トピックスのとびら

図書館には図書、雑誌、神奈川資料、新聞、視聴覚資料、インターネットといったたくさんの情報のとびらがあります。
そのとびらを開いて、時事的な話題を複合的な視点から紹介します。

No.136 匠の技 伝統的工芸(2016年11月発行)

 芸術の秋、本番です。この時期は文化財に親しむ機会が増えますが、今回は伝統的工芸にスポットを当て資料を紹介します。「文化財保護法」や、「伝統的工芸品産業の振興に関する法律(伝産法)」で認定された重要無形文化財や伝統的工芸作品は、時代の潮流に流されながら現在に至るまで紆余曲折の道のりを、「技」を極めた重要無形文化財保持者(人間国宝)や伝統工芸士、いわゆる‘匠’とともに歩んできました。その‘匠’の息遣いが聞こえてくるような究極の「技」と「日本の伝統」を追求する姿、後世への思い等を感じ取っていただけたらと思います。

図書のとびら     鑑賞⇒背景⇒そして次世代へ

紹介資料表紙 『人間国宝展 生み出された美、伝えゆくわざ』 
東京国立博物館編 NHK 2014年 請求記号:750.21/58 (22725782) 公開

 2014年1~2月、東京国立博物館平成館で開催された「日本伝統工芸展60回記念」の図録。工芸の発展に尽くした歴代人間国宝104人の名品を「古典への畏敬と挑戦」、「現代を生きる工芸を目指して」、「広がる伝統の可能性」という3つのテーマで紹介しています。国宝・重要文化財など歴史的に評価されてきた古典的な工芸と、現代の人間国宝の作品を一堂に集めた画期的な展覧会の作品が掲載されています。また現代の人間国宝53名の創作感も載せられています。

紹介資料表紙 『「日本のわざと美」展』―重要無形文化財とそれを支える人々―
文化庁文化財部伝統文化課編 長野県信濃美術館 高知県立美術館 2009年 請求記号:750.87/14/2009 (22461297) 公開

 平成21年度に高知県、長野県で開催された文化庁主催の『「日本のわざと美」展』の図録。この図録には重要無形文化財保持者(人間国宝)および同保護代団体の作品約180点作品と作品制作に必要不可欠な素材や用具を製造製作する‘選定保存技術’に関する資料も紹介されています。

紹介資料表紙 『工芸の見かた・感じかた 感動を呼ぶ、近現代の作家と作品』 
東京国立近代美術館編 淡交社 2010年 請求記号:750.21/43(22450852)公開

 東京国立近代美術館工芸館の所蔵作品のうち、平成14年から21年まで8年間に渡って茶道誌『淡交』に連載されていた約120点の解説文を写真と共に一冊に収録したものです。現代工芸作品の鑑賞の仕方や工芸作家の高度な技法等が解説されています。歴史的背景を付け加えながら、古典の復元や再現から創作へ歩んできた「表現する工芸技術」の幅広い魅力が伝わってくるようです。

紹介資料表紙 『工芸とナショナリズムの近代 「日本的なもの」の創出』
木田拓也著 吉川弘文館 2014年 請求記号:750.21/60(22755870)公開

 「美術工芸」という言葉が公式に使われるようになった明治時代半ばから、「東京国立近代美術館工芸館」が誕生した昭和52年までの日本における工芸のあゆみをナショナリズムとの関係から辿った一冊です。西洋文化の流入、産業構造の変化といった歴史的背景や伝統工芸の成立までの諸制度などを手掛かりに工芸の価値や存在意義を問い正しています。著者は工芸史を専門にする東京国立近代美術館工芸課主任研究員です。

紹介資料表紙 『伝統工芸 職人の世界』
田中喜男著 雄山閣出版 1992年 請求記号:750.21AA/3(20441481)書庫 

 日本経済史を専攻とする大学教授(出版当時) である著者が伝統工芸・伝統産業の先行き不安を直視し、職人の後継者不足解消を目的に、若い人たちの興味、関心、理解を得るために書かれたものです。金工・漆器・木工品・蒔絵・陶磁器等多くの技術・技法を保持する工芸職人に長い時間を掛けて取材し、経済史的な視点から具体的に検討しています。職人一人一人の話がそのまま載せられているところもあり、職人の思いもストレートに伝わってきます。

紹介資料表紙 『道標(みちしるべ)―伝統工芸士から若者へのメッセ-ジ70―』
伝統的工芸品産業振興協会 2000年 請求記号:750.21/17(21364286)書庫

 これから伝統工芸士を目指す人へ先輩伝統工芸士から「伝統工芸士をめざす若者に対して言っておきたいこと」をテーマに書かれた70人の体験談集です。「伝統」「道」「冥利」などの言葉が何人もの文章にしたためられ、どのメッセージも伝統工芸士としての誇りに満ち溢れているとともに若い力に寄せる熱い期待もしっかり書かれています。

女性関連資料のとびら

紹介資料表紙 『美の匠たち 女性伝統工芸士の世界』
佐藤徹郎著 工作舎 2001年 請求記号:R6/サト(110945870)女性関連資料室2公開

 男社会の伝統工芸の世界に風穴を開けようと、女性伝統工芸士が女性部会を立ち上げ、小規模ながら全国レベルの展示会として「女性伝統工芸士展」の開催を実現させました。その女性部会から女性伝統工芸士12人が紹介されています。女性の立場からの伝統的工芸品への強い愛情と、さらに女性ならではのオリジナリティー溢れる創作精神が感じられる一冊です。

雑誌のとびら

紹介資料表紙 「特集 京都、究極の職人技」
『美術手帖』美術出版社 第67巻通巻1030号 2015年11月号 p10~109 請求記号:Z705/4

 日本の伝統文化を支える職人技が、現在まで受け継がれている京都。しかも職人の数も種類も全国一。そんな京都の表具師、箔押師、錺師(かざりし)など、今も町の至るところに息づく様々な匠の技から若手アーティストの作品まで多様な切り口で紹介しています。『見慣れた観光名所も、「職人技」に着目すれば、もっと面白く見えてくる…』と思わされる京職人の特集です。

神奈川資料のとびら

紹介資料表紙 「【塗師】 池谷 元弘」
『技人 つなぐべき小田原の知恵』 小田原市 第12号 2014年10月 p2~8 請求記号:ZC/1898

 『技人 つなぐべき小田原の知恵』の12号は伝統的工芸品の小田原漆器を取り上げています。漆芸品は室町時代中期、箱根山系で切り出した木をろくろにかけて、お椀などの器に削り、それに生漆を塗ったのが始まりとされているそうです。塗師の池谷元弘さんへのインタビューと製作工程の写真が紹介されています。

視聴覚資料のとびら

釉裏金彩-吉田美統のわざ-他 工芸技術記録映画
請求記号:DV75/ユウリ(41336751)視聴覚資料室公開 館内視聴のみ

 重要無形文化財に指定されている工芸技術の記録映画。文書や写真ではとらえにくい工芸技術の工程を映像によって分かりやすく記録し,無形文化財の保存に役立てるとともに,後継者養成のための教材,研究素材として活用することを目的として文化庁が企画製作しています。県立図書館ではそのうち26本を所蔵、重要無形文化財保持者(人間国宝)らの優れた技術や作品への熱い思いが映し出されています。

日本の染と織 (6枚組DVD)
請求記号:DV75/ニホン(41334194-41334244)付:別冊解説書1冊(41334186)視聴覚資料室公開 館内視聴のみ

 伊勢丹が伝統技術の伝承のために、昭和30年代から40年代にかけて撮影していた伝統的な「染め」と「織り」の技術を伝える貴重な記録を16ミリフィルムから2011年にDVD化したものです。当時すでに呉服にまつわる技術が衰退し始めているのを危惧した当時の伊勢丹研究所所長故・安田丈一氏が中心となり、北は秋田から南は奄美大島まで全22種に渡り取材を行いました。繊維が作られ、紡がれ、やがて生地になるまでの長い期間を撮影した貴重な映像が6枚のDVDになっています。2009年にユネスコ無形文化遺産に登録された小千谷縮も含まれています。

インターネットのとびら

公益社団法人日本工芸会
http://www.nihonkogeikai.or.jp/kokuho
 重要無形文化財保持者(人間国宝)を中心に伝統工芸作家、技術者等で組織する団体のオフィシャルサイトです。日本伝統工芸展に出品された、人間国宝の主要な作品や、同会が文化庁・NHK・朝日新聞社と主催する最新の日本伝統工芸展の情報も掲載されています。

一般財団法人伝統的工芸品産業振興協会
http://kougeihin.jp/association/
 「伝統的工芸品産業の振興に関する法律(伝産法)」に基づいて設立された財団法人のオフィシャルサイトです。法で定められた『伝統的工芸品』を正しく理解してもらうことを目的とし、その歴史、現状等、振興を図るための様々な情報が発信されています。高度の技術・技法を保持する「伝統工芸士」のプロフィールも紹介されています。

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