かながわ資料室ニュースレター第2号(2007年10月発行)

新着資料から

◆『市民のオルガン -小船幸次郎と横浜交響楽団-』
 横浜交響楽団 編著 神奈川新聞社 2007年 [K76.1/108]

 本書は、小船幸次郎生誕100年と横浜交響楽団創立75年を記念して出版された。
 小船幸次郎(1907-1982)は、1932年(昭和7)に横浜交響楽団を創設したのち、作曲家、指揮者として戦前・戦中の日本の楽壇の先頭に立って国の内外で活躍した。戦後は、横浜交響楽団を中心に活動し、横浜の音楽文化に貢献した。
 「“市民のオルガン”は、誰でも何でも自由に弾けたり、聴いたりできるようにいつでもドアは開けておけ」という小船幸次郎の言葉は、横浜交響楽団の活動の信条であり、本書タイトルもこの言葉からきている。
 本書を編集するにあたり、国立国会図書館、日本近代音楽館、神奈川県立図書館、横浜市中央図書館等で、小船幸次郎に関する新聞・雑誌記事、論文、随筆資料等を丹念に調査している。多くの資料によって小船幸次郎の足跡をたどった本書は、横浜交響楽団75年の記録であると同時に、横浜あるいは日本の音楽文化史の記録とも なっている。

◆『関東水墨画 -型とイメージの系譜-』
 相澤正彦・橋本慎司 編著 国書刊行会 2007年 [K72/147]

 本書は、1998年に神奈川県立歴史博物館と栃木県立博物館の共同主催によって、巡回展示された「関東水墨画の200年」図録(当館請求記号 K06/57/98-10)と神奈川県立歴史博物館総合研究報告2003「中世東国における文化の移入」(当館請求記号 K06/110/2003)に発表した論考を元に再編集したもので、室町時代半ばを中心とした関東水墨画壇の世界を探究している。
 関東水墨画とは、様式用語ではなく、関東地域に関係した水墨画作品を指す総称である。対象となるのは、祥啓画系、雪村画系、 関東の狩野派の他、関東出身者の作品である。本文は学術的であるが、カラー図版が豊富に収録されており、中央でもなく、また地方でもない関東の地で描かれた関東水墨画独自の図様や筆法を見て取ることができる。巻末には資料編として、「落款印章」「関連年表」「参考文献」 などが収録されている。

かながわ資料室の新着資料

かながわ資料室の新着資料の一部をご紹介します。

タイトル 著 者 出版者 出版年 請求記号
男の品格 -二宮金次郎名言集 -清水將大コスミック出版2007K157/632
二宮尊徳一日一言二宮尊徳致知出版社2007K157/633
源氏と坂東武士野口実吉川弘文館2007K24/423
源氏(別冊歴史読本) 新人物往来社2007K24/424
画・文で描く祖父母が若かった頃 -西相模の明治・大正・昭和-鷹野良宏鷹野良宏2007K26/103
多満自慢石川酒造文書 第9巻多仁照廣霞出版社2003K27.98/48/9
かわさき農歓喜小泉一郎神奈川新聞社2007K28.21/78
三浦・会津蘆名一族七宮〔ケイ〕三新人物往来社2007K28.3/18
徳川慶喜公の散歩道-別荘の街・国府津の人模様-奥津弘高夢工房2007K28.7/117
北条早雲とその一族黒田基樹新人物往来社2007K28.7/118
利光鶴松翁手記利光鶴松小田急電鉄株式会社1957K28/365
るるぶ横浜 ’08 JTBパブリッシング2007K291.1/168/2008
三浦半島の史跡みち鈴木かほるかまくら春秋社2007K291.3/77
東海道五十三次ハンドブック森川昭三省堂2007K291/500A
多摩川すいすい自転車旅マップ自転車生活ブックス編集部ロコモーションパブリッシング2007K291/733
横浜・鎌倉歩く地図帳 ’07 山と渓谷社2007K291/734/2007
湘南讃歌吉田克彦江ノ電沿線新聞社2006K291/735
神奈川県高校受験案内
平成20年度入試用
声の教育社編集部声の教育社2007K37/627/2008
丹沢大山総合調査学術報告書 2007丹沢大山総合調査団平岡環境科学研究所2007K40.6/13/2007-1
丹沢大山動植物目録丹沢大山総合調査団平岡環境科学研究所2007K40.6/13/2007-2
メジロのさえずり-秦野に生きる小さな命-市川節子神奈川新聞社2007K48.63/15
地域再生まちづくりの知恵-古都・鎌倉からの発信-福澤健次平凡社2007K51.4/18
ソニー厚木スピリット立石泰則小学館2007K54.92/12
「風船爆弾」秘話櫻井誠子光人社2007K55/57
ビーサン屋げんべい物語 -葉山の片隅から世界を狙うオンリーワン商店-中島広行徳間書店2007K58.34/11
田園都市生活 vol.25 枻[エイ]出版社2007K59 46/25
町田・相模原・厚木上等なランチジェイアクトメイツ出版2007K67/220
神奈川のおいしい蕎麦片山虎之介ワンツーマガジン社2007K67/221
湘南レストラン&カフェ・バー
コンプリートガイド
 枻[エイ]出版社2007K67/222
神奈川のうまい蕎麦64選そばったけの会幹書房2007K67/223
箱根富士屋ホテル物語山口由美千早書房2007K68.85/111A
龍華寺菩薩半跏像国立文化財機構東京文化財研究所企画情報部中央公論美術出版2007K71.17/12
鵠沼の五十年福地誠一菜根出版1984K74.52/14
日本一への挑戦 - 伝説の釜利谷高校男子バレーボール部の秘密-蔦宗浩二バレーボール・アンリミテッド2007K78.1/152
ひたむきに-松坂大輔、“超一流”への道-渡辺元智双葉社2007K78.1/153
芥川龍之介の夢-「海軍機関学校」若い英語教官の日-清水昭三原書房2007K91.31/20
鴎の子は鴎松木喬成山堂書店2007K97.1/231

コラム・開港カウントダウン ~150年前のかながわ2~

安政4年(1857)10月1日(陰暦8月14日)、江戸幕府、米国総領事ハリスに江戸登城を許す。

 ハリスは、通商条約の交渉を開始するために、すみやかに江戸に赴き、アメリカ政府から未解決の重大な諸問題を幕府に伝達することと、将軍あての大統領の親書を直接手渡すことを要望していました。
 11月23日(陰暦10月7日)、ハリスは下田の総領事館を出発し、陸路、江戸へ向いました。行列の人数は全部で350人だったといわれています。11月28日、神奈川宿の本陣で休息した後、川崎の万年屋に宿泊し、川崎で一泊しましたが、その際、宿泊予定の本陣の荒廃をみて、急きょ万年屋へ宿を移しました。ハリスは、『日本滞在記』に「明るく、清潔で、気持ちのよい家に入ることができた」と記し、思いがけなく、庶民の旅宿の居心地の良さを経験しました。11月30日、一週間の旅を終えて、ハリスは江戸に入り、将軍・徳川家定と面会し、本格的な通商交渉を開始することとなります。

【参考文献】
『神奈川県史 通史編3 近世(2)』 神奈川県 1983年 [K21/16-3/3a]
『川崎市史 通史編2 近世』 川崎市 1994年 [K21.21/5/1-2]


コラム・かながわ あの人・この人

高見 順【たかみ じゅん】(1907~1965)

 高見順は、明治40年(1907)1月30日福井県三国町に生まれました。昭和18(1943)年に北鎌倉に転居し、以後昭和40(1965)年8月17日に没するまでの22年あまりの間、鎌倉の地で過ごしました。「鎌倉文庫」「鎌倉アカデミア」などでも活躍しており、本県とかかわりの深い文学者です。
 プロレタリア作家としてスタートした彼は、転向によって思想的挫折を味わいますが、この体験をもとに小説「故旧忘れ得べき」を著します。この作品は第1回の芥川賞候補となり、作家としての大きな一歩を踏み出す記念すべき作品となりました。また、昭和16年から亡くなる直前まで書き続けられた日記は、昭和史の記録としても貴重なものと評されています。その他、評論や詩作などでもその才能を発揮したほか、晩年には日本近代文学館設立運動を推し進め、日本の文学界に大きな足跡を残しました。

【参考文献】
『高見順』 奥野健男著 国文社 1973年 [910.28/650]
『高見順全集』第1~20巻、別巻 勁草書房 1970-1977年 [918.6/252/1~21]
『鎌倉文庫と文芸雑誌「人間」』 高橋英夫他著 大空社1993年 [K91.4/42][910.26/1316]
『鎌倉アカデミア断章』 高瀬善夫著 毎日新聞社 1980年 [K37.4/50][372.1/236]