京馬込の文士村に居住しました。が、1945年きよいが病死、翌46年に以前から筋向いに住んでいた吉村きん(初婚)を後妻に迎え、横浜に転居します。「ほんとうに小説らしい小説を書けるようになったのは、終戦後」「ぼくの小説の半分は、かあさん〔きんのこと〕のおかげで書けたんだ」など身近にいた妻だからこそ聞くことのできた周五郎の言葉を紹介しています。ほかに座談会を追録。

かながわ資料のとびら

紹介資料表紙 『間門園日記 山本周五郎ご夫妻とともに』
齋藤博子著 深夜叢書社 2010 請求記号:K91.1/96 常置 (60568490) かながわ資料室公開

 急逝までの2年半(1964~1967年)山本周五郎の秘書を務めた著者が、初対面の採用面接日から、仕事場の整理を一任されて、間門園を引き払うまでの日々を、大学ノート14冊に克明に綴った日記。小説家・山本周五郎の知られざる素顔を伝える1冊です。

紹介資料表紙 『山本周五郎 最後の日』
大河原英與著 マルジュ社 2009 請求記号:K91.1/95 常置 (60546777) かながわ資料室公開

 1962年『週刊文春』編集者として初めて山本周五郎と関わった著者は、1964年『別冊文藝春秋』に異動となり、以後3年間担当記者として仕事場(間門園)に出入りしました。周五郎が急逝する前日にも朝日新聞・門馬義久記者と共に間門園を訪ねています。最後まで親しく関わった編集者として本書を著しました。

雑誌のとびら

紹介資料表紙 「山本周五郎と私」
『波』 新潮社 第47巻第4号通巻第520号~第48巻第3号通巻第531号 2013年4月号~2014年3月号 各4p 請求記号:Z905/5

 新潮社は生誕110年記念として『山本周五郎長篇小説全集』(全26巻,2013~2015年刊)を刊行しましたが、その各巻に収録予定の人気作家諸氏による特別エッセイ「山本周五郎と私」が、月刊雑誌『波』に1年間同時掲載されました。執筆者は第1回山本周五郎賞受賞の山田太一ほか、乙川優三郎、宮部みゆき、横山秀夫、西村賢太などです。

紹介資料表紙 「特集 山本周五郎の世界」
『国文学 解釈と鑑賞』 至文堂 第53巻第4号 1988年4月号 p6~159 請求記号:Z910.5/16

 「小説に純文学も大衆文学もない。あるのは単にいい小説と悪い小説だけだ」と言い、庶民の人間性を描き尽すことを生涯の文学テーマとした山本周五郎。本特集は、土岐雄三の「山本周五郎文学の魅力」、笠原伸夫の「山本周五郎論」などを収録し、主要作品を中心に、研究者が様々な視点で、山本周五郎と風土や宗教、文体、作品世界などを論じています。また木村久邇典による参考文献目録が付されています。

新聞のとびら

「山本周五郎さんの印象 小説のための24時間」
『朝日新聞』1967年2月15日夕刊 p7
 「山本さんが、自宅から市電の停留所で三つほど離れた横浜市中区本牧間門町の旅館『間門園』に仕事場を持ったのは昭和二十三年からで、(中略)そしてこの日もベートーベンの第五をかけ、これが終わると『失礼』と手を顔の辺まで上げてかたわらのベッドへよろけるようにころげこんだ。これが私と山本さんの別れになった。」(門馬義久記者)

視聴覚のとびら

『雨あがる』
CD64/シタ (41286410) 2007年発売 音楽・映像コーナー 公開
 NHK日曜名作座 時代小説傑作選シリーズの1枚(No.14)。原作が山本周五郎、竹内日出男が脚色し、音楽を池辺晋一郎が担当、出演は名優森繁久彌と加藤道子です。2000年12月10日・17日に放送されたものです。
(朗読CDは、ほかに新潮社制作『裏の木戸はあいている』『葦は見ていた』『ちゃん』『武家草鞋』を所蔵)

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インターネットのとびら

神奈川近代文学館
http://www.kanabun.or.jp/exhibition/6475/
 横浜を第二の故郷と呼んで愛した山本周五郎の生涯と作品を紹介する特別展「没後50年 山本周五郎展」(9月30日~11月26日)を予定しています。関連イベント【周五郎遍歴】として作家・山本一力や女優・五大路子などによる講演会や朗読・トーク会も開催されます。

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