トピックスのとびら

図書館には図書、雑誌、神奈川資料、新聞、視聴覚資料、インターネットといったたくさんの情報のとびらがあります。
そのとびらを開いて、時事的な話題を複合的な視点から紹介します。

No.134 宮川香山(みやがわこうざん)(初代)と真葛焼(まくずやき)(2016年9月発行)

 平成28年5月20日は、横浜から世界へ独創的な真葛焼(まくずやき)を送り出した宮川香山(みやがわこうざん)の没後100年の命日でした。真葛焼は初代香山が明治4年に横浜太田村(現・横浜市南区庚台)に窯を開いて制作した焼物で、特に前期の「高浮彫(たかうきぼり)」の陶器と後期の「釉下彩(ゆうかさい)」の磁器に代表されます。残念ながら昭和20年5月29日の横浜大空襲で窯場は焼失し、真葛焼の継承も4代目で途絶えてしまいましたが、展覧会は今なお盛況です。世界的知名度を誇る宮川香山の魅力に迫る資料を紹介します。

図書のとびら

紹介資料表紙 『没後100年 宮川香山』
NHKプロモーション編 NHKプロモーション 2016 請求記号:K75.1/39(60684362) 常置 かながわ資料室/新聞・雑誌室公開

 没後100年を記念して開催された展覧会の図録。巻頭で「初代宮川香山の軌跡」として、業績を簡潔にまとめています。本編は「京都、虫明そして横浜へ」、「高浮彫の世界」、「華麗な釉下彩・釉彩の展開」の3章で構成されています。特に第二章では作品の全体写真と高浮彫部分の拡大写真を並べて掲載し、その特徴がより分かりやすくなっています。巻末の「真葛窯と明治横浜の窯業」の筆者は県立歴史博物館の学芸員です。

紹介資料表紙 『帝室技藝員眞葛香山』
田邊哲人著 叢文社 2004 請求記号:K75.1/30(60411857) 常置 かながわ資料室/新聞・雑誌室公開

 大型の図録で、巻頭に「高浮彫」の迫力ある作品の図版を並べ、本編は香山の父長造の作品を含めた横浜以前を導入とした「香山の歩み」、「高浮彫」の作品を集中させた「横浜での真葛」、「釉下彩」へと転じた初代から4代までの「香山の変遷」の3部で構成されています。また7ページに渡って「真葛・印」として、香山の使用した印を中心に父長造から4代目香山までの印がまとめられています。

紹介資料表紙 『世界に愛されたやきもの 初代宮川香山作品集』 
山本博士編著 宮川香山眞葛ミュージアム 監修 神奈川新聞社 2010 請求記号:K75.1/34 (60573607) 常置 かながわ資料/新聞・雑誌室公開

 「初代宮川香山作品」と「初代没後の真葛焼」の2章で構成されていますが、第一章の比重が大きく「高浮彫」と「釉薬研究時期」・「釉下彩」の作品の図版が多数掲載されています。また「仁清・乾山写し」の作品が16点取り上げられています。巻末には略年譜と受賞歴がまとめられているほか、3代香山の息子の宮川博明氏の「昔語り」も掲載されています。

図書のとびら

紹介資料表紙 『宮川香山と横浜真葛焼』(横浜美術館叢書:7)
二階堂充著 有隣堂 2001 請求記号:751.1/94(21504634) 書庫

 真葛焼の歴史を「真葛創業」、「輸出用陶磁器業と初期真葛焼」、「転機の真葛焼」、「盛期の真葛焼」、「香山晩年」の5章に分けて辿っています。「真葛創業」では横浜に窯を開く前の香山の足跡を取り上げ、父長造の事績から香山の献上茶器制作、備前虫明行についても触れています。
巻末に「宮川香山略年譜」と「参考図書・文献」があります。著者は当時の横浜美術館学芸課長です。

紹介資料表紙 『真葛 宮川香山展  世界を魅了したマクズ・ウェア』(横浜美術館図録)
横浜美術館編 横浜美術館 2001 請求記号:751.1/93(21503164) 書庫

 平成13(2001)年に横浜美術館で開催された展覧会の図録。巻頭に「宮川香山 陶磁器にかけた生涯とその事績」を掲載し、図版は「初期の真葛焼」、「盛期の真葛焼」、「真葛焼の諸相」に分けて掲載されています。初期から盛期への変遷は、「高浮彫」から「釉下彩」への真葛焼の変化を示しています。また「真葛焼の諸相」では、香山没後の2代目香山(宮川半之助)の作品がまとめられています。

雑誌のとびら

紹介資料表紙 「明治の細密工芸 驚異の超絶技巧!」
『別冊太陽 日本のこころ』 平凡社 通巻217号 2014年4月  p48-55,p160-163 請求記号:Z051/168

 七宝、漆芸、金工、陶磁器など、近代工芸の代表的な工人20人を「明治工藝の匠たち」として取り上げ、代表作の写真と業績を紹介しています。
 宮川香山は「日光東照宮眠猫目覚水指」と共に取り上げられ、前期の高浮彫制作時期の功績と、後期の釉下彩がセーブルやロイヤル・コペンハーゲンの作品とも競った功績を紹介しています。

紹介資料表紙 「超絶技巧!! 明治には、常識を超える職人がいた! 宮川香山と明治工芸篇」
『美術手帖』美術出版社 第68巻1034号 2016年3月 p10-35 請求記号:Z051/168

 明治期の工芸作家のなかでもひと際異彩を放つ陶芸家、宮川香山を筆頭に、金工、七宝、漆工などの世界で優れた技を示した明治の工人を紹介しています。美術史家の山下裕二氏が青木克世氏と香山作品を鑑賞する「アーティスト青木克世さんとみる宮川香山の超絶技巧」や、真葛ミュージアムを訪問する「山本博士さんと探る香山作品の描写力」などの記事で、宮川香山の作品の特徴を詳しく解説しています。

新聞のとびら

「ハマの陶工命浮き彫り」
『日本経済新聞』 2016年3月14日朝刊 p36
 (前略)私が半世紀近く作品を収集し、研究を続けてきた陶芸家、真葛香山(初代宮川香山、1842~1916年)は、驚くような技巧を施した迫真的な作品で知られる。香山と出合うきっかけは「横浜」。・・・(後略)(田邊哲人=真葛香山研究家)

「香山翁逝く」
『横浜貿易新報』 1916年5月23日 p1
 香山の訃報に際して、小見出しに「香山の號を賜ふ」、「継子半山氏あり」、「美術に没頭の人」、「彩筆を執て」などを挙げて、その人柄・業績を詳しく紹介しています。紙面には肖像と作品の写真が一点ずつ掲載されています。

「世界に愛された横浜眞葛焼」
『神奈川新聞』 2016年8月16日~連載中(9月8日現在) p1
 「宮川香山 眞葛ミュージアム」の所蔵作品を、毎日1点ずつカラー写真で紹介しています。(縦6cm×横8cmの記事)

インターネットのとびら

田邊哲人コレクション
http://www.tanabetetsuhito-collection.jp/makuzu.html
 田邊哲人コレクションは、 真葛香山研究の第一人者である田邊哲人氏が、昭和40年代前半、20代の頃より 真葛香山の研究を始め、以後約50年間にわたり研究を続けながら、世界中から探し出した 真葛香山を初めとした「横浜焼」、「東京焼」のコレクションです。 このサイトでは、真葛焼の画像が現在9枚見られます。

宮川香山 眞葛ミュージアム ホームページ
http://kozan-makuzu.com/
 土曜日、日曜日のみ開館の私設美術館では、「世界に愛されたやきもの MAKUZU WARE 眞葛焼 初代 宮川香山作品集」(神奈川新聞社発行)の著者 山本博士氏のコレクションから、真葛焼を紹介しています。
美術館のサイト内では宮川香山「受賞経歴」や作品の画像が11枚見られる「作品アルバム」などで、真葛焼を楽しむことができます。
美術館は、横浜駅から徒歩数分、海に面したアート&デザインの街 ヨコハマポートサイド地区にあります。

神奈川県立歴史博物館Digital Museum >画像で見る歴史と文化 >真葛焼
http://ch.kanagawa-museum.jp/dm/makuzu/collection/m_collection01.html
 神奈川県立歴史博物館が所蔵する真葛焼を「真葛焼館蔵コレクション」として44枚の画像(1枚は宮川香山が描いた「窯場之画」)で紹介しています。
このサイト内には「真葛焼の歴史」のページもあり、真葛焼の概説や歴代香山の系図、真葛焼略年表が見られます。
※神奈川県立歴史博物館は2018年4月まで休館中です。

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