『働くということ 実社会との出会い』黒井千次著

『働くということ 実社会との出会い』 黒井千次著 講談社 1982年 資料番号:110428745 請求記号:J1/クロ OPAC(所蔵検索)


 『働くということ』は、1982年に出版されていますが、最近この本を原作とした『漫画 働くということ』講談社(池田邦彦著)も出版されています。昭和-平成-令和と、世の中も働き方も大きく変わったはずなのに、今なお読み継がれている理由はどこにあるのでしょうか。

 これは、著者が大学の掲示板で企業の求人や就職試験の案内を目にした就職活動時より、1955年から15年間富士重工業株式会社にて勤めた体験の手記を本にしたものです。理論ではない、働いた経験から生まれてきた思いが綴られています。それ故に多くの人の共感を呼ぶのだと思います。労働の手応えは、自分自身のために働き、仕事を成し遂げた時にこそ感じられるものであり、労働の本質とはそこに身を置いてみて、初めて見えてくるものだと教えてくれます。

 私は就職活動時に、「なぜあなたは働くのですか?」と企業の面接官から質問を受け「生きていくため」と答えました。社会に出ていくには自分一人の足で立って行かなければならず、それには稼がなければ生活していけないと思ったからです。数十年会社勤めをした後、また同じ質問を受けたなら、やはり「生きていくため」と答えるでしょう。しかし同じ答えであっても、あの頃よりももっと沢山の働くことの意義が込められています。働いていくうちに少しずつ見えてくるものが増えてきたからです。

 この本は、「働くということは生きることであり、生きるとは、結局、人間とはなにかを考え続けることに他ならない。」と締めくくり終わっています。時代が移り変わり、世の中が変わっていっても、いつでも人はみな、働くということを、生きるということを、自分に問い続け、答えを探し求めているのでしょう。

(県立図書館:コロナショック中の就活生応援してるよ)

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過去、当ブログで紹介したオススメ本と、本記事の紹介本を含む新規のオススメ本を、司書の図書紹介コメントと共に県立図書館本館1階閲覧室で展示しています。
開催期間(予定)
第1期:6月9日(火)~7月8日(水)
(2010年~2014年のブログ記事から紹介)
第2期:7月10日(金)~9月9日(水)
(2015年~2020年のブログ記事から紹介)
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