再評価が進む作曲家・須賀田礒太郎を聴く会

須賀田礒太郎肖像

  須賀田礒太郎肖像

 戦前・戦中期に活躍した横浜生まれの作曲家 須賀田礒太郎(すがた・いそたろう 1907-1952)をご存じでしょうか。当館のおとなりの県立音楽堂で神奈川フィルによる演奏会が3回開催されており「知る人ぞ知る」作曲家です。1999年に自筆楽譜が発見されたのを機に再評価が進んでおり、2010年にはご遺族よりその貴重な自筆楽譜が当館に寄贈されました。せっかくの貴重な資料をぜひみなさまに紹介いたしたく、当館では自筆楽譜の展示会(5月9日まで開催中です!)を開催するとともに、その作品を鑑賞する講座を設けました。

須賀田自筆楽譜

  須賀田自筆楽譜

 講師には、自筆楽譜の発見以来その作品研究に携わってこられた岡崎隆さん(元名古屋フィルコントラバス奏者)をお招きしました。また、須賀田氏のご遺族にもご参加いただき、当時の想い出や楽譜発見時の様子などをお話しいただきました。
 須賀田礒太郎の作品を収録したCDは「日本作曲家選輯」シリーズの1点しか市販されていないのですが、今回の講座では講師、ご遺族、アフィニス文化財団からご提供いただいた未発売録音及び映像により作品を鑑賞していただきました。まずは、須賀田のテーマともいわれる「東洋の舞姫」を講師自らの演奏録音により鑑賞。岡崎さんが須賀田研究に情熱をそそぐきっかけとなった作品だそうです。その後、<須賀田が師事した大物作曲家あてクイズ!>や<ヒンデミット「交響曲『画家マチス』」と須賀田「交響的序曲」を比べてみよう>などの参加型企画も交えながら、全13曲(一部抜粋)をお楽しみいただきました。参加のみなさんは岡崎さんの解説にメモをとったり、うなずかれたり、時には笑い声もあげられるなど和やかな雰囲気の講座となりました。担当としましては、なれない機器操作(参加者のみなさまにはご迷惑をおかけしました)に気をとられなかなか鑑賞する余裕がありませんでしたが、須賀田の最後の大作となった「バレエ音楽<生命の律動>」のフィナーレには、「最後の不協和音に『このまま終わりたくない』という礒太郎の気持ちが込められている」という岡崎さんの解説どおり、若くして命を絶たれた作曲者の生への思いに圧倒されるような感覚を覚え、とても印象に残りました。
 そして最後に、講師の岡崎さんよりサプライズが!! 岡崎さんが録音・作成した須賀田礒太郎の歌曲集CD(歌詞・解説付)と岡崎さんの著作『よみがえる天才作曲家~須賀田礒太郎研究』が参加者のみなさんにプレゼントされたのです。みなさん大変お喜びの様子で受け取って行かれ、帰り際には展示会にも足を伸ばしてくださいました。

 日本人作曲家は、音楽をよく聞かれる方の間でもなじみの薄いことが多いかと思います。ですが、今回ご参加のみなさんの反応からも私の個人的な印象からも、決してとっつきにくいものばかりではないように思われます。当館所蔵CD「日本作曲家選輯」シリーズでは須賀田礒太郎をはじめ多くの日本人作曲家の作品を収録していますので、ご興味を持たれた方はどうぞご利用ください。

(県立図書館職員:神奈川フィルを応援しています) 
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